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獣境都市TOKYO:俺たちが生き残るための、殺戮ヒグマ殲滅マニュアル  作者: AAA
第二部

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32/41

第10話:宣戦布告:『光と影の狩り』

タケルとアキラは、都庁の最も高い場所、屋上へと辿り着いた。強風が吹き荒れる中、彼らの足元には、獣の咆哮と、マタギ隊の掃討作戦の銃声が微かに聞こえてくる。


二人が屋上に到着したのと同時に、東の空が爆発したかのようにオレンジ色に輝き、夜明けを迎えた。


「作戦決行時刻だ。ユキ、準備は?」アキラが通信端末を握る。


『いつでも行けます、アキラさん。アクセスルートは確保。敵のサーバー、そして全世界のメディアに、一斉にデータを流し込みます!』ユキの声は、緊張と興奮で高まっていた。


「タケル、周囲を警戒してくれ。敵の追撃チームが来る可能性がある」


「ああ。来ても来なくても、この場所が、俺たちの『最終防衛線』だ」タケルは、鉈を背中に固定し、アキラに護衛用の散弾銃を渡した。



アキラは、自作した小型の増幅器を屋上のアンテナに接続した。これは、都庁に残された残存スピーカーをジャックし、音声を東京全域に響き渡らせるための装置だ。


「ユキ、『天照』、開始!」アキラが命じる。


『了解!ハッキング開始!』


都庁の地下サーバーでは、ユキの仕掛けたプログラムが敵の防御壁を一瞬で突破し、ドクター・Aの研究データ、そして「Rebuild T.O.K.Y.O. Project」の全貌が、インターネットを通じて、全世界へと拡散され始めた。


【速報:東京の巨大熊は、日本の防衛産業が開発した『生物兵器』だった】

【テロではない。国家関与のクーデター計画か】


世界のニュースサイトが一斉に、この緊急ニュースで染め上げられる。


そして、その直後。


ゴオオオオオオォォォォ……


都庁の全方位に残された、破壊されていない残存スピーカーから、巨大なノイズと共に、アキラの声が響き渡った。



「東京の生存者、そして、この街を見捨てなかった全ての人々へ告げる!」


アキラの声は、風とノイズに負けない、強い意志に満ちていた。


「我々、マタギ特殊部隊特務遊撃班は、ここに真実を公表する。この都市を襲う異形種は、自然の獣ではない!これは、国家の闇と結託した組織が、都市を『再構築』するための道具として生み出した、遺伝子兵器である!」


タケルの隣で、アキラは顔を上げる。彼の背後には、夜明けの太陽があった。


「我々が戦うべき相手は、獣ではなく、人間の傲慢な悪意だ!我々の指導部の一部は、この真実を隠蔽しようとしている!」


アキラは、全力を込めて叫んだ。


「我々は、この瞬間をもって、『東京奪還』を正式に宣言する!その目的は、獣の掃討だけでなく、この都市を実験場とし、命を弄んだ全ての組織を駆逐することにある!」


「国民の命を弄ぶ計画に加担した者たちよ!我々が、お前たちを『獲物』と見なす!狩りは、ここからが本番だ!」


ドスッ!


アキラが演説を終えた直後、屋上の扉が蹴破られた。熊嵐隊長から派遣された、マタギの精鋭隊員数名が、タケルとアキラを包囲する。


彼らの顔は、怒り、困惑、そして裏切られた感情に歪んでいた。



「タケル!東雲!貴様ら、組織の裏切り者だ!直ちに武装を解除し、データ収集端末を渡せ!」隊員の一人が叫んだ。


タケルは鉈を構え、アキラを背中に庇った。アキラは、データ公開の最終確認を終え、増幅器のケーブルを抜いた。


「俺たちは、裏切っていない」タケルは静かに言った。「真実を狩り、命の尊厳を守ることが、マタギの本当の掟だ。隊長は、掟を破った」


「問答無用!拘束しろ!」


隊員たちが一斉にタケルに向かって突進する。


タケルは、「マタギの流儀」を教え込んだはずの仲間たちに対し、鉈を振るう。それは、仲間同士の悲しい戦いだったが、タケルに迷いはなかった。彼の狩りの哲学は、今、「個人の信念」のために使われていた。


「アキラ!行け!俺が時間を稼ぐ!」


「ダメだ、タケル!俺があなたを置いて行く戦術は…」


その時、ユキの通信が入った。


『タケルさん、アキラさん!成功です!全世界のメディアが、このニュースをトップで報じています!そして…東京湾沖に、自衛隊の艦隊が展開を開始しました! 軍の介入が決定しました!』


アキラはタケルを見た。彼らの命懸けの『宣戦布告』は、確かに届いたのだ。


「タケル、もうあなたの命を懸ける必要はない!次は、『知恵』で突破する!」


アキラは、周囲の戦闘の混乱に乗じて、屋上の隅に仕掛けていた閃光手榴弾を炸裂させた。


ピカァァァ!


強烈な閃光が隊員たちの目を眩ませる。タケルはアキラの手を引き、屋上の縁から、ロープを使って隣の高層ビルへと滑り降りた。


彼らの背後で、東京の街は、真実の公開と、軍の介入という巨大なうねりに飲み込まれ始めていた。


タケルとアキラの『光と影の狩り』は、新たなフェーズへと突入する。


(第二部完 第三部へ続く)

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