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五人の居場所 第三幕

 書きためていたら長くなってしまい、新章全体を少し直しながら投稿。


 大丈夫かなぁ。

 伸ばした手が届いたとき。

 駅に入る前の少年と少女は再会していた。

 わずかなズレや綻びが繋がるように。

 風がその横を通り抜けていく。



 男の左腕に捕まり、苦しそうにガラスの向こう側をみる少女を、由梨は注意深くのぞいていた。

 男の視線が警備員らしき人に逸れた一瞬を狙ってコンビニ内に突撃。自動ドアを全力で蹴破り、転がり込むようにして犯人の視界を外れた。

 多少のズレがあろうとも、コンビニ強盗がどこかに拳銃を隠し持っていることと、今身動きが取れない人が“流れ弾”に命中して死ぬことに変わりはない。

 いろいろ捨て身で来ているため、このくらいどうってことはない。由梨一人の力でどうにかするためには、窮地に追いやられた状況である程度能力を取り戻していないといけない。

 少なくとも攻守のどちらか一つがほしい。

 自分の変化に期待して、希望をダメにしてしまわないように行動する。

 コンビニ内には今犯人約一名と囚われの少女しかいない。

 店員は、監視カメラを見て今月の売上を抱え逃走。ちょうど休憩時間であったのか、店の中にいたのは由梨の知り合いだけだったのだ。そのため一気に奥へもぐりこみ、商品棚を押し倒して犯人の動きを制限する。

