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伝説の女武術家が美少女エルフに転生したらこうなる  作者: コインチョコ
五章 アヤカは帰ってくる
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51 ナモナキ旅地


「アヤカ嬢はこれからどうすんだい? 竜を二体も従えてるようだけどよぅ、これから世界に向けて戦争でもおっ始めようってのか?」


「あ、それもいいかもね!」


「え、マジっスか!?」


「ウソウソ冗談。 これから他の古竜も倒しに行くつもりよ」


ギョッとしたアヤネ。即座に否定して冗談だとケラケラ笑うアヤカだが、本当に冗談なのか判別つかない。

こいつなら本当に戦争やりかねない。そして、現有戦力なら世界が敵でも勝ちかねないところが怖い。

ミステリアと青銅竜だけでもオーバーキルにもほどがあるのに、これ以上のやべー(アヤカ)がいるのだから。


「んー………」


信三は美女の姿をとるミステリアと子どもに化けた青銅竜を見てから言う。


「って、ことはつまり、あれか? 赤銅竜、銀竜、金竜を討つってことかね?」


「そうよ! 場所を教えなさい!」


腰に手を当てて、信三にビシッ!と指を突きつけるアヤカ。

戦う気満々の戦闘狂金髪エルフだが、信三はなにやら顔に手を当てて深いため息をついている。


「なによその反応は?」


「アヤカ嬢は確かに強い。 だがな、それはエルフとしてはの話だ。 お嬢がこれから挑もうとしてるのは、この世界における災厄そのもの。 銀竜と金竜はそちら様の二匹が地域災害なら、比べようがないほどの世界規模の災害そのものなんだぜ? 勝てると思うのか?」


「勝てるわよ! 私は前世で宇宙人と一人で戦争やって勝ったこともあるんだからね。 ………今はその百分の一もないけどさ」


((((宇宙人? こいつはなにを言っているんだ?))))


アヤネ、ミステリア、青銅竜、信三の思考が一致した。

この世界では宇宙の概念が有っても、やはり中世暗黒時代レベルの教養しかないのだろう。外宇宙の知的生命体の概念は存在しないようだ。

アヤカも凶暴な狼型宇宙人しか知らないが。


「ねー? たびにいかないの? はやくいこーよー」


業を煮やしたゆきがアヤカの袖にしがみついて駄々をこね始めたので、アヤカは日の国を出ることを決意した。

ゆきに広い世界を見せてやりたいし、ゆきの近くに悪霊どもが寄ってくることも気になっていた。


確か親友のジルがそういうオカルトやスピリチュアル的なものに詳しかったはずだ。

魔法使いを目指していた彼女なら、なにか知っているかも。


「次の行き先は決まったわ」


「どこに行くのじゃ?」


「わたしとあんたが初めてあったあの場所。 わたしたちの冒険が始まったあの場所。 ナモナキ村へ行くわよ!」


旅の最初の地点。

アヤカが彩佳の記憶を覚醒させた場所。

この世界における雷鳴拳が産声を挙げた地。


「あの村に帰るのか? まだ出てから半年も経っておらんのにか? あれだけ劇的な旅立ちを迎えたというのに?」


「うるっさいわね! 帰ると言ったら帰るのよ!」


二人だけの旅立ちからこれだけの大所帯になっていたら、ナモナキ村の人々はどんちゃん騒ぎで出迎えてくれるだろうか。

それとも、勝手に出ていったアヤカに村長の鉄拳が飛んでくるのか。


どっちにしろ、アヤカにはそれが楽しみだった。


「見つけたぞ!! 誘拐犯! 並びに亜人の娘!!」


そんな故郷(ふるさと)を想う憩い(いこい)の一時に水を差されて額に怒りが浮かぶ。侍たちの見参だ。皆一様に殺気立った剣呑な空気がある。


それでもアヤカが〝ぷっつん〟してないのはゆきの前だから、有って無いような理性を動員して闘争心と怒りを殴りまくって取り押さえているからだ。


「あんたたち、なんか用? 用があるなら、殺すわよ」


侍の長らしき、野太刀を構えた男が答えた。


「お館様の娘を誘拐した亜人の女とそこの盗人の娘。お前たちを逮捕する。抵抗するならば、手足の一本は構わないともな。 大人しく連行されたし、亜人の娘」


「そうねぇ、じゃあ考えてみるわ。 うーんどうしよっかなー?」


わざとらしく顎を手を当てて考える人のような表情を作るアヤカ。ミステリアとアヤネは次がどうなるか、もう予想がついていた。


「お前ら全員死ね!!!!」


雷鳴がアヤカの身体を貫き、拳に電力が蓄積される。

髪の毛が悪鬼の如く逆立ち、侍の長が叫ぶ。


「総員抜刀!!」


この後めちゃくちゃ地獄になった。







その日の夜、日の国の海岸線では英気を養うために、アヤカたちはぐっすり眠っていた。

普段は眠らずに夜を瞑想の時間に充てているアヤカも、ゆきをあやすために一緒に眠りについていた。

仲よく寝ている様は本物の母娘のようだ。多分、同じ夢を観てる。


信三はアヤカたちが眠る頃合いを見計らって、岩影へ移動して懐からなにかを取り出した。

火打ち石にと念仏の書かれた和紙を結んだ物だ。

それに向かってなにかを話しかける。通信機のようだ。


「あーあー、聞こえるかい、本部。 俺だ。信三だ。 魔女と接触した。 今は予定通りに行動を共にしてる。 俺たちが仕掛けた鉄球を割ったのもあの女の子だ、信じられないことにな。 だが、おかげさまで雷鳴拳の強さが分かっただろう? OK。リベンジはまだ早いからな」


通信相手の声は暗号化されていて聞こえない。

信三の声だけが、夜の闇に溶けて消えていった。











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