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獣境都市TOKYO:俺たちが生き残るための、殺戮ヒグマ殲滅マニュアル  作者: AAA
第二部

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第5話:研究施設の闇:『ドクターの記録』

廃液処理管の終点。タケルの目の前には、分厚い鋼鉄製のセキュリティドアが立ちはだかっていた。


『タケル、扉は三層の物理ロックで固められている。ユキの解析によると、電源は既に切断されているため、残っているのは緊急用の油圧式アクチュエーターのみ』アキラの声が冷静に響く。


「油圧式か。破壊工作の痕跡を残さずに開けるのは不可能だ」


『その通り。だが、あなたは「マタギ」だ。音を立てずに開ける必要はない。一瞬の破壊音で、警備チームが駆けつけるまでの『時間差』を生み出せばいい』


アキラは、扉の構造図と、最も油圧が集中するポイントをタケルの暗視ゴーグルに投影した。


「そこを鉈で叩き込めば、扉は内側に歪む。警備チームが来るまで、2分。それが俺たちの命綱だ」


タケルは、鉈を静かに、そして力強く振り上げた。マタギの鉈は、ただの刃物ではない。長年鍛え上げられたその刃は、鋼鉄すらも断ち割る「山刀」だ。


ギィン!


鋭い金属音が静寂な地下に響き渡る。タケルの全身の体重と腕力が一点に集中し、油圧機構を叩き潰した。三層ロックは同時に破壊され、扉は内側に大きく歪んだ。


タケルは歪んだ隙間から研究所内部へと滑り込み、すぐさま鉈を構えて身を潜めた。



研究所の地下は、想像を絶する光景だった。


そこは、無機質なコンクリートとステンレスに覆われた、巨大な「兵器工場」だった。通路の脇には、異形種が誕生する過程に使われたであろう、巨大な培養槽が並び、その中には緑色の液体が残っていた。


「アキラ。ここは『製造現場』だ。間違いない」タケルは震える声で報告した。


『タケル、あなたの右手、通路を進んだ先にメインラボがある。警備は…人間だ。熱源が三つ、重武装している。ユキ、回避ルートを』


『メインラボに繋がる換気ダクトがあります。タケルさんの体型ならギリギリです』


タケルは、警備チームとの戦闘を避け、換気ダクトへと身を滑り込ませた。彼は、警備員の怒声と、足音を頭上で聞きながら、ひたすら前へ進む。



換気ダクトを抜け、タケルが辿り着いたのは、中央データサーバー室だった。部屋の壁一面には、無数のモニターが並び、異形種の生態データ、東京全域の熱源マップ、そしてマタギ隊の行動パターンがリアルタイムで表示されていた。


タケルは、アキラが持ってきた小型のデータ収集端末をサーバーに接続した。


『OK、タケルさん!このシステムは、外部ネットワークとは完全に隔離されています。今から全データをミラーリングします!』ユキの声が興奮気味に響く。


データ転送が始まる中、タケルはメインモニターに残された研究主任のログを視認した。


【ログ:異形種ベア・ハイブリッドプロトコル・アルファ:製造責任者:ドクター・A】


そして、その下のプロジェクト名。


【防衛省外郭協力プロジェクト:T.O.K.Y.O.再構築計画(Rebuild T.O.K.Y.O. Project)】


タケルは絶句した。異形種の製造に、日本の防衛産業が深く関わっていた。彼らが戦っていたのは、山が産んだ獣ではなく、国家の闇と、その傲慢な計画だったのだ。


『タケルさん!データ取得完了!これで決定的な証拠が揃いました!』ユキが叫ぶ。


その瞬間、サーバー室のドアに設置されたセキュリティーライトが、赤色に点滅した。


「侵入者確認!サーバー室を封鎖!」


警備チームが、タケルの潜入に気づいたのだ。


『タケル!警備チームが向かっている!彼らは武装している!すぐに脱出を!』アキラの警告が焦りを帯びる。


タケルは鉈を構え、サーバー室の分厚いドアの前に仁王立ちした。


「アキラ。道を開けろ。証拠は手に入れた。だが、この場で、奴らの『狩り』は終わらせる」


タケルは、自らの命を犠牲にしてでも、ここで敵の戦力を削り、アキラとユキに真実を託すことを決意した。彼の狩りが、人対人の戦いへとシフトする。

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