『助けを乞うものだとしても』
辛いこと悲しいこと
思い出すたびに
降り積もっていく
ひとひらの雪のように
いちまいの花びらのように
いつか足元一面を覆い尽くしてしまう
ただそれを
真っ白な雪に泥汚い足跡をつけた泥濘とするか
桜の花びらが織りあげる美しい絨毯とするかは
気持ちの持ちようだというけど
そうそう簡単じゃない
辛いこと悲しいことを
嬉しいこと楽しいことに
容易に変換できればいいけど
できるはずもないし、やろうとも思わない
簡単じゃないから
忘れられないのは辛いけど
そのままじゃやっぱりだめなんだろうなと思うから
何かしらが降り積もっていく足元が
泥濘んだ雪道であろうが桜の花道であろうが
深呼吸をして
その日の空を
見上げることにした
その行為に意味がなくても
その行為が助けを乞うものだとしても
まあいいや、それでいいか、と
毎日