第一話
第1話 〜理不尽〜
「なんでなのよ!」あの野郎…。私、ラナンキュラス・ルリが何故、こんなに怒っているかと言うと…
遡ること数分前。
私は自分の部屋で、スマホをベッドの上で眺めていた。最近ドハマリしている漫画アプリの新作の漫画を読んで、感動しているところに、私の父、ラナンキュラス・ランタナがノックをせずに、入ってきたのだ。挙げ句の果てに、
「ルリ、部屋にスマホは持っていかないと言うルールを守りなさい。」とおきまりの怒りトーンで言われた。私は超絶頭にきて、今にも言い返してやりたかったわ。
『は?死んでしまえ。』と。でもそう言うわけにもいかないのを私はわかっているので、小さく頷くだけで、父の足音が遠ざかったのを確認して、廊下に積まれているダンボールの上に置いて、勢いよく部屋の扉を閉めた。
って、私が誰かって?
私の名前はラナンキュラス・ルリ。父のランタナと、母のツツジ、兄のシクロの四人で暮らしている。私たちが住んでいるのはクワドと言う、アメリカ合衆国のような巨大な国の南の方のミント州。私の家はお金持ちでもなければ、貧乏でもない。幸せでもなければ、不幸でもない。…と言うように、非常に曖昧な家系なのである。しかも、私の母、ツツジ。ツツジの花言葉は『慎み』なのだが…私の母はきっと、ヤマツツジを参考にして名付けられたと思っている。なにせ、ヤマツツジには、『曖昧』と言う意味がある。厳しくもなく、甘くもなく、穏やかでもなく、乱暴でもない、本っっっっっっっ当に曖昧としか言えない人物。私自身は曖昧と言うのが1番嫌いだった。ハキハキしてなければ人生辛いに決まってんでしょ。
ちなみに、父のランタナと言う名前は花言葉で、『厳しい』というのがあるのよ?まさにその通りですわって感じだけれど。
兄のシクロと言う名には、『安心』と言う意味がある…けど、まっったくそんなことないんだけど?!安心のあの字すらない兄に私の父と母がどうして『シクロ』なんて名前をつけたのが不思議で仕方がないわ。
それより!私の名前の方が不思議で仕方ないわ。そう。ルリは花ではない。そして、私の偏差値72もある脳みそ(中学受験で偏差値70超えの学校に受かっている)で考察し、調べた結果、一つの花にたどり着いた。そう。『ルリハコベ』。ルリハコベには約束、と言う花言葉がある…のだけれど、言葉には表と裏が必ずある。コインに表裏があるのと同じようにね。約束の裏、そう、それは『裏切り』
なんで可愛らしい娘に裏切りなんて意味でも捉えられる名前をつけようとするのかしら?
このとんでもない花言葉と名前の関係性を知ったのはついこの前のこと。2週間目ぐらいのことだろうか。ミント州最大の図書館、ルメル図書館に一人で行った時のことだった。ミント州1番の腕の医者に1ヶ月前に診てもらった時に、『突発性天才症候群です。』と言われた。人間…日本たアメリカ、ロシアなどの国が存在する世界では、知的障害がある代わりに、一つの分野が特別に得意と言うものだが、(通称サヴァン症)私たちの世界では、どんな分野においても、優れている人のことを指す。約10万人に一人しかいないと言われているほど、珍しいものだと言う。診断書を見る限り、私はその可能性が高いと示されている。が、これは、主に家系で受け継がれるものだと言うらしく、私の知る限り、このラナンキュラス家では、突発性天才症候群の人は一人もいない。でも、まだ先祖のことはあまり知らないから、この図書館で保管されている、一家一家の家系についての本を探しに来ていた。ら、偶然なことに、この最低な名前についての事実を知ってしまったと言うことだ。本っ当にとんだ偶然だわ。こんな偶然いらないわよ。まぁ、名前のことは別として、残念なことに突発性天才症候群についての記載が一つもないのはおかしいわ。だって、血筋が関係あると言うことなんだもの。じゃあ私はラナンキュラス家の子ではいないと言うこと?と考えたものの、私の名前はしっかり記されていた。
となると…なぜ私は突発性天才症候群なの…?
あとがき
初めまして!らると申します。この度は私の作品、『ちょっと!私に隠してることをいいなさい!』をお読み頂き、ありがとうございます。
私は小さい頃から小説を書くのが大好きで、私の実際の経験を絡めつつも、ファンタジーで、リアル性のある作品を作ることを目標に頑張っています。
まだまだ未熟なところはございますが、次の話もどうぞお楽しみに!
次回予告
突発性天才症候群と自分の家族の家系に疑問を抱きラナンキュラス・ルリ。
明らかになる真相。
許されない事実。
穏やかな日々を脅かす事実が少しずつ、ぼんやりと見え始める。