第七話 「喰」
初めましての方は初めまして
村瀬灯火です
第七話はじまります。
「想くんがいても部長がいなくちゃ文化研究部はなくなっちゃうよぉ。」
渚の涙は止まることなく流れている。
もし部長が死んでいたならば俺たちの物語はここで終わっていたか
または渚が神戸莉怨をうらみまた一つの戦いが生まれ一つの命を奪っていたのだろう。
「命」それはたかが一つでも全てを変える力がある。
部長が生きていることは俺たちにとって心の支えでありこの物語の支えであるのだ。
「渚殿、そんなに心配するではない。今生きているそれだけで十分ではないか。」
部長がそういってから少ししてようやく渚は泣き止んだ。
そして少し落ち着いてから俺たちは部室に帰ることにした。
帰り道の途中、部長は俺の耳元でささやいた。
「詳しい話はまた渚殿がいないときに。」
部長は渚を心配させたくないのか
「禁断」について話はまた今度らしい。
少し歩いてから部室に帰ると
見慣れない紫色の髪をした短髪の金持ちそうな風情をした男がいた。
「一体君たちはどこでなにをしていたのかね? ん・・・君はみない顔だね。」
紫男は俺の顔に顔を近づけてきた。
「帝殿、久しぶりだな。何故部活に?」
部長は紫男に言った。
「この学校内で亜空間の発生源を部室内にあると感知したので来たのだが、もう終わっていたようだな。」
紫男は机の上に偉そうに座り言ってきた。
「想志殿、この方は三年の月影帝殿だ。」
帝は部長説明されてからまた俺のほうに近づいてきて
「ほう想志・・・君が結原想志であったか。こいつはなかなかおもしろい。」
俺の顔を見ながら帝は笑っている。
「あんた俺のこと知ってるのか?」
俺のことを知っている風にしている帝が少し気になったので訊いてみた。
すると帝は俺の顔から顔を離し部室を後にしながら
「期待しているよ。」
とだけを言い残していった。
帝がいなくなってから渚も続くように
「今日はいろいろと疲れましのでお先に失礼します。」
と帰ってしまった。
部室内は部長と俺だけになってしまった。
少しの間二人だけの空間は静かに流れていた。
この空間を断ち切るように部長は俺に言った。
「二人きりになったことだし「禁断」について詳しく話そう。」
静かな空間だった空間は重い空間へと変わった。
「さてどこまではなしたかな?」
部長は俺に聞いてきた。
あれから色々とあったし忘れているのも無理はない。
「確か、力に負けた能力者は喰われるというところまで。」
俺も話が難しすぎて曖昧な記憶しか残っていなかったが
その記憶の中から疑問に残っていたワードを部長に言った。
その言葉を聞いた部長は真剣な顔色に変えて
「禁断」のことに語り始めた。
「「禁断」という能力は能力者自身の想いの力を使い能力に表すことができる。
つまりその能力者の想いが強ければ強いほど強化され弱ければ弱いほど劣化する。
しかし想いの力が能力者自身の限界を超え制御できない状態になれば
能力に喰われ人としての人格を奪われ、ただの能力をつかうだけの人形になり下がってしまう。
そのため「禁断」は想いを安定し続けることができる許可を得たもののみが使うことを許されている能力。
一度能力に喰われた能力者はもうもとに戻ることはできない。あとに残されるのは自然的な死を待つことだけだ。」
と部長は俺に真剣な目をして言った。
難しい話であるが様は「禁断」というものは危険な能力である事は分かった。
「禁断」は人の想いで作る能力。
「禁断」を持つものはいかなるときも心を安定してなけらば死ぬという危機感に晒されながら生きているのだ。
そんな部長は何故ここまでやさしく生きているのか。
確かに俺は部長が思いっきり笑っているとこや泣いているところ見たことがない。
そんな人として当たり前の感情までも制御する「禁断」
それはまるで悪魔のようだ。
やさしく生きている部長にもそんな重いものを背負いながら生きていることを知り心が締め付けられた。
「部長・・・ありがとうございます。」
俺は勝手に口から言葉が出てしまっていた。
この言葉以外は部長にかえせなかったのだろう。
部長の話を聞き、助けることもできない。
部長の話を聞き、かえす言葉も見つからない。
そんな無力な自分を知った俺は思わず涙を流してしまった。
人生の中でろくに泣いていない俺は今、部長の話を聞き泣いてしまった。
すると部長はいつものようにやさしく
「想志殿、泣くほどではない、私なら大丈夫だ。ありがとう。」
と声をかけられたことに俺は涙がこみ上げてきて大泣きをしてしまった。
自分の安全を考えず人のことを先に考えている部長を見て俺は決心した。
俺は部長を守る。
そして部長にも自分のことをもっと考えてほしい。
俺は初めて人を守りたいと思ったのだ。
初めて人を好きになったのだ。
次に期待w