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伝説の女武術家が美少女エルフに転生したらこうなる  作者: コインチョコ
四章 日の国
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41 アヤカに妹分ができました



生命の危機に晒されたことで、女はかつてない集中力を発揮し、とんでもない速度と精度でボロを繕った。


その職人技はアヤカでさえ目を見張るものがあった。


「(なんて速さなの……。 しかも正確。 この女子力、侮りがたし)」


「できましたよ、姉御」


「はい良くできました。 及第点ってところ……ってえ? 姉御?」


「はい! これからは姉御って呼ばせてください!」


自分のことをニコニコ満点の笑顔で『姉御』と呼ぶ女を見て、アヤカは思った。


明らかに媚売ってるわね、こいつ。


でも口には出さない。こんなの大体いつものことだからだ。


それに、今のやり取りでこの女は使える人間だと知った。


「(わたし専用の雑用係としてこき使ってやる!)」


女に見えない角度で計画通りとでも言いそうな顔で邪悪に笑う。その笑顔は天使でもお花でもなんでもなく、純粋に悪魔だ。







アヤカが鉄大樹の森を出て数時間経過。


ミステリアと青銅竜はアヤカが走り去った方向を見つめていた。どうせそのうち帰ってくると思っていたが、いつまで経っても帰ってこない。

因みに青銅竜はアヤカとの戦いで消費した体力と魔力を回復するために人間体に変身していた。


緑の長い髪と目をした幼い子供。それが青銅竜の人間体だ。


古竜の人化はその古竜の精神、人格によって人間体でのパット見の年齢や容姿が決まる。


人に化けた竜は、精神が幼ければ幼くなり、心が純粋であるほど美しくなる。


長い年月生きてきても、あまり人や世間とは関わらずに生きてきたために、あまり育たなかった幼い情緒が肉体に反映された姿だった。

無垢に近い心を反映された姿は人外の可愛らしさを持っていたが。


「アヤカ殿、行ってしまったな……」


「行っちゃったね……」


「帰ってこないな……」


「帰ってこないね……」


「貴様のせいじゃろおおおおお!!!!」


「ヒイっっ!! ごめんなさい!! ごめんなさい!!」


「謝って済むか!! はよう探しに行くぞ!!」


「僕は行かないよ!!」


「駄目じゃ!! 元はと言えばお主のせいじゃろうが! 着いてこい!!」


「やだぁぁぁぁ!!! 竜拐いいいいい!!!」


泣きじゃくる幼い子供が美女に足を捕まれて引きずられていくのはまさに人拐いの現場だ。

街中でこんなことをしたら即座に衛兵がすっ飛んでくること間違いなしだ。


本来のパワーならミステリアに負ける青銅竜ではなかったのだが、今はかなり力を消耗していてろくな抵抗も出来ずに長年引きこもっていた大樹の森から引きずり出さるのだった。

彼の引きずられた後には、鉛の匂いがする水滴の跡があったという。




アヤカは山賊に襲われた山から遠く離れた町ニシノミヤコ入り口付近に到着した。


小脇に抱えた僕女が昼飯を戻しそうになっていたのですぐに放り投げた。抱えたまま吐かれたら鋼鉄を砕く女でもひとたまりもない。

特に、ナモナキ村を家出同然で飛び出したせいで、今使ってる服と靴は汚れたら代わりなんてない。エルフガイムで調達しなかった自分の責任を華麗に棚上げするアヤカ理論を脳内で展開しておくことも忘れない。


「痛てぇぇぇ!!」


見事に顔面から着地してのたうち回る女。

激しく動き回るごとに女のとある部分がよく揺れるのを見てますます殺意が沸く。


そのまま前歯の一本でも折れてれば良かったのに、と願ったアヤカだった。


復活した僕女によるニシノミヤコ講座が始まる。


「はい、ここがニシノミヤコでス。 まずはあそこにあるお城をご覧下さい」


「立派なお城があるってことは、ここは城下町ってことね」


「はい、お察しの通りここは城下町でス。 藩主たちの主である将軍様が直接統治スる町でもござんス」


「そのふざけた口調やめなさい。 今、ここで首折るぞ」


「ひぃ! スいやせん!?」


僕女の体を抱き寄せ、耳元でドスの効いた声での脅迫。

アヤカが人の首を落とすシーンを目撃したこともあって、女はその台詞を脅しではないと理解できた。


出来ることは怒らせないように媚を売ることだけだった。


「姉御ー? 肩揉みましょうかー?」


「いらない」


「荷物くらい僕がお持ちしまスよ?」


「子供じゃないんだから自分で持てるわよ」


「とっときのお菓子食べまスか?」


「食べる」


復活した僕女に全力で媚びられつつちゃっかりお菓子は貰うアヤカだった。

そのお菓子は柔らかい生地で黒いものを包んだもの。

指で触ると粉が噴く。

まさかもう一度食べることができるとは思わなかった。


「姉御? もしかして気に入りませんでしたか?」


「これ、わたしの大好物よ! 良いお菓子持ってるわね!」


アヤカが今生では初めて目にする、前世のアヤカが好きだった和菓子。


「大福なんて十数年ぶりだぜ!! 最高かよ!!」


「(姉御は大福が好き。 覚えたぞ)」


故郷では〝ゴマスリのアヤネ〟と言われた僕女……アヤネは本領を発揮し始めた。


「(この女の力を使えばあの屋敷の連中が僕の母さんにやったことの仕返しできるし、お金だっていくらでも稼げる。 ……ククク、今の僕は怖いものなしだ)」


脳筋アヤカと腹黒アヤネの打算的で欲望に満ちた開放的な冒険が始まる……のかこれ?



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