 刃物をちらつかせているわけじゃないためこれである程度大丈夫だ。

「週刊誌のある一番手前にいた犯人は入口側か、ペットボトル類の並ぶ反対側に。普通に考えれば、外から襲撃を受けそうな入口に向かうはずがない……か」

 一度いったことを繰り返すように棒読みだった。

 それでも犯人は予想通りの地点へ移動している。

「次は……私の番」

 おにぎりを売っているコーナーを通り過ぎ、犯人、少女、由梨の一本道――仮想的な閉鎖空間がそこに出現していた。

 その場に由梨は飛び出す。

「あなたは私が倒します。女子供相手に武器使う“あほぅ”はいねぇよなー。わたしは武器なんてもっていないしなー」

 見事な棒読みで犯人に由梨は挑んだ。

 これに触発されてか、犯人は右ポケットにいれた手をそのまま出す。

「――つぅ」

「立場をわからせてやるよ!」

 腕に抱えていた少女を隅に飛ばし、左手にナイフ。

 武器だ。まちがいなく武器だ。でも本物の銃よりよほどましだと言える武器だ。

「あーもうっ。武器出しちゃうじゃんっ」

 本音を叫ぶ由梨を見て、犯人が微かに口の端を釣り上げた笑みを見せる。


「ごくろうさん。右にあって助かったぜ。ほれ、こめかみにズドーン……なんてな」


 仮想的閉鎖空間にひょっこり現れた新星。

 倒れた棚のすくない隙間を潜り抜け、犯人に気づかれないよう慎重に足を運んできていた。

 どこで覚えたのか、気配を消したまま手品師のように犯人の銃を拝借。へたくそな発砲を真似ながら、表現しがたい良い顔をする。

「てめぇどこから、とあなたは言いますが、これも時間の問題です。最悪の運命はいま変わりました」

 毅然とした態度で由梨は犯人に諭す。

 すべては一番初めの行動から始まっていた。







 ***

 地獄まっしぐらの由梨のもとへ、真実(まなみ)は再び現れていた。

 何もない空間に二人だけがいるようだった。他には何も見当たらない。

「残念ですね。あんまりグロッな展開は望みませんが、決まっていたことですし」

「なんなんですか――私以外の他の人を傷つけて、何の意味があるというの……」

「そんなことはないです。ただこれはゲームだから。だれかが攻略するまで終わらない、それだけのこと」

「……じゃあもう一度ルールを教えて」

「……じゃあもう一度ルールを教えて」

「繰り返さないで」

「じゃあさ」

 この場所では二割くらい本音で話すことが出来るみたいだった。外界と遮断された閉ざされた空間だからなのかもしれない。

 ただ由梨は生まれて初めて本気で怒っていて、真実は一線を置いて話している。

 初めは何度も繰り返して、対象の死に物狂いの姿を見るのも滑稽で面白いと考えていた。真実自身もそれに意味を感じて実行に移している。

 でも対象のクイーンは、自分の立場をわかっていないように見当違いなことばかりしている。真実としても我慢の限界だ。

 終わらせることと、攻略して終わりがくることの違いを全くわかっていない。

「――死ねば。社会的にも、精神的にも」

「じゃあ死なせてよ……目の前で、大切だって思える人が死ぬ方がよっぽど地獄だ」

 釈然としない態度の由梨に真実はいら立ちを覚えた。

 二巡目であのバカが言っていた言葉を覚えているはずの由梨が、それを言う意味がわからない。少なくとも完全な存在はここまで不出来じゃないはずだ。

 田村由依という最強で、将来的にも必要とされた存在がこんなのに殺されて、これもまた自滅しようとしている状況が嫌だ。吐き気がする。

 この勘違い女を絞殺したい気分だった。

 真実は少しだけ寄り道をすることを思いついた。

「――だから死ねよ! じゃあじゃあ言ってないで、一番早く死ねる場所で死んでこいよ!」

 その言葉の意味はとても単純だ。

 今このゲームを作っているのは斎藤真実なのが、真実の能力は対象の記憶の中にある事象を再現もしくは変革すること。

 たいそう大それたことはできないが、多少の無理は聞く。

 例えば、その人自身しか知らない過去の記憶を目の前に再現することなんかはたやすい。

 新しくこうゆう風な世界を作り出すよりよっぽど楽なのだ。

「そうよ。あの瞬間も満足に覚えてない狂った奴は、もう一度死んでこい!」

 乱暴な言葉を無理やり吐き捨てて銃口を由梨に向ける。

 一番大切な彼女の知る記憶へ、その人を送るために。



 あの日の夕方。

 場所は遊園地、赤い空の下。大観覧車のかごの外に同じ顔をした二人はいた。

「あなたは、やっぱり“わたし”なんだよね。母さんがそういう研究をしていたってことは知っているから、別にあなたがいることは不思議じゃない。わたしだって、同類だもの」

「あれ、どうして……」

 数年前のあの日を再び体験している由梨は、状況が全く分からなかった。ついさっきまで真実という少女と大声で張り合っていたのが考えられないほど、突拍子もないことになっている。

 でもこの状況は、なんとなく掴めていた。

「私はここで死んでおけばよかったのかな。やっぱり偽物はいらないもの。同じ人も二人もいらない。

 あの時は、ただわけのわからない気持ちが“生”を欲しくなっただけ。自分の力がどれほどなのか試してみたくてここへきていた」

「やっぱりそうだよね」

 自分の元になった少女の言葉に、由梨は少しだけ反応した。

「やっぱり、わたしが消えなくちゃダメかな。限界も近いわたしより、あなたの方がずっといい。残るのはあなた――さあ、わたしの全力を受けてみて!」

 本物は構える。

 エルデと呼ばれる異世界の能力者が使う超能力を発動させるため。

 本気でやれば、こちら側の世界のどんな兵器よりも強力な力をぶつけようと。

「――――これが私の出した答えだから――――」

 全く違う記憶。

 丸ごと全部差し替えられたかのような記憶の投影はそこであっけなく終った。



 真実が再び由梨の前で腕を組んで立っている。

 帰還した由梨は膝をついて座っていた。

「あの勝負は田村由依の方から吹っかけている。勝敗いかんを無視してもあなたが悪いわけじゃない。人殺しのレッテルを勝手に貼るような、アホにはこのくらいしないとわからないでしょう?」

