第三話
あらすじ
可愛い女の子、幽霊だったね!怖いね!
でも帰り道分かるらしい!やったぜ!
帰れるの分かったし遊ぼうか!
...え?もう帰る準備終わった?
......(´・ω・`)
僕は白い部屋にいた。
あまりに無機物的でこをとっても白色だから、自分が横になっている事さえ
分からなかった。
「うう....。」
ゆっくりと体を起こす。多少痛むがどうやら五体満足でここに来たようだ。
そしてこの声。
『どうじゃ!ワシのこの神通力!伊達に神社に数十年もおらんわ!しかし
現世は凄いことになっておるのじゃな!こんなに白いとは!!』
脳内にガツンとくる大声は起きたての脳にはよく響いた。
煉はどうやら本当に僕に取り憑いているらしい。煉の声は僕の頭の中で反響し、
僕の前でキョロキョロするその姿はうっすらと透明だ。
「分かったから少し声量を下げてくれ...」
僕はまるで新雪を見た子供のように興奮する煉を宥めて辺りを見回す。ここは
最初に来た空間と酷似していて、白い壁、その中央の下あたりに鋼鉄の扉がある
以外には特に何もない、倉庫のようにだだっ広い部屋だった。
ただし、鋼鉄の扉は前に見た物とは違い、何か模様が描いてあるように見える。
「あの扉は...?」
そう言って近づこうとした時だった。
「ううッ」
うめき声が部屋に反響する。
「ッ!!他に人がいるのか!?」
そう思った瞬間、自分が一人ではない(煉を除いて)歓喜とこの得体の知れない
空間に存在する人間への畏怖が入り混じった、形容し難い感情が襲ってきた。
いわゆる『戦慄』というものだろう。
「おい!誰かいるのか!?」
僕はそこら中を人影を探して見回す。しかし自分以外に人は見当たらない。
「ッッつぅ...俺は....一体....」
ハッキリと男の声が聞こえた。こっちの方からか!そう思って声の下に駆け寄る。
だがそこに人の影は見当たらない。あるのは足元に転がる白い物体だけ。
「.......これか?」
足元に転がる白い物体を拾い上げる...
それは拡声器だった。そう、声を大きくするスピーカーのようなあれだ。
男の声はどうやら、この拡声器から聞こえていたようだった。