あとがき
【ご注意ください】
本日二回目の投稿です。
本編最新話は、一つ前の投稿分です。
本編をお楽しみいただいてからお読みください。
ご愛読、誠にありがとうございます。
本作、『2番目の魔法少女[4](終)そして結末へ』は完結しました。つまり、長らく書きつづけてきた『2番目の魔法少女』シリーズもついに完結させることができました。
掲載までに、言い訳できないほど長い休み(イコール執筆時間ではないことが申し訳ない限りです)を頂きました。個々の作品は完結していても、シリーズとしては永遠に……と、心配をおかけしたかと思います。
それでも、こうしてこの場所に到達できたことが、自分自身誇らしくもあり、何より最後の最後まで見捨てずに待っていて下さった、読み続けて下さった皆様のおかげです。
この場をお借りして――本当に、ありがとうございます。
人気の『ファンタジー』ジャンルでありながらも(しかも、途中にジャンル再編の動きを挟み)、変化球の連続で、[4]にいたっては全編がミステリーの解決編のようになっておりますが――構想した内容は余すことなく書ききったと思っております。
すこしでもお楽しみいただけたなら、これ以上の幸せはありません。
それでは、恒例の蛇足的解説です。
長くなります。
ご興味のある方はどうぞ。
(1)ストーリーについて
前作[3]の『あとがき』に書いた、私の『書きたいシーン』の他に、ストーリーの原動力となったものがあります。
それは、『小説家になろう』サイト内で見られた流行についてです。
直接的に表現すれば、異世界への召喚や転生。そして、敵対すべき立場の二人(魔王とお姫様とか)が顔を合わせたとたんに恋に落ちる話でした。(流行については、ストーリー考案当時の、私の主観によるものです。読んでいた作品自体に偏りがあったことも承知しております)
どちらも、設定そのものが悪い訳ではありません。私は、『そこに物語がない』ことが気に入らなかったのです。
――じゃあ、どんな物語があれば、異世界から召喚された魔王とお姫様が愛を語り合っても、許せるんだろう。
その考えと、当時考えつつあった魔法少女と天才少年の話が融合した結果が、本シリーズなのでした。
振り返ってみれば、自分の好みと流行への批判が、この作品の原動力だった気がします。
本作[4]の最後、地平世界での一場面が書きたくて、それが際立つストーリーや設定を考えていました。シリーズの全体像から言えば蛇足とも言える部分ですが……驚くほど長くなってしまいました。
(2)キャラクターについて
・瑠璃――物語は彼女の成長とともにありました。魔法、考え方、行動が、変わったところと変わらないところを意識して書き分けたつもりです。文字通りに、彼女の親になった気持ちで見守ってきました。
・玖郎――物語の進行のほとんどが、彼とともにありました。彼がしゃべり出すとすぐに文字数が増えるのが悩みの種でした。全ストーリーにわたりイジメ通したので、最後の最後は活躍場面満載、瑠璃との甘々満載に仕上げました。決めゼリフの効果を実感しました。
・茜――王位継承試験は彼女の物語です。才能はあるけど不器用な主人公が、少しずつ魔法の制御を覚え、成長し、パートナーとの絆を深め、仲間達と協力し、困難を乗り越えて女王になる物語です。そんな視点でも、本作をお楽しみいただけると嬉しいです。
・珊瑚――昔も今も、女性陣には勝てる気がしない苦労の子です。その上、玖郎にも負けてばかり。それでもめげずに真っ直ぐ立てる強さが、大人茜をメロメロにしているのかもしれません。
・常盤――瑠璃達のお姉さん役でした。瑠璃達に比べて登場シーンが少ないため、彼女の成長が表現しきれなかったところは、今後の課題としておきます。
・綾乃――物語の……息抜き担当だったかもしれません。瑠璃達に比べて登場シーンが少ないはずなのに、何故こんなにキャラが立っているのか。その答えは、私がこのテのキャラクターが好きだから。えこひいきだ。
・向日葵――平和担当。こういうふんわりした性格が、殺伐とした戦いや暗鬱たる現実を際立たせてくれます。瑠璃や茜のような主要な立場にいないのに、不思議と描写すべきシーンがある(いるはずなのに描かれない、となりにくい)キャラクターでした。
・翔――珊瑚を上回る苦労の子です。この[4]で、彼の見せ場を忘れずに(しかも前半の山場として)書けたことを自画自賛したいです。彼を地上フロアに置き去りにするための合理的な理由を考えることが、設定考案時の山場になっていたことは秘密です。
・朝美――玖郎が〈騎士〉にならない『最後の理由』とワンセットだった委員長です。予想通りでした? 驚きました? 驚いてもらえたら良いなぁ。
・クロミ――主人公の前に立ち塞がる、悪の障害として書きました。彼女の過去をそこまで壮絶にする必要があったのか、もう少しマイルドでも良いのではないかと思うこともありますが、瑠璃や茜の前に立つためには必要だったのではないかと。彼女が正体をあらわすシーンにも、驚いてもらえたなら良いのですが。
・ジャッジメント――怪しいのか、ただのマスコットなのか、最後の最後まで謎につつまれていた〈精霊〉です。その正体まで、まるっと予想通り――という方は少ないと期待したいです。
・琴子――困った時に頼れて、話を聞いてくれて、信じて送り出してくれる。そんな、瑠璃にとっての『地球世界のお母さん』として描きたかったのです。チートレベルの能力よりも、温かいご飯を作って待っていてくれる存在の方が偉大なのです。彼女のおまじないも、演出上とっても重要でした。
(3)その他
・修正点――シリーズ全体を通して矛盾がないよう、一部内容を修正しました。
[1]の夜空を見上げるシーンで、一番星だけでなく、月に言及するようにしました。(玖郎が『地平世界でも同じ星が見えるのか』と聞くのが唐突だから。演出向上のためです)
[2]の海岸でサラマンドラと対決するシーンで、玖郎への合図を『頬を切る風』から『目の前に現れるつむじ風』に変更しました。(〈保護魔法〉で守られた玖郎の頬は切れません。描写ミスでした)
[3]の最終〈試練〉の開始時刻を『午後三時』から『午後五時』に変更しました。(日没時刻を考えると、クライマックスまでに暗くなりません。演出上の都合です)
・次回作――順調に行けば、如月弥生とイチガツが活躍するミステリーを書くと思います。
その次については、具体的な構想はありません。
(『仮面ラ○ダー』を書きたいと友人に言ったことがあるような。『エレキギターの不良青年とヴァイオリンの優等生青年の青春物』とか、ずばり『恋愛を主眼においた恋愛物』とかも少しだけイメージしたことがあるような。――混ぜるか。いや、やめておきます。混ぜるなキケン)
こんな話が読んでみたい、というご要望があれば(採用率は非常に低いかもしれませんが)ぜひお聞かせ下さい。
と、こんなところでしょうか。
引き続きのご愛読と応援を、よろしくお願いいたします。
このような形で、皆様にお会いできることを楽しみに。
それでは、また。
(2017/03/10)




