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伝説の女武術家が美少女エルフに転生したらこうなる  作者: コインチョコ
一章 黒鉄竜編
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9 結界張るそうです



「アヤカァァァァァ!!! そのドラゴンは何なの!!??」


ヴェスタに叩かれて正気を取り戻したジルがアヤカに詰め寄る。

その顔は焦り、恐怖、怒りがあったが、アヤカは平然としている。


「なにって、そりゃあ、わたしの新しい友達の黒金竜だよ?」


「おかしいでしょ?! 伝説の古竜でしょ?! それが友達ってなんなの?! いつ知り合ったの!?」


「昨日の夜」


シレッと返すアヤカに、ジルたち村人一同は冷静さを取り戻した。


「「「なんだ、またアヤカちゃんか」」」と。


ある意味、この村でのアヤカの立ち位置は伝説級のトラブルメーカーだった。


「はい解さーん」


「お疲れー」


「神さま神さま神さまーー!」


「帰りますよシスター」


一人トリップして戻らない人がいたが、素敵なお絵描きがある神父さんによって速やかに回収された。

噂ではかなりヤバイ人とか言われているが、そんなことは無く、若気の至りでやってしまっただけだ。


この人々のリアクションに驚いたのはアヤカと黒金竜だ。


黒金竜は呆れつつも感心し、アヤカも自身の才能にびっくりしていた。


「え、えええぇぇ。 お主、ある意味人望あるのだな」


「私もここまでとは思わなかったわよ」


七才の頃にゴブリンの群れを単身で撃破し、その後も十年間の間村を守っていたアヤカならば、伝説に残るようななにかをやっててもおかしくない、という認識が村人の中に生まれていたのだった。


他人とはあまり関わらずに生きてきたアヤカは、今までその認識に気がつかないまま暮らしていた。


村人たちがそれぞれの持ち場に戻ると、ジル&ヴェスタのスタローン姉弟による楽しい尋問タイムが始まろうとしていた。


村を上から下までお騒がせしたアヤカ容疑者への取り調べが始まるのだ。


「で、なにか申し開きはある?」


「アヤカ姉ちゃんヤバすぎるぜ! さいっこーだぜ!」


「あんたは黙ってなさい!」


ヴェスタがジルに本気の拳骨をされて地面をのたうち回っているが、他の三人は気にも止めない。


だって、いつものことだから。


アヤカと黒金竜は固い地面に正座させられ、砂利とか小石が足に当たって地味に痛かったりするのがか弱い女の子のアヤカ。

黒金竜は鉄の体を持っているので平気だった。


「この村に刺激的なモノをお届けしたかった。 後悔はしていない」


「私は、お前の友を探していただけだ。 このアヤカをな」


「わたしたち一緒に旅に出るつもりなの」


旅に出る発言に起き上がったヴェスタが反応する。


「え、姉ちゃんそれいつなの?」


「えーと…………今日かな?」


「「はあああああ!」」


いくらなんでも急すぎる事に、二人は叫んだ。


「ア、アヤカ! あんた、この村はどうするのよ! あんたがいなきゃこの村はモンスターに滅ぼされるのよ!」


「それに、この黒金竜って奴にアヤカ姉ちゃんを任せていいのか心配だし!」


村とアヤカの心配をする二人にアヤカは「安心しなさい!」と笑う。


「その点は大丈夫よ。 手は打っておくから」


「どうやって?」


「こちらにいる黒金竜さんに協力して頂きます!」


「え、私?」


「そう。 あんだよ。 着いてきなさい!」


黒金竜の手を繋いでナモナキ森へと引っ張っていくアヤカ。


スタローン姉弟はその後ろを着いていった。



「で、私になにをしろと?」


「あんた、この森にモンスターが村に入れないように結界とか張ってよ。 伝説のドラゴンならできるでしょ?」


「あんたね………。 いくら伝説の竜でもそんな都合のいいこと………」


「まあ、出来るがのう」


「できるんかい!!」


「アハハハハ!! 姉ちゃん赤っ恥~!」


「死ね!!」


ゴン!!と鈍い音がナモナキ森に響く。

地に伏せるヴェスタは無視して黒金竜は続ける。


「それで、お主らの望む結界はどのようなものだ? 細かい設定をくれ」


「あ、それならあたしがやる。 こういうのはアヤカには任せられないからね」


「私がアホって言うのか!」


ジルは「だってアホじゃん」と言い返しかけたが、言ったら只じゃすまないから黙っておいた。

できる女は空気が読めるのだ。


ジルが羊毛紙に書き連ねた要素は大体以下の通りだ。


一つ、あらゆるモンスターの出入りを禁止すること。

一つ、半永久的に稼働すること。

一つ、壊されないこと。


以上に目を通し、疑問を口にする黒金竜。


「ふむふむ、というかこれならここでやる意味はあるのか?」


「え、なんで?」


「モンスター避けの結界を張るなら、村の方が良かったじゃないか」


「「あっ………」」


黒金竜の最もな指摘に、ジルは自分がアヤカの同類だったことを恥じた。



「で、トンボ返りしてきましたー!」


「あの娘は誰に向かって言っておるのだ?」


「さあ、アヤカって時々こう言うとこあるから」


「そんなアヤ姉も好きだけどなー」


黒金竜の尻を軽く蹴飛ばし、アヤカは急かす。


「ほら、速く結界張りなさいよ」


「いたっ。 分かっておる、そう急かすな」


黒金竜は村の中心の広場全体に魔法陣を描き、なにやら呪文を唱えている。


少し離れた場所から見守る三人。


エルフであるアヤカたちは耳が良いが、知らない単語だらけの呪文など、なにを言っているのかは聞き取れなかった。


「なに言ってるのか全然分かんないや」


「ライメーケンだって魔法じゃないの」


ジルからすれば〝気〟の力を操る雷鳴拳も魔法と同じだった。


しかし、この拳を誇りにしているアヤカは少しムッとして反論する。


「違うわよ。 雷鳴拳は人体の神秘。 魔法とは全くの別物よ」


「そうなんだ。 よく分かんない」


「こんにゃろう…………」


いよいよアヤカがヒートアップしそうになるが、ヴェスタが二人の声をかき消す。


「あっ、終わったみたいだぜ!」


アヤカとジルが黒金竜を見ればこっちを見て手を振っている。


「終わったぞー。 これで後は結界を作動すれば、この村にはゴブリン一匹入ってこれないぞ」


