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伝説の女武術家が美少女エルフに転生したらこうなる  作者: コインチョコ
二章 御令嬢ラン・ゴールドシュミット
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12 ちょっとした冒険の始まり


アヤカとミステリアの最初の冒険はスムーズに進んだ。


当然だ。


なにせ、伝説の古竜(エルダードラゴン)の一体である 〝黒金竜〟ミステリアと、その黒金竜を肉弾戦で倒せるほどのエルフがタッグを組んでいるのだから。


「ポスタル草十キリ(キロ)。 これを納品しちゃえばクエスト完了ね」


「ふう、以外と身体が凝るの」


ミステリアは途中で身体が痛いと言って休みをとっていた。


「なんで竜なのにこんな軽い作業で疲れるの?」


「実はな、人間の身体でいるのは竜にとっては大きなストレスになるのだ」


「そうなんだ。 じゃあ、マッサージしてあげる」


「マッサージとはなんだ?」と聞くミステリアに、「気持ち良いこと」と返したアヤカ。


その言い方に、またもやミステリアがトリップする。


「そんな、お主、こんなところでイヤらしいぞ。 まてまてまて、心の準備がまだ出来てないのだ。 早まるな、落ち着くのだ! あ、でもそんなことされたら………」


「はい、寝て」


そこら辺にあった岩を削り、台にしてその上にミステリアをうつ伏せにする。


「あ、あぁ、あ、気持ちいいぃぃ!!」


「うわっ、めっちゃ声出てる」


新たな性癖に目覚めかけたミステリアと、意外なアヤカの特技を発見して薬草採集のクエストは終わり、二人は納品を終えるとエルフガイムへと帰っていった。


日が暮れて、夜になったエルフガイムの景色は素晴らしく美しかった。


広場の噴水は街灯の魔法の光に照らされて、ミステリアがナモナキ村で魅せたあの光のアートにも似た美しさを奏でていた。


街の人々もその灯りに誘われるように集まり、ずらりと並んでいる売店には今世のアヤカが食べたことのない御馳走が売られていた。


「ミステリア。 しばらくはこの街にいましょう! うまっ! これうま!」


「そうだな。 そうしよう。 ハフハフ」


売店に売られている串焼きやお菓子を両手一杯に抱えて堪能する二人。


その顔は美味しいものをお腹にたらふく詰めこんで、幸せ一杯という表情だ。


その二人の幸せ劇場も、食べ物とお金が底を尽きたことで終わり、どこか適当な宿を取ることにした。


手持ちがあまり無いのでギルド直営の安宿をとり、そこで一泊することにした。部屋は同じ。ベッドは別々。

同じ部屋でミステリアが喜び、ベッドが違うと落ち込んだ。

アヤカは「こいつおもしろ」と思った。


食堂での食事も、やはりアヤカが食べたことのない味だった。


「うまっ! ここのご飯うま!」


「私も竜として悠久の時を生きてきたが、今日ほど美味いものを食うのは初めてだぞ。 ここは食文化が発展した街なのかもしれんな」


ミステリアの言うとおり、エルフガイムは食が発展した街だった。


ハイマンズ王国の中でも、食べ物を仕入れる商人や腕のいい料理人たちの多くがこの街に根付き、そして日々切磋琢磨している。


食べ物が美味しくないわけが無い。


食事が終わり、ベッドに戻った二人はそうそうに寝る支度をする。


「明日からまた冒険だから早く寝よ寝よ」


「まだ食い足りぬぞ」


「寝ろ!!!」





朝日が上り、窓に差し込む日差しでアヤカは目を覚ました。


「んん、もう朝か」


隣のベッドを見ると、ミステリアは既にいない。

空になったベッドには置き手紙があった。


「あいつ………どこ行った」


手紙にはこう書かれていた。


〝アヤカ殿へ


私は早起きして食べ歩きをしてきます。 正午には戻るので、探さないでください


ミステリア〟


「冒険はどうするのよ!!」


バンッ!!とベッドを台パンするアヤカ。

バキッ!と音を立てて壊れる。


「あっ、やば」


慌てそうになるが、慌てない。まだ慌てる時間じゃない。


「そうだ。 冒険、いこう」


アヤカは現実から逃げた。





その頃のミステリアは………。


「んー! このアイスクリーム美味いのだー!」


「この串焼きはなんの肉だ? 牛肉か? 美味い!!」


「この丸くてふわふわした食べ物はなんだ? 美味そうじゃな」


一人、エルフガイムの食を満喫していた。





アヤカは冒険者ギルドの受付へ来ていた。

朝早い時間だからか、周りを見渡しても人は少なかった。

せいぜい、意識の高い奴らがちまちまといるだけだ。


「今日紹介してくれる仕事はある?」


「側溝の掃除だけです」


絶望的に地味な仕事を抱えて、アヤカは作業に励んだ。


「そのうち雷鳴拳が腐りそうね」


などと文句を言いつつも、真面目に仕事に取り組んでいた。


人通りの少ない路地裏での仕事なんだから、適当にサボってもバレないだろうに、アヤカ本人の「仕事は完璧にやる」というこだわりがそれを許さなかったのだ。


特に、この仕事は主に食品を取り扱っているエルフガイムでは、衛生観念が厳しいため、汚ない溝の整備は欠かせない仕事だった。


雨水と共に溜まった泥は異臭を放ち、細菌や病原菌の温床となる。

そういう泥を掻き出しては捨てて、かきだして捨てる。

そういう仕事だ。


仕事が終わり、宿に帰って汚れを落とそうかと思っていると、知らない相手から声をかけられた。


「もし、冒険者の方ですか?」


その相手は、エルフの少女だ。


年は見た感じアヤカと同い年くらいだ。


豪奢なドレスを着ていて清潔感のある見た目をしている。


ラフな格好で泥んこまみれのアヤカとは対照的になっているが、金髪の美少女という点では共通していた。


「(すごい。 ドリルみたいな髪型初めてみた)」


「助けて! 悪い人たちに追われてるんです!」


そう言ってアヤカの後ろに隠れる少女。


少女の言う追っ手の男たちがアヤカたちのいる路地裏に姿を見せた。

数は五、六人ほど。


その男たちの一人がアヤカに向かっていった。


「その娘を引き渡してもらう。 抵抗は無意味だ」


開口一番の上から目線の物言いに、負けず嫌いのアヤカはかなりカチンときたので、軽く挑発してみることにした。


「そう言われると抵抗したくなるのって、わたしだけかな?」


「ならば死ね」


男たちが一斉に襲い掛かってきた。

























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