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「コロッセウムより規模は大きいですが、所詮はミッドガルド人の真似事ですよ。見世物の猿芝居、あっちの言葉で言うプロレス……ですか? ああやって人を集め、アスガルドの守りを固めているつもりでいますが、こちらは裏を欠きます」
シルバーはその目を、試合中継に戻した。
「聞いていませんね。任務を拒否するつもりですか?」
「そうは言っていない」
ガヴァナーはやっと水晶に目を向けた。そしてまじまじと中継を見つめ、困惑を含んだ問いを発した。
「あれは……リア?」
「いいや。リアは死んだ。私が殺した」
「似ていますね」
中継の中で、花びらの旋風を伴う分身攻撃がくり出された。
「分身の数が少ない。執行者は、死んだ第一次勇者から〝劣化した量産装備〟を生成して、第二次勇者に配っていると聞きます。所詮は二番煎じにすぎません」
「剣筋が似ている」
「シルバー……貴方、何を考えているのですか? まさか、あの闘技場に紛れ込むつもりじゃ……?」