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再びアリーナに帰ってきた。
王都の円形闘技場はアップデートされ、数万人が入る規模になっていた。ギャラリーも増えていて、初心者の試合でさえも空席は目立たないほどだった。観客席に行ってみた。別のプレイヤーの試合の声援が、轟くように響いている。
(ここで恥はかけないな……)
試合を見終わってから、メニューウインドウを出し、マッチングロビーで参加者として登録。
久しぶりだったので、《ゲルニカ》が食いついてくるまでに時間が掛かり、通常プレイヤーのデュエル申請を何度も断らなければならなかった。
(こいつらなら確実に勝てる。でも、最初の勝利は連中からもぎ取ってやる)
三〇分くらいして、新たな人物がロビーに加わった。ID/ゴーリキン――リストに載っていた連中の別垢だ。
(……来たな)
俺に申請を送ってきたので、すぐに承認した。
アリーナのフィールド・ポータルに、対戦相手が転送されてきた。
相手の装備を見る。衣装アバターというものによってどんな装備なのかは、一見して判らない状態になっている。それ自体は良くあることだが、衣装アバターは出現率が絞られているがゆえに、新規の多い下位ランクではあまり見かけない。そのはずなのに、俺の対戦相手のアバター率は百%――明らかに異常だ。しかも衣装で隠せないアクセサリー装備などが、SR等級以上で構成されている。
(アクセの傾向から見て、《シュヴェルト・ブリッツ》編成か)
フェンシング系武器の専用技を厳選した、連撃主体、速攻型の攻撃編成。育ちきったタンクでさえも圧倒できる高火力編成で、初心者なんて有無を言わさず瞬殺だ。そんなものを低ランクの試合に持ち込んでいるのだ。どんなに追い詰めてもあっさり逆転されてしまう理由が、ようやく飲み込めてきた。