言葉。
「おいしい」
普段は特に何も言わない僕。
でもその日機嫌がよかった僕は、妻の料理を食べて思わずそんな事を呟いた。
たったそれだけの事だったのだ。
「ほんと? 今日のはちょっと自信作だったりするの」
それから妻の機嫌は良くなり。
食後も珍しく会話が弾み、寝る頃には何かすごく充実した一日を過ごした気分で、眠りにつくことが出来た。
その日、僕は言葉の大切さを知らされた。
「ありがとう」「ごめん」「おはよう」「おやすみ」
「行ってきます」「ただいま」「いただきます」「ごちそうさま」
別に目を見てはっきりと言わなくたっていい、そっぽを向いてボソッと呟くだけでもいいのだ。
たった一言、たった数文字。
それだけで、それだけの事で世界は変わる。
自分の世界も。
他人の世界も。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
今日だって、ほら。
読んでいただきありがとうございます。
しっかり挨拶をして玄関を空けると、いつもより世界が輝いて見えたりしますよね。
言葉って本当に不思議で、大切なものです。