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遠く

作者: 佐伯 梓

野球場の外 押入れの中


割れた電球の破片 暗がりの中


どこにもいない


どこへもいけない


昨晩愛した悪夢にすら


見捨てられてしまった


何者でもない


理解もできない


己を探し求める


後悔の念と執着の意志


闇に消える命は刹那



澄み切った青空 プラスチックボトルの中


オセロの盤上 街灯の下


小さな瞳を開いたとて


見えているものはごく僅か


光明へ向かい


患いと憂いを引っ提げて歩けど歩けど


誰とも会わない


誰にも合わない


こんな世の中


そんな世の中


それでも私は

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