 理解が気持ちと状況に追いついていなかった。

 そこには由梨の深層心理が関係している。

 まず由梨は死にたがる少女だった。何事の解決も死ぬことで解決する、と勘違いしているバカな子供のようにである。

 以前塞ぎ込んでいたNo.99という流浪が、闇雲に八つ当たりしていたのは、世界なんてみんな死んでしまえ、のような幼稚な考えで行動していたからだ。

 毎日のひもじい生活と、標準まで行かない自分の境遇。

 通り過ぎる同い年くらいの男女なんていくらでも見てきた。

 生まれてすぐ見たのは、自分とまったく同じ姿をして、全く違う生き方をしてきた女の子だった。その子は自分にはないものを持っている。

 それを自分は手に入れたい。

 一途な思いが、一人の弱り切った命を消してしまったのだ。

「あのとき、田村由依は限界だった。あの世界のシステム上、強力な力を持つ人が寿命短しだったように、例外なく」

「そんなはずは――」

「これが事実なのよ! 中原真人も、あなたも知らない本当のこと!」

 どうして……。

 その言葉はもう由梨の口から出ることはなかった。

 真実にはすべてわかっていたのだ。

 由梨自身の欠点も、その原因も、その意味のないどうでもいいということも。

 斎藤真実の寂しそうな顔を見て、ようやく理解に気持ちが追いついてきた。

 状況も、由梨に追いついてくる。

「だからそんなに難しく考えるなって。たまには仲間を頼れよっ。そうゆう設定らしいじゃねえか」

「由梨のもやもやしてる気持ちが吹っ切れた今なら、新しいものが見えるかも、だね!」

「作戦を立てましょう。こちらもむざむざ殺されるのを順番待ちしているのも嫌ですから」

「お~~」

 その場に四人の姿があった。

 五人の関係が楽しいと思ったあの時の瞬間を思い出すような衝撃だ。

「どうして――はもう言わない。代わりにこういう――ありがとう。私はみんなを助けて、一緒に先へ進みたい」

 由梨の中にある偽物の体の中の本当の思いを、初めて誰かと共有した時だった。



 作戦会議が始まった。

 ヒラリと四人の出現と同時に姿を消した真実からのメモだ。

『もし一人でも助けることが出来れば、その人から順に自由にする。この意味は教えなくてもわかるでしょ? いまのあなたなら、きっともうここへ来ることもない』

 何もなかった世界から、追い出されるようにそのメモも消えていった。

 少年が由梨の肩をがっしり掴んで背後に回っていた。

「美少女の肩ゲットォ! 後ろに立つと、いい香りがしてくるぜ!」

「って何やってんだ大バカ! いまのシリアスだった雰囲気を返しなさいっ!」

 突っ込みのいる状況だった。

 そして一度救ってしまえば、ここでの記憶が戻るとヒントから推測して、役割分担をしたところで由梨にとって最後となるであろう不思議世界へ舞い戻ることにした。





 作戦はうまくいっている。

 右も左もわからない状況から一転。初めて二人目を救えそうなところまで来ていた。

 一番初めに、一番最初に殺される人でない人を救ったことが大きなターニングポイントだった。なぜなら、あのとき由梨を見つけて引き返した彼女が店の中に入れたことで少しだけ結末が理解しやすくなる。

 流れ弾というのが重要だ。

 そもそも流れ弾というのは、その人物を狙っていうことじゃない。それでは“流れ”の意味がなくなってしまうからだ。すなわち、犯人乏しき人物の人質は、その犯人の銃弾で殺されることはなくなるわけだ。

