第五話
あらすじ
拡声器から声が!当たり前だね!
テストマンだって!だっせ(笑
その時、天から声が!(ただし器械音声)
試練クリアしたら生き返れる(?)って!やったぁ!
テストマンも行くみたいだし僕も行こう!
拡声器片手に異世界探索、始まるよー!
金属製の扉は重く、少し開く度にゴゴゴ...という重い物を
引き摺るような音が鳴った。
ようやく大の大人が一人通れるほどの隙間が出来た時、僕は既に
大量の汗をかいていた。手が痺れるように痛い。普段筋トレなど
していなかっただけに、金属製の扉一つ開けるのでもこの様だ。
『情けないのぉ。お主それでも男か?』
煉が茶々を入れてくる。静観してたくせによく言えたもんだ。
まぁ反論の余地はないのだが。
通り抜けた先にはまた白い倉庫のような空間。だが、この空間には
釣り天井式のテントが建てられていた。
雪製の鎌倉のようなテントが全部で4つ。まるでサーカスのようだ。
他に何かないものかとキョロキョロしていると、拡声器が声を発する。
「ここも相変わらず真っ白だな...どうだ?そっちは何かあったか?」
テストマンだ。どうやら彼も新しい空間に到着した様子。
「こっちはテントが4張りほどです。そちらはどうですか?」
「俺の方も同じだ。テント4つ。それ以外何もない」
どうやらあちらも同じ状況になっているらしい。
ここでまた、例の器械音声が。
「34番を確認。通達を開始します。
あなた方は先程説明した通り、我々の転生システムの不具合により、
転生が不可能である、若しくはそれに類似した状況に置かれた人間です。
あなた方人間は本来、皆平等に転生させるのが我々の仕事。しかし、
極稀にあなた方のようにエラーを起こす場合があります。
その際は我々でこのような試験を執り行います。その者が転生した
場合に本当にその世界で生きていけるのかどうかの試験を。
我々はあなたを転生させることは出来ますが、転生先を選ぶことは
出来ません。なのでもしあなたが転生先ですぐ死んでしまった場合、
我々の責任となるのです。
よってあなたがどんな世界に行ったとしても生きて行けるのかの
試験となります。これまであなたのいた世界とはかけ離れた世界も
存在します。あなたの常識は使い物にならない可能性もあります。
そのことを頭に置いていて下さい。
それでは34番、あなたの武運を祈ります」
言いたいこと全部言って逃げられた。どうやら質問する時間など与えて
くれないらしい。
「なんなんだよ...一体...」
『...まぁ仕方ないじゃろうな。転生でエラーが起きるような問題児など、
転生先で問題を起こしかねんし』
確かにそうだろう。だが、僕には転生でエラーが起きる原因など、
思い当たる節は無いのだが。
『何を言うか小童が。お主、童貞な上にニートであったじゃろうに』
「...ごもっともです」
ともかく、エラーが起きたのなら仕方がない(?)のだし、僕は僕の
出来ることをしよう。そう思った。