第二説 口裂け女
ねぇねぇ… 「口裂け女」って話… 知ってる?
その女はね… 耳まである大きなマスクと… 真っ赤なロングコートを身に着けていて…
『私キレイ』って聞いてくるの…
その時に正しい答え方をしないと… 手に持っている鎌で…
首を斬られて殺されちゃうんだって…
怖いよね…
●第二説 口裂け女
コッ… コッ… コッ…
『ねえ… そこのあなた…』
「はい?」
『ねえ… 私、キレイ?』
「あ、質問はマネージャーを通してお願いしますぅ」
『何でよ! どこの芸能人よアンタは!』
『違うでしょう。私キレイときたら分かるでしょう』
「あ… もしかして…」
『そうそう、ソレよソレ』
「近所の山田さんの幼馴染のはとこの親友の彼氏の愛人、ジャスミンさんですか!?」
『何がなんだか分かんないわよ! ていうかアタシどっからどう見ても日本人のハズなんだけど!?』
「ジャスミンさん、日本語ずいぶんうまくなりましたねぇ」
『だから違うっての!』
『ちょっとアンタ!まさかこのアタシを知らないわけ!?』
「ん~… ちょっと待ってくださいね~…」
『何なのよもう… こんなの初めてだわ…』
「どっかで会ったことはあると思うんですけど…」
『それは無いわよ!アタシに会った奴は9割方殺されるんだから!』
『ちょっと… いい加減にしなさいよアンタ。殺すわよ?』
「まあまあ、冗談ですって。口裂け女さんでしょ?」
『知ってるんじゃないの。分かってんなら最初から言いなさいよ。こういうのはリズムが大事なんだから』
「そりゃ知ってますよ~。有名じゃないですか」
『あら… そうなの?』
「そうですよ~。みんな知ってますよ」
『…そ、そう。それは光栄だわ』
「ただちょっと顔が出てこないんですよね」
『目の前にいるでしょうが!すでにご本人登場済みでしょうが!』
「… あ! あなたがあの!」
『さっきからそう言ってるでしょ!』
『…まあ、いいわ。もっぺん最初からやり直すわよ。 ねえ、私キレイ?』
「… え~っと… (ヒソヒソ… これどうやって答えればいいんでしたっけ…)」
『… (ヒソヒソ… キレイって答えるのよ… っていうか船場○兆じゃないんだから!)』
「そうだそうだ。 ええ、キレイですよ」
『…これでも…』
「ただ、目と鼻はあんまりキレイじゃないかなぁ」
『じゃあそれブサイクじゃないの! 口元隠して目と鼻ブサイクじゃ純度百パーでブサイクじゃないの!』
「そんな卑屈になってはいけませんっ!」
『怒ったときの杉下○京みたいな言い方しない! っていうかアンタのせいでしょうが!』
『余計なことを言うんじゃないの! このままマスクを外してギャーっていく流れでしょ!』
「えー、外すんですかぁ?」
『当たり前でしょ。外さないと話が続かないんだから』
「外せないっていう体でいけませんかね?」
『いけるわけないでしょ!どうしてそうなるのよ!』
「口裂け女のマスクは呪われている!」
『呪われてないわよ!ドラ○エか!』
「ドゥルンドゥンドゥンドゥンドゥンドゥンドゥンドゥンドゥールルン♪」
『あの嫌な音楽出さなくていいの!』
「詳しいですね」
『ドラ○エは私達の世界でも有名なのよ! …って変なことを言わせないでちょうだい!世界観世界観!』
「でも口裂け女さんってホント有名ですよね。どうしてなんですか?」
『そんなのアタシが知ってるわけないでしょ』
「自分としてはどう思います?」
『マイクフォローやめなさい。 …そうね、やっぱり鎌で殺されるってところが怖いからじゃないの』
「え! そんな怖いんですか!?」
『アンタ今頃気づいたの!? ってかさっきアンタあたしのこと知ってるって言ったじゃん!』
「てっきり木更津のほうの口裂け女さんかと思ってて…」
『木更津にバージョン違いなんて無いわよ!勝手に話を作り替えないで! っていうかその木更津バージョン知っててなんで本家のアタシを知らないの!?』
「知らないんですか?木更津では今口裂け女さんがアツいんですよ」
『何よそれ!勝手にニセモノ流行らせないでよ!』
「アムラー、シノラーに続く、口裂けオンナーが急増中なんです」
『ダサッ!オンナーって何さ!? つーか木更津の人に怒られないかしらコレ!?』
『いやいやそうじゃなくて… そもそもアタシにはバージョン違いなんかないのよ。アタシはアタシ一人だけなの』
「でも、中にはバージョン違いがある人もいるじゃないですか」
『…そんなのいたかしら』
「ほら、トイレの花子さんの男子便所バージョンとか」
『ああ… なるほどね』
「口裂け女さんはそういうの無いんですか?」
『さあ、無いんじゃない』
「口裂け女、玉無し男、みたいな」
『単なるオカマじゃない!』
「鎌使って殺すだけに」
『全然うまくないわよ! こんなネタ前回もやったわね!作者もうちょっとボケのバリエーション増やしなさいよ!』
「あ、でもサオも切らないとオカマになりませんね」
『コラー! 安易に下ネタに走るのやめなさい!』
『だ・か・ら!アタシにはそんな男バージョンみたいなのはないんだってば!』
「じゃあ作りましょう!この際だから」
『どの際よ!大体作ったところで誰がやんのよ!』
「口裂け女、鼻デカ男、とか」
『人の話聞きなさい!てゆーかそれもただ鼻がデカいだけの男じゃない!』
「小○くーん、やってみないー?」
『実在する人物の名前!いくら伏字にしているとはいえ!』
「作者がビビったようですね。原案では実名丸出しだったのに」
『裏事情ぶっちゃけちゃダメ!作者も色々気ぃつかってんだから!』
『ちょっとホント終わらないから。いい加減先に進まない?』
「どうするんでしたっけ?」
『だから、アタシがマスクを外してアンタが驚けばいいのよ』
「えー、この空気で驚くんですかぁ?」
『誰のせいでこんな空気になったと思ってんのよ!いいから驚きなさい!分かったわね!』
「は~いはいはい、分かりましたよ」
『なんで面倒くさそうなのよ! ほら、これでもキレイ!?』
「あ、すいませんちょっと電話が」
『後にしなさいよ!ちょっとコッチ見なさいよ! あぁ~もう!』
「はい… はい? 間違いじゃないですか?」
『…さっさとしなさいよ…』
「あ~、すいませんよく分からないんで切りますね~」
『…まったく、誰よこんな時に』
「たぶん間違い電話だと思うんですけど、メリーっていう人からで…」
『どんだけ出たがりなのよアイツ! もういいよ!』
はい、第二説「口裂け女」編です。
この話は、バージョン違いのくだりのところをまず始めに思いついて、そこから発展させて現在のような形になりました。その結果、口裂け女さんがツッコミをやるハメになってしまいました。口裂け女さん、ごめんなさい(笑)
しかし… ホントに大丈夫ですかねこの話。小○君に訴えられないことを祈ります(笑)