 あとは突入するであろう専門の人たちより早く、銃なんて持っていない由梨と少年が突入してことをなきにすればいい。

 銃を取り上げた状態で、完全にメモ紙は突破した。

 だけど少しだけおかしいところがある。

 ――まだ少女は解放されていないのだ。

「へっ! 子供が銃なんて使えるわけないだろ。さっさと返さねえと、この女の喉笛を掻っ切るぞ!」

「どうなってるんだよ! このままじゃ、由梨の言った通りになるかもしれないぞ」

 警官はまだ当分来ない。五分間はそのころにはとうに過ぎる。

 だけど。

 一人だけその条件を満たす人が、今回だけはいる。

「俺なのかよ! なんでだよ!」

 強盗は鋭利な刃物を女の子の首に押し当て、うっすら血が垂れている。

 興奮しすして加減できなくなったやばい状態の強盗はそのことに気づいていない。

 そしてそれを見て銃を構えそうになる少年の前に、由梨は飛び出した。

 次の瞬間、銃声が轟いた。

「――ッ。死ぬのはやめたんじゃないのかよ、由梨。そこにいると危ないぜ。俺の銃は美と付いたものには狙ってもそうそうあたらないけどな」

 少年が真剣な表情でゆるい冗談をいうのは、すべてが終わったからだ。

 強盗の手に握ら荒れていた刃物は、コンビニの外からの狙撃によって粉砕。

 誰の体に傷一つつけない正確な射撃のおかげで強盗は完全に気を失っていた。

『フェアじゃないのは私の主義に反するわけ』

 そんな言葉が聞こえた気がした。

「じゃあ、次は元気が取り柄、女ジャイアンを助けにいくぜ!」

「ちょっとひどいんじゃないかな」

 突っ込みのいない状況だった。

「ちょっと首切ったけど、いくぞ~」

 次なる現場は階段が連なるデパートの最上階。

 そこから足を滑らせる瞬間に、エレベーターから降りてすぐの由梨たちは間に合った。

「届いて――」

 駅のホームの時同様、身を投げ出して由梨は手を伸ばす。

 でも今回は違う。後ろには、必死に手を伸ばしてくれる仲間がいて、三人分の力が合わされば一人の運命なんて簡単に変えられる。

 思いを共有する力は絶大だった。

 実際、四人目も簡単に救い出せた。

「ジャイ子、ゲットだぜ!」

「だれが、ジャイ子じゃっ!」

 突っ込みのいる現状だった。

「バカはほっといて行くわよ!」



 最後の一人は場所が分からなかったので手分けして探すことにした。

 もしも現場に居合わせたとしても、すぐに助けに行けるように携帯電話で一分おきに連絡を入れることにした。ツーコールして切れれば問題なし。それ以上なるならば救援求むと約束した。

