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第1話 赤ちゃんが生まれた
我が家に赤ちゃんが生まれた。
家族の一員が増える事は、私としてとても喜ばしい事だ。
当然、両親も喜んだ。
だから、父と母は前もって考えていた名前をつけて、その赤ちゃんをとても可愛がっていた。
もちろん私も同じ。
小さくてふにゃふにゃの手を握ったり、ほっぺをつついたりして、後は魔族と人間の戦いについて書かれた絵本を読み聞かせたりして、めいっぱい可愛がろうとした。
でも、少しおかしい。
我が家の赤ちゃんはにこりとも笑わないし、泣かないのだ。
なんか、とっても変な感じだった。
他の家の赤ちゃんはそうじゃない。
わんわん泣いたり、きゃっきゃと笑ったり感情豊かだった。
でも、人それぞれ個性ってあるから。
この村から小一時間の距離にある、隣村の村長さんなんて、生まれた時から喋ったとかいう話もあるし。
だから、うちの赤ちゃんはちょっと、個性的なだけかと思った。
でも、一か月後もすれば、その私の認識は変わる。
良くない方向に。