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伝説の女武術家が美少女エルフに転生したらこうなる  作者: コインチョコ
四章 日の国
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46 ミステリア一行の方の話



「アヤカ殿、どこに行ってしまったのやら………」


「ねえこの人いる意味あるの? アヤカちゃんと会ったら殺されそうだけど」


ミステリアと森林竜はぶっ飛ばされた悪漢の頭を掴んでその辺を引きずっていた。


道が固く舗装されてないことが、悪漢には救いだった。


「でもこの人ハゲてるから頭は掴みづらいなー。 ねえ足掴んでもいい?」


「お主もなかなかの鬼畜じゃな…………」


アヤカよりもマイルドだが、ワイルドさは負けていない。

森で魔獣と戯れながらのほほんと過ごしてきたのに、どうしてこんなにナチュラルバイオレンスが生まれるのだろう。

純金のあいつや白銀のあいつと比べれば全然マシに思えるのが、エルダードラゴンの救いようのなさがよく分かる。


竜なら元からこんなもんか。


「あ! 都に着いたよ! ここならアヤカちゃんいるかもね!」


森林竜はゴミのようにハゲ悪漢をそこら辺に投げ捨てて都を指差している。


「おい、禿頭の人間よ。 お主はもう用済みじゃから行っていいぞ」


こっそりと這って逃げようとする男の背に負けて、ミステリアはそれだけ言うと、一瞥することもなかった。


悪漢は思う。


野盗からは足を洗って、これからは真面目に働こうと。


人知れず小悪党を改心させていたミステリア一行だったが、そんなことは露知らずに都に立ち入った。


「ここからは別々に動いて証言を集めるぞ。 そこらの人間どもに片っ端から聞いて回れ」


「りょ!!」


ビシッと敬礼する森林竜と別れる。


「のうお主、こんな感じの人相の女を見たか?」


「誰だその娘? いや、どっかで見たような顔してるがなー、あーどこだっけな? まあ覚えてねえや。じゃあな」


「のうお主、こんな感じの人相の女を見たか?」


「知らないねぇ。 お饅頭買ってくかい?」


昼間っから酒をかっ食らってる親父と饅頭屋のお婆さんはなにも知らなかったようだ。聞く相手が悪いとかいうな。

なぜか通りに誰も人がいないのだから。


「ねえねえ! この女の子見なかった?」


「どうちたの? 親とはぐれちゃった?」


「ねえねえ! この女の子見なかった?」


「見てないよ! 一緒に遊ぼう!」


「ねえねえ! この女の子見なかった?」


「そんなことよりやらないか?」


森林竜も散々たる結果に終わった。

最後の危険人物は股関クラッシュをお見舞いして奉行所の前に下半身裸で捨てておいた。脱がしたのではない。自分から脱いでいたからだ。


『ねえそっちはどうだった?』


『誰も知らんようじゃ。 というか、ここは都なのになぜ人がいない? まだ平日の昼下がりじゃろう? 祝日でも表を歩く人間はいくらでもいよう。 まさか都人は引きこもり性という訳でもないじゃろう?』


『そんなの僕にもわからないよ。ずっーーーと森にいたんだから!』


数千年間、鉄大樹なる新種の木を作って開拓という森の拡大と維持をしていた彼を責めるのは酷い話だ。


少なくとも、何千年も住処でただ寝ていただけのミステリアに彼の世間知らずを責める資格はないのだから。


「ようそこの黒髪のお嬢ちゃん。 誰か人を探しているようだな」


「誰なんじゃお主は」


馴れ馴れしく声をかけられてみれば、腰から刀を下げた若い男。


「俺ァ浪人さ。 ちょいと都のことにも詳しいだけのな」


「そんなモノがなんの用じゃ? 妾らは忙しいのじゃ、あまり付きまとうようなら首から下が無くなるとおもえ」


竜のオーラで軽く威圧感を出しておく。


「おうおう、怖い嬢ちゃんだねぇ」


並大抵の人間を払うのであればやりすぎなほど凶悪な殺意の塊をぶつけられてなお、この男はビクともしない。

アヤカほどのパワーどころか、普通の男ほどの力さえ感じられないこの貧相な体と無精髭のくたびれたホームレス崩れのどこにこれだけ威圧をはね除ける力があるのか。


並大抵の人間では無さそうだ。


「どうやら、お主もやるようじゃな」


「話を聞いてくれる気になったかい?」


「よかろう。 ならば妾に酒を飲ませろ。 都で一番の美酒をな」


「ボクお酒飲めない………」


(せがれ)さんには旨い果汁水を飲ませてやろうじゃないか」


森林竜の目線までしゃがんであやすように頭を撫でながら言う男。


旧知の相手がまさかの『息子』扱いされ、恥ずかしさで顔を真っ赤にして叫ぶ。


「息子じゃないわこんなもの!! 妾は独り身じゃ!!」


男に殴りかかるが見ることすらもせずに軽々かわされる。


「ならあんた、良い歳っぽいのにまだ相手いないのかい? 俺なんてどうだ? 夜の方は自信あんだけどよ」


身のこなしは間違いなく達人だ。そしてミステリアの一番嫌いなタイプだ。


「貴様は! 妾の!! 嫌いな者とそっくりじゃわい!!!」


サラッとセクハラ発言されてますます頭にくる。

黄金竜に求愛された大昔のことを思い出すと、憎たらしさが無尽蔵に湧いてくる。


避けた先へ先回りして追撃。地面に亀裂が入るほどの踵落とし。

それも呆気なく避けられる。


「うがぁぁぁぁぁぁぁあ!!! 避けるでないわ!」


「ヒューヒュー、嬢ちゃんイキってる~~」


男に煽られ、さらに激しく激昂し続ける。


「なんなのこれ?」


全く着いていけない森林竜だった。




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