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ふと抑えていた衝動が掻っ切れた。鬱屈とした何もない日常に癒やしを求め新山沙恵の首を絞めた。

 彼女との面識は、図書委員での活動やクラスでの事務的な会話。その程度の関係。お互いに距離を縮めようとしたり、フランクな会話ができる仲になろうとも考えていなかっただろう。

 いや、自分は違った。

 何も期待していないと虚勢を張って、傷つくのが怖くて、空気を読んで最適な立ち回りを演じなければいけない人との交流から逃げていた。

 今にも切れそうな青白い蛍光灯、薄暗い書庫、古本の匂い。

「何でこんなこと」

 必死に振りほどこうと仰向きのまま体を激しく揺らし、か細い声で彼女は言った。

「寂しかったんだ。こういう歪んだ形でしか人と接する機会を作れないと絶望していたんだ。孤独は人を狂わすよ、答えのでない思考を無限に繰り返して常に漠然とした不安に襲われて」

「迷惑極まりないね。そんなオナニーに付き合わされて」

「そうだね、まったくその通りだと思うよ。ねえ僕の彼女になってよ」

「イカれてるね君」

 その嘲笑を含んだ言葉に全神経が震えるのを感じる。手を緩め興奮交じりにもう一度僕は聞いた。

「ねえ僕の彼女になってよ」

「死ねやメンヘラ」

「君の体で遊んだあとに逝くよ。これで思い残すことはない、君の中で僕は永遠に生き続ける」

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