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伝説の女武術家が美少女エルフに転生したらこうなる  作者: コインチョコ
五章 アヤカは帰ってくる
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53. 大陸を渡るやべー人たち


海の上を飛ぶこと数カ月。

大陸と大陸の間にポツポツと点在する適当な島を見つけては、野宿を繰り返す変化のない退屈な日常がなんと長かったことか。嗅覚の鋭いアヤカは潮風に混じる塩の匂いで感覚が狂ってしまいそうだった。

ゆきは海で遊ぶことを覚えて飽きることなくアヤカやアヤネを誘っては充電切れになるまで思う存分にのびのびと旅の生活を楽しんでいた。

他の面子は体が鉄のミステリアと鉛の青銅竜は海は非常に不快らしく、小まめに水浴びをしていた。

信三、アヤネはゆきのお守りと食料調達、飲み水確保に忙しそうにしていた。

それぞれが平和な日々を送れた数ヶ月だった。


ハイマンズ王国のある大陸にはもう上陸した。上陸地点に選んだ土地は港があるようは場所じゃない。というか、人が住むところですらない。


当たり前だ。


ドラゴンが二頭も着陸するのだ。人に見られたらそれこそ大騒ぎだ。

だからアヤカは人のいない港町の荒れ果てた郊外、それも朝日が昇る直前に降りることを指示した。


それが功を成してミステリアと青銅竜の姿は誰にも目撃されなかった。いたらアヤカが記憶を脳細胞ごと焼き払って消去する。


アヤネが代表を務める人間組が旅の疲労を訴えるので、今日は港町で休養を取ることになった。

人間………というよりも弱者が嫌いなミステリアは、背中に乗ってただけのくせにへばっている彼らに苛立ち、アヤカに耳打ちする。


「こいつらもう置いて行かんか? 役にも立たんぞこの人間ども」


「おじさんだけならいいけど、ゆきとアヤネはダメよ。 ゆきかわいいし、アヤネは〝パシリ〟にも〝メッセンジャー〟にも〝丁稚〟にも使えるしね」


それは全部同じ意味だろうが。

お荷物を抱えても彼女らの機動力ならば、ナモナキ村までの移動時間は数日とかかるまい。

アヤカだけならば数時間でもあれば充分過ぎるほど近い距離だ。

速さだけならアヤカを上回る青銅竜ならもっと短い。


「だからもう気を抜いても良いよ。 この国は治安もそれなりに良いし、わたしの故郷も近いから」


「ちょっとなにを言ってんのかわかんねーっス」


それはあくまでも彼女らのような超人と人外の話。純人間のアヤネには皆目理解の範疇にない話。

この国の文字も読めないアヤネは、金を稼いでも一人じゃ買い物すらできないというのに。金の心配をしないのは金は有るところから盗むから心配ないからだ。

なら商品も盗めばいいだけだが、余計な恨みも買ってしまうと後々面倒になるからなるべく金品以外の窃盗はしたくないのがアヤネの本心だったりする。


「ようやく美味い飯が食えんか。 長い洋上生活だったぜ………」


アヤカの手料理の不味さに目から汗を流していた信三はまともな食事ができることを喜んでいた。 アヤカはこいつ殴ろうかと考えて、思考を読んだミステリアに諌められてやっぱり無視する。


「わたしはこれから町に行くけど着いてくる人、手挙げて、あ、全員くるか」


「当然でしょ。 みんな魚ばっかりで飽きてるし」


人間体の青銅竜が皆の気持ちを代弁する。

早く魚じゃない飯が食いたいらしい。


突然だが、ゆきは子供らしく野菜が嫌いだ。でも今なら野菜だろうとおいしくいただきますできる筈だ。何ヵ月も魚しか食えない生活だったらもう魚で無ければなんでも食える舌になっている。

アヤカも含めてみんなが魚以外の料理を楽しもうとしているのだから。





足が遅い人間組に歩調を合わせて歩くと、ちょうど朝になって港町に着いたアヤカ一行。

この女にとっては美味い飯と言えば酒場しかない。

西部劇のような街並みと、ガンマンのように腰に拳銃とウエスタンブーツのひげ男たちを楽しみ、手頃な酒場を見つけて突撃した。

店の扉は幼児であるゆきの頭ほどの高さの手押し扉だ。

分厚いが殴れば壊せそうな脆さがある。


「なぁにこの町、西部劇? ウェスタンなの? ウエストワールドなの?」


港町だから漁業が盛んな漁村だと思い込んでいただけに、アヤカの頭には?マークが浮かぶ。


「なんでもいいじゃねえか。 美味いもん食って出発しようぜ」


「信三さんの言うとおりっス。 早く食うもん食って行きましょうよ姉貴!」


それぞれが肉料理やサラダを注文し、質の悪いガンマンが絡んできてはアヤカが誰にも認識できない速度で気絶させて店の外に捨ててくるのを繰り返すこと三十分。


ようやく全員の注文が出揃い、数ヶ月ぶりにまともな食事にありつけたのだった。






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