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伝説の女武術家が美少女エルフに転生したらこうなる  作者: コインチョコ
二章 御令嬢ラン・ゴールドシュミット
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13 令嬢ラン・ゴールド・シュミット


アヤカは四方八方から襲いかかる男たちの攻撃を避けていた。


拳、蹴り、剣、ナイフ。色々と武器が飛び交うが、 アヤカには掠りもしない。


雷鳴拳継承者の桁外れの身体能力の前では意味がないのだ。


アヤカは攻撃を避けつつ、彼らをなじった。


「遅い遅い。 そんなんじゃハエが止まっちゃうわよ?」


身体能力を高める〝雷鳴活性〟を使うどころか、重りを外すまでもない、とアヤカはこの戦いをせめて修行に役立てようとした。

しばらくは反撃せずに、回避に専念することで一体多数の戦いを学ぼうとしていた。


今まではゴブリンの群れくらいしか相手にしたことがなかったので、人間を相手に(エルフだが)できたのは丁度よかった。


「この………クソガキが!!」


男たちは熟練の冒険者である自分たちが、まだ十代の女の子に手も足も出ずに見下されている現実に怒り、それを力に変えても、アヤカとの戦闘力差は縮まらなかった。


アヤカは戦闘が始まってから数分間、反撃に転じていない。


反撃したらすぐ終わってしまうため、単に遊んでいるのだ。


「この娘素早いぞ!」


「もっと包囲網を狭めろ」


追っ手たちは息のあったチームワークで懸命に連携をとるが、それは無意味だった。


アヤカのエルフ離れしたスピード、反射神経の前ではどんなに素晴らしい連携でも効果が無かった。


「こいつ………!」


「(そろそろ反撃しようかな)」


アヤカの鋭い蹴りが男たちの一人の腹を突き刺し、拳が顎を撃ち抜く。


「ごふっ!!」


「がぁ!」


威力を抑えた攻撃だったが、あっさりと倒してしまった。


「弱っ」


言い訳させるなら、彼らは決して弱くなかった。


アヤカは知らないが、彼らは五段階ある冒険者へのランク付けなら上から二番目のB級、いつかジルが話した凄腕といえる能力の持ち主だった。


単にアヤカが強すぎるだけだ。


全員を倒すと、アヤカはドリル髪型の女の子に向き合った。


「これで全部なの?」


「はい。そうです」


「じゃあ質問タイムね。 あなた何者? こいつらはなに? どうして私に頼ったの?」


矢継ぎ早の質問攻め。

少女は威圧的なアヤカに臆することなく、答えを返す。


(わたくし)はラン・ゴールド・シュミット。 この街の領主の娘です。 この殿方たちは、私を誘拐しようとしていた人たちです。 あなたに頼ったのは、もう頼る人がいなかったから」


「護衛とかはどうしたの? いるんでしょ?」


「護衛の方たちは全員殺されてしまいました………」


護衛のことを思い出したのか、ランは悲しそうな顔をする。


「ふーん。 それで、こいつらはなんの目的であんたを誘拐しようとしたの?」


アヤカはその話をどうでも良さげに聞き流し、質問を重ねる。


「どうやら、私は裏社会では懸賞金がかけられているようでして………」


「懸賞金ね……」


いかにも世間知らずなお嬢様っぽいゆったりとした女の子なのに、賞金首か。


一瞬だけ「こいつ捕まえて差し出そうかな」と思ったが、アヤカはお金にはあまり興味が無いし、この子を護衛した方が強い相手と戦える気がしたので止めることにした。


どうして領主の娘に懸賞金が掛けられているか、なんてのはすこぶるどうでもいいことだが、それで裏世界の強者が彼女を狙うのであれば、アヤカにとっては守ってやる以外の選択肢が見つからない。

だって戦えるから。暴れられるから。アヤカはヤンキー顔負けの暴れん坊なのだ。


「決めた。 ラン、あんたのこと守ってあげる」


「あ、ありがとうございます!」


ランは嬉しそうにお礼を言って、恭しく頭を下げているが、なんてことはない。アヤカはただ強い相手と戦いたいだけだ。

黒金竜ほどの相手は滅多にお目にかかることは出来ないのだが、最初に戦った相手がミステリアだったが為に、相手に対して過度な期待を寄せていた。


「(願わくば、わたしと対等の相手であることを………!!)」


戦闘狂教徒であるアヤカは、雷鳴拳がどこまで通じるのか試したかった。


現に、邪悪で好戦的な笑みを浮かべているアヤカの表情に気づきもしていない。


「そうだった」と、ランがアヤカに問う。


「お名前………」


「え?」


「あなたのお名前を教えて下さい」


そう言えばまだ名前教えてなかったと、頭をかいた。

偽名を名乗るべきかと思ったが、本名を教えても問題ないだろう。


「あたしはアヤカ。 アヤカ・ローレライよ」


「ローレライ様ですね。 これからよろしくお願い致します」


「よろしく、ラン」


こうしてアヤカと謎の令嬢ランの逃避行という名のちょっとした冒険が始まるのだった。








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