 婆から借りている老人用携帯を片手に由梨は四か所ある本屋のうちの一つの近くで、さっそく怪しい連中を見つけた。

 今回の相手は少女を無残な姿にする相手だということは、すっかり忘れていた。

「見つけた。強姦魔ぁ!」

 電話をかけながら由梨は叫んだ。

 その声に反応して男たちの一人が振り向く。

 数人の男たちは、人通りの少なく照明のあまりない道に集まっている。

 気味の悪い笑みを浮かべ、由梨はその中へ引きずり込まれていった。

 数秒とかからず、もっと奥へ連れ込まれる。

 一人の少女を取り囲み、お楽しみの始まりだぜと意気込む男どものところへ、電話を頼りに仲間が駆けつけた。

「残念だな。下衆野郎の出番はいらないぜ。こっちはとっくに五人集まってんだ。とっとと消えな」

 気分を害した男の一人が突っかかってきた中学生に殴りかかろうとしたところで、ゲームマスターのご登場だ。

 フェアプレーをもっとうにするらしい、斎藤真実だ。

「エキストラは消えなさい。殺すぞ~」

「はい、消えます」

 ゲームは終わりを迎えたらしい。



 五人が再びそろうことが出来た。

 これからやっといつもの生活が始まる――。

「悪いな。それはできねえ」

「私たちは、由梨とは違うからね」

「ごめん~」

「そうゆうことです」

 これは、ゲームであってゲームでない。そのことを真実は黙っていた。

「残念だけど。ここにいる私とあなた以外はすべて作り物よ。記憶の一部にある“誰か”を模して彼、彼女はここにいる。それが嘘ついていたことでした」

「そんな……いっときの夢物語みたいに言われたって納得なんて――」

「だから、ここにいる俺たちとはお別れってことだ」

「そんな、いや――いやだ!」

 由梨はわがままを言った。これも生まれて初めてのこと。

 この夢のような場所でいろいろ由梨は学んできたのだ。

 嫌なことも、嬉しいことも、負い目に感じていたことも全部。

 だから、この場所から離れるのが嫌だと泣きわめく子供のようになっていた。

「違うんだ。俺たちが言いたいことは……そのだな。はっきり言うなら……」

「あー、もうっ、じれったい。つまり私たちは由梨の周りにいる人たちがちょっと見た目と名前を持ってるかどうかしか違わずに、そこにいるってことよ」

「そうです。私たちは、本当の意味で死ぬんじゃありません。ただここにいる私たちは、少し言いにくいですがいなくなり、違う私たちが由梨に会える」

「それに全く違うってわけじゃない。真実ちゃんがしていたのは、そんなに残酷なことじゃないから。大丈夫~」

「でもでもでもでも……」

「泣くんじゃねえ! みっともねえ真似すんなよ……また会えるからさ」

「そうだよ。絶対に私たちを探し出してね」

「期待してます」

「約束だよ~」

 少し前とは違う意志が、みんなと共有する強い意志が由梨の中で固まった。

 返事は小さく。されど力強く頷いた。

「そうだ。こいつは餞別だ――受け取っとけ。なんか由梨の助けになるらしい」

 少年の投げる小さな指輪を受け取り、顔を上げる。


 別れは始まりを告げる鐘のように一律に由梨の心へ響いた。


「お別れは終わったの?」

「はい。大丈夫です」

「そう」

 過去の記憶で見せたような寂しげな表情を真実はしていた。

 先ほど別れた仲間たちと、同じように由梨には思えた。

「……ごめん。死ねとか言ってごめんなさい」

「気にしてない」

「……怪我させてごめん」

「別にどこも怪我してない」

 ふるふると首を振る真実を見て、由梨は口元を緩めた。

「……どうして笑顔でいられるの? 何かいいことでもあったのかな?」

「別に」

 すっかり緊張がほどけて、人が変わったような真実は、なおも由梨を上目づかいに見ながら続ける。

「いくつかいい? 別に私が未来から来た人間だっていうつもりはない。でももしも未来から来たって当然のようにいる人は信じてはダメ。知り合いに似ている人も簡単に信じてはダメ。今味方にいる人も信じてはダメ。その人たちは、必ず裏切る」

「それじゃあ誰も信じられない。それはダメだって、言われそうだ。あの男の人にね」

 ふるふるふると激しく首を振り、親に甘える子供のように真実は由梨にすがりつく。

 本当にゲームが終わってからどうしてしまったのだろうかと思うが、これが斎藤真実の本当の姿なのかもしれない。

「そうだ。予想以上に頑張った人にはご褒美だよね。うーん、そうだね。わたしチョー強いから、一度だけ助けに来てあげる。どんな場所のどんなときだって絶対」

「うん。ありがとう」

 ほとんど同じ身長の真実の頭に手をおき、子供をほめるようになでる。

 これにて本当に――ゲームセット。



 そして時間は由梨の転入する当日まで遡り。

 うまくできなかった部分もなんとかこなせるようになった由梨は、割と普通な女子中学生として過ごす。

 少なくとも、ある程度の危機が迫ってくるまで由梨には平穏が約束されることになる。

 いつかくる、由梨自身の力が必要なそのときだ。


 一つの章が終了です。


 立ち位置的には、由梨が由梨であるために。と、この長編の一番初めの謎を少しだけひも解いておこうと思いました。


 まだ見ぬ敵、仲間、裏切り者、全部ひっくるめて長編の後半もよろしくお願いします。

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