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伝説の女武術家が美少女エルフに転生したらこうなる  作者: コインチョコ
二章 御令嬢ラン・ゴールドシュミット
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11 エルフの街エルフガイム


『到着する前に適当なところで降りて、そこから歩いていこう。 お主とて旅の初日で騒ぎを起こすのは嫌じゃろう?』


「そうだね。そうするわ」


街から数十キリか離れた場所に降り立とうとしていた二人は唐突に事件に巻き込まれることとな………る訳もなく、無事に着陸できた。


「ねえ、モンスターが逃げていくんだけど?」


「分かってる。 竜の気配を機敏に感じ取っておるのだろうな」


「あなた最高位のモンスターだものね」


「分かっておるようだな」


二人、正確には黒金竜の存在がモンスター避けとなり、二人は街まで何のトラブルもなくたどり着いてしまった。


「退屈な散歩だったわね」


「そうだな」


そして、今は街へ入るための許可証を発行する手続きの最中だった。


「えー、お二人の名前をこれに書いて。 この鉄板は身分証明や冒険者ギルドに入るときも使えるから失くさないでね」


羊毛紙と鉄の板を差し出される。

羊毛紙には魔法陣が描かれ、四角い鉄板と連動しているようだ。

鉄板は軽くて薄い合金素材のようだ。

何の金属かはアヤカには分からない。

黒金竜の方は「これはアルミニウムだな!」とかなんとか言っていたが。


もっとも、アヤカと黒金竜ならば多少重くとも筋トレにもならないが。


「はい、じゃあ名前を書いて」


「はい、分かりました」


「え、困るぞ」


黒金竜には名前がないから、身分証に名前を書けと言われても困る。

困った黒金竜はアヤカに助け船を求める。


「おいアヤカ殿、私の名前を考えてくれ!」


「オーケーイ。 良いものを考えてあげてたからね」


「早く書けよ」と守衛の視線が訴えているが、構わない。


「今からあんたの名前は〝ミステリア・ローレライ〟よ」


ミステリア(謎の)ローレライ(魔女)か。 いい名前を考えたのだな」


「元々はわたしの偽名用だったけど、あんたにあげるわ」


「偽名?!」


幸い、小声でのやり取りだったため、守衛には聞かれなかった。


偽名を名乗るようなことをしていたのか?と突っ込みたい黒金竜だったが、その話をするとキリが無さそうなので止めておいた。


穂坂彩佳だった頃のアヤカにはそういう経験があったのだ、と思えばいい。


魔法が組み込まれた羊毛紙に名前を書くと、その名前が二人に差し出された鉄板に刻まれた。


「はい、これでお二人の許可証が発行されました。 なお、この許可証はいくつかの機能があります」


許可証に付属されている機能の使い方を聞き、なにはともあれ、街に入る許可は下りた。


「エルフの街、エルフガイムへようこそ」


街に入ると、そこは美しい装飾が施された建物が並ぶ清潔な街並みが広がっていた。


エルフの街と言うだけあって、街を歩く人にはエルフが多くいた。


たまに人間もいるが、数はエルフの方が多い。


「まさにエルフの街だな」


「そうね。 じゃ、冒険者ギルドに行くわよ」


少数種族であるエルフがここまでの数が集まっているのは圧巻の景色だが、エルフのアヤカにとっては取るに足りないものだったらしく、ギルドへと急ぐ。


黒金竜………ミステリアもその後を追っていく。


「なあ、少し観光とかはしていかないのか? お主もこの街の者たちと同じエルフだろうに」


「興味ないわ。 わたしは戦いと冒険を求めているの」


「そ、そうか」


ドラゴンも大概は戦闘狂だが、それ以上のバトルジャンキー丸出しのセリフに、ミステリアはなにも言えずにアヤカに付き従った。


街には前世にもあった街灯らしきものがあり、街行くエルフに聞いてみたら、どうやら魔鉱石に含まれる魔力で光を灯すマジックアイテムだそうだ。


「ファンタジーもバカにできないわね」とアヤカは呟く。


黒金竜の頭に疑問符が浮かぶ。


「ふぁんたじーとはなんだ?」


「なんでもないわ」


許可証の魔法機能の一つであるマップを使ってギルドまで小走りに向かっていく。


ミステリアは物珍しそうに街を見渡していたが、はぐれないようにアヤカの後ろを雛鳥のようについて回る。


途中でこの街では珍しい黒髪美人であるミステリアがエルフの男にナンパされたりしたが、アヤカが撃退した。


「この女はわたしのモノだから」というセリフが効いたらしい。

ミステリアはこの落とし文句が大層気に入ったとかなんとか。


多少のトラブルはあったが、なんとかギルドには着いた。


「着いたわよ。 ここね」


「なあ、さっき言った私がお主のモノとはどういう意味で………」


「先に行くわよ」


トリップしそうになっている黒金竜を置いてきぼりにしてアヤカはギルドへ踏み込む。


中の男女比は半々と言ったところか。


食べ物と汗と香水の匂いがごった返していて、鼻のいいアヤカには気分が悪い匂いだった。

少しは換気しなさいよ、と思った。


吐きそうな気持ちを我慢して受付へ行くと、許可証を差し出す。


「アヤカ・ローレライ。 ギルドに登録してくれる?」


「はい、アヤカ様ですね。 登録しておきます」


夢の世界に逝っていたミステリアも戻ってきて登録申請する。


「私も頼む。 ミステリアだ」


「ミステリア様も追加っと」


二人の登録が終わると、今度はクエストを紹介されることになった。


「では、こちらのクエストから始めてみてはいかがですか?」



出されたクエストは簡単なものしかなかったし、二つしかなかった。


薬草採集 報酬:銅貨十枚


ネズミ退治 報酬:銀貨二枚


以上だ。



しかも報酬も安い。銅貨十枚なんて、前世の世界では百円玉十枚と同じくらいの安さだ。

銀貨二枚なら二千円程度だが、それでも安い。


納得できないアヤカは受付の胸ぐらを掴み、脅迫的な態度で迫るが、身も蓋もないことを返される。


「はぁぁぁぁあああ!! 温すぎでしょ!? もっと良い仕事ないの?!」


「しかし、お二人は駆け出しですよ!! 初心者冒険者にこれ以上の仕事は紹介できません!」


「仕事が温すぎるのよ! 雑用係かわたしは!! 奴隷か!!」


「わたしからも言わせてもらおうか。 このアヤカ殿は十分の力を持っている。例えば、そこのホブゴブリン退治も一人でできるほどにな」


「これが無理なら紹介できる仕事はありませんねー」


ここまで言われたら、流石にアヤカでも引き下がるしかなかった。

腕力で解決できないことには滅法弱いのがアヤカだった。


ここで()()()ガラの悪いチンピラ冒険者に絡んでもらえれば、アヤカとミステリアの力を多少は証明出来たのだが、生憎エルフのようの上品な種族にはすぐに腕力に訴える者はほとんどいなかった。

周りの冒険者たちに身勝手な失望を覚えつつも、アヤカは妥協することにした。


「じゃあ、この薬草採集やるわ」


「はい、承りました♪」


こうして駆け出し冒険者アヤカと、黒金竜改めミステリアの最初のクエストが始まったのだった。








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