虹の女王の野望
虹の女王は、他の女王が大嫌い。
だから、他の女王をなんとしてでも排除したかった。
人々からは、年若く美しく聡明な女王だともてはやされている、虹の女王。
しかし、そんな虹の女王の人格はあまりよくなかった。
占い師にふんした虹の女王は、甘い言葉で他の女王たちを罠にはめていく。
通りすがりの旅人にふんした虹の女王は、良くない噂を耳打ちしていく。
吟遊詩人にふんした虹の女王は、誰かの心に塩を塗り込んでいく。
そうして、女王たちが破滅するのを外で眺めて、その時を待つ。
自分が一番だと思いながら。
女王という存在が、その世界で一人になるその時を。
虹の女王は虹の国で、魔法を使い、虹をかける。
なくなった人たちを送り出すための虹をかける。
嗤いながら虹をかける。
いつかこの虹を、他の女王が通る日を夢見ながら。
その虹の女王は、まさかすべてが壊れる日が来るなど、夢にも思っていなかった。