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獣境都市TOKYO:俺たちが生き残るための、殺戮ヒグマ殲滅マニュアル  作者: AAA
第三部

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第6話:塔内の戦闘:『知識と本能の融合』

電波塔の垂直ラダーを登りきったタケルは、地上150メートル地点の広大な中間フロアに到達した。換気システムが発する熱と、鋼鉄の軋む音、そして微かな焦げ臭さが、極度の緊張を強いる。


タケルの前には、二体のハイブリッド実験体と、五人の重武装した私兵が待ち構えていた。私兵たちは、異形種を制御するための音波装置を装着し、タケルの侵入経路を完全に塞いでいる。


「来い、獲物め」タケルは、鉈を低い位置に構えた。彼の全身の筋肉は、戦闘開始の瞬間を待って、張り詰めていた。


キィィィン!


私兵の一人が高周波音波装置を起動させ、タケルを狙う。しかし、タケルは既にその兵器の特性を知っている。彼は音波の直撃を避け、警備兵とハイブリッド実験体の間に滑り込んだ。


「アキラ!敵は音波制御を使う!獣は、音波に『絶対服従』している!」


『了解!タケル、私兵を叩け!獣を制御不能にしろ!』アキラが叫ぶ。


タケルは、驚異的な速さで警備兵の群れに突っ込んだ。鉈は、獣の皮膚を狙うのではなく、警備兵の制御装置を正確に叩き潰す。


バチバチッ!


三人の警備兵の装置がショートし、ハイブリッド実験体の動きが一瞬、停止した。


その隙を突いたのは、ハイブリッド実験体だった。彼らは、タケルの動きを予測し、停止している仲間の体を盾にして、タケルに強靭な爪を振るう。



タケルは、獣の猛攻を紙一重でかわしながら、アキラが教えた『兵器の弱点』を思い出していた。


「この獣は、タケルの動きを学習している。だが、『予測不能な知識』には対応できない!」


タケルは、鉈を捨てた。


「何!?」敵も味方も驚愕する。


鉈を手放したタケルは、代わりに警備兵から奪い取った拳銃ベレッタを握りしめた。彼は、射撃は得意ではなかったが、マタギとしてクマ撃ちの知識は持っている。


タケルは、獣の顔面を狙うのではなく、床の鋼鉄製のボルトを狙って発砲した。


パァン!


発射された弾丸はボルトを砕き、その破片が四方に飛び散る。そのうちの一つが、ハイブリッド実験体の眼球に命中し、獣は激痛の咆哮を上げた。


「鉈は本能。銃は知識!」タケルが叫んだ。


その一瞬の隙に、タケルは素手で獣の巨体に飛び乗り、獣の頭部を覆う硬い骨格の、唯一の柔らかな結合部に、指を突き立てた。


ブチッ!


タケルは、獣の脳への信号を遮断する結合を物理的に断ち切った。獣は、大きな音と共に、倒れ伏した。



その頃、塔の基部のシステム室では、ユキとアキラが死闘を繰り広げていた。


ユキが電力を遮断しようとすれば、ドクター・Aが遠隔でシステムをリブートさせる。その攻防の間に、新たな私兵がシステム室に突入してきた。


「ユキ!手を止めろ!俺が抑える!」アキラはライフルを構える。


「ダメ!遮断まであと30秒!私が手を止めれば、ドクター・Aに塔の全制御権を渡してしまう!」ユキは熱に朦朧としながらも、必死に抵抗する。


アキラは、システム室の唯一の出入口で私兵たちと対峙した。アキラのライフルの弾道は正確だが、相手は防弾チョッキを着ており、決定打を与えられない。


「くそっ、タケルが必要だ!」


アキラは、タケルとの戦闘で学んだ『奇襲』を応用した。アキラはライフルを床に置き、「降伏する」と見せかけて両手を挙げた。


私兵たちが油断した瞬間、アキラは腰に隠し持っていた音響グレネードを、自らの足元に叩きつけた。


ドンッ!


激しい音響と閃光が室内に広がり、私兵たちは耳と目を塞いだ。その一瞬の隙に、アキラは床に置いたライフルを拾い上げ、彼らの通信機と制御装置を正確に撃ち抜いた。


『遮断成功!アキラさん!最上階へのエレベーターロック、解除しました!』ユキが、力尽きたようにコンソールに突っ伏した。


アキラは急いでユキの元へ駆け寄ると、彼女を抱き起こした。


「ユキ!よくやった!あとは俺とタケルで、ドクター・Aを狩る!」


アキラは、塔の最上階を目指す。彼の心の中には、タケルが切り開いた『本能の道』と、自分が切り開いた『知識の道』が、今、完全に一つになった感覚があった。

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