第12話!〜結華暴走〜
龍星から鋭い爪を抜いたソウルイーターはまるで勝ち誇るかの様に高らかと雄叫びを上げた!
『グォォォォォンッ!』
「龍星さん!チッ!てめえは暫く凍ってろ!!」
明也は吐き捨てるとソウルイーターに向かって両手を翳す。
するとソウルイーターの周りを冷気が取り囲みソウルイーターを核に巨大な氷が形成された。
「龍星さん!くっ酷い出血だ」
明也は龍星に近付くと龍星の身体に手を置き傷口を氷で被う。
「これでこれ以上の出血は防げるが早く手当てをしないと手遅れになる!ソニア!」
『はいはーい!』
明也に呼ばれたソニアは瞬時に駆け付け明也が龍星をその背に乗せると救護班の居る場所に向かって走り出すのであった。
「学園長!アレは生徒達の手におえる魔物ではありませんよ!?」
教師の一人が、剛造に詰め寄り意見を出す。
「確かにのう。じゃが、教師達でアレに対抗出来るのは儂と火鳥先生位じゃろう。高原先生は結界の修復にかかりきりじゃし、儂も火鳥先生もこの場で戦う訳にもいかん」
「何故ですか!貴方方は生徒達を見捨て「戯け!!」ッ!」
「儂等が生徒達を見捨てるじゃと!?ふざけた事を言うでないわ!あやつに対抗するには儂も氷美湖も全力で当たるしかない!じゃが儂と氷美湖が全力で戦ってしもうたらこの学園周囲1キロは焼け野原になってしまうのじゃ!」
剛造も氷美湖も嘗てはギルドの四神の一人【朱雀】と謡われた人物。
無論その能力は炎であり、結界が破壊された今の学園で全力を出すと言う事は周りに大被害を与えると言う事なのだ。
「それに恐らく私と師匠の炎は通用しないでしょう」
剛造と教師の話し合いの最中、生徒達の避難を終えた氷美湖がやって来た。
「火鳥先生?それはどう言う」
「高原先生に聞いたんですが、ソウルイーターはその爪牙で傷付けた者の魂を喰らい属性を取り込む事が出来るそうです。今傷付けられた生徒は龍星のみ。そして、龍星の魂の属性は・・・・・・炎」
氷美湖がそこまで言うと教師は流石に気付いた。
炎に炎をぶつけてもそれは更に燃え上がり被害を拡大する。
ならば氷や水の属性ならばどうか?と思うだろうが、燃え上がる炎に生半可な氷や水をぶつけても化学反応を起こし氷や水は水素と酸素に分解される。そして、水素と酸素は炎を爆発的に燃やすのだ。
「ならば、慎一君に!」
「儂もそう思うて連絡を取ってみたんじゃが、奴も現在ソウルイーターと交戦中だそうじゃ」
「なっ!?あの様な魔物がもう一体!?」
どうやら、今日は月詠学園の最も長い1日になりそうだった。
「急げ!輸血の準備だ!治癒術師の増援を呼べーっ!!」
一方、救護室に運ばれた龍星の容態は厳しく救護担当の鏡保険医は慌ただしく周りに指示を飛ばしていた。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!私を置いて逝ったらやだよ!」
つぐみは龍星の身体にしがみつきながらずっと泣き叫び、芹香と白姫は余りの出来事に気を失っていた。
「木原、私の指示に従って氷を溶かす事は可能ですか?」
「えぇ。容易い事です」
「ならば、治癒術と並行し血管並びに臓器の修復を行う!木原以外は外に出ていなさい!」
「やあぁぁぁぁっ!お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
「・・・・・・つぐみ、堪忍な?」
龍星から離れようとしないつぐみの首筋に深紅は手を持っていき軽い雷を走らせる。
バヂッ!
「みゅっ!?お、兄ちゃ・・・・・・」
「・・・・・・せんせ、明也。龍星を助けたって下さい」
深紅は気を失って倒れたつぐみを支えると鏡保険医と明也に頭を下げ救護室から出ていった。
「我は・・・・・・何をしているのだ。友の仇を討つ所か、また友を失うのか」
救護室の外で冬樹は力なく呟く。
「・・・・・・行こう冬樹。ソウルイーターを止めに」
そんな冬樹の肩に手を置き秋斗は言った。
「でも、私達だけじゃ・・・・・・」
初音もまた力なく呟いた。
「あぁ、僕達は弱い。だから、皆で力を合わせよう」
だが、秋斗の言葉に冬樹と初音が秋斗を見る。
「僕達は憎しみの余り、周りの力を借りる事無く突っ走り負けた。使い魔たるネプチューンやサターンと力を合わせようともせずに。だから今度は皆で力を合わせよう」
『ならば俺の力も合わせてくれないか?』
秋斗が言い終えると同時に響いた声に秋斗達が振り向くと其処には黒い髪で左目を眼帯で覆った一人の男子生徒が立っていた。
「貴方は・・・・・・?」
冬樹が男子生徒に名を尋ねようとした時、救護室の扉が開き深紅がつぐみを抱っこして出てきた。
「深紅」
「あ、炎心・・・・・・」
男子生徒が深紅に声をかけると深紅はつぐみを救護室の前にある椅子に座らせ男子生徒の胸に抱き付く。
「えん、しん。りゅうせいが・・・・・・りゅうせいがぁぁぁぁぁ」
ぼろぼろと涙を溢しすがり付く深紅の頭を撫でながら男子生徒は深紅に声をかける。
「大丈夫だ。龍星さんがお前達を置いて居なくなる訳が無いだろう?」
「完全に無視されてるな」
「駄目だよ冬樹。空気読まないと」
「つぐみんぷにぷに〜♪」
イチャつく二人に冬樹が呟くと秋斗が突っ込みを入れる。そして初音はつぐみの柔らかい所をぷにぷにしていた。
それから暫くして泣き止んだ深紅の頭を撫でながら男子生徒は冬樹達に向き直る。
「待たせて済まないな。俺は三年の火鳥炎心。龍星さん達の幼なじみで深紅の彼氏だよ」
「神埼の・・・・・・って火鳥?」
「君達の担任である火鳥氷美湖は俺の姉にあたる」
炎心と冬樹達の話が続く中、深紅は結華の姿が見えない事に気付いた。
「結華は何処におるん?」
「ん?中に居るんじゃないのか?」
深紅の質問に冬樹が答える。
「おらへんよ?」
「何?我達の所にも居ないぞ?」
深紅と冬樹が周りを見渡し結華の姿を探しているとグラウンドから二つの咆哮が轟いた。
『ギシャアアアアアアアッ!!』
『グルアアアアアアアアアアッ!!』
「なんだ!?」
「今のは・・・・・・結華か?」
冬樹達は互いに頷きあうとグラウンドに向かって走り出した。
そして、グラウンドに着いた冬樹達が見た物は・・・・・・。
『ギシャアアアアアアアッ!!』
赤く染まった髪を振り乱し目を真っ赤にし異様に伸びた爪と犬歯でソウルイーターを蹂躙する額から二本の角を生やした結華だった。
「結・・・・・・華?」
「あの姿・・・・・・あれはまるで」
「・・・・・・鬼」
深紅・初音・秋斗が荒れ狂う結華を見て呆然と呟く。
そうこの結華の姿こそある感情を糧とし、ゆいと一体化した姿。
この形態を『狂紅妃形態』と言う。
『ガアアアアアアアアアアッ!!』
『グギャアアアアッ!?』
結華はソウルイーターの腕をへし折り牙を砕くとソウルイーターの頭を鷲掴むと地面に叩き付ける。
『アアアアアアアアアアッ!!』
そしてそのままソウルイーターの頭を砕かんばかりに殴り続けるのであった。
結華さん暴走中!
龍星治療中!
つぐみんぷにられ中(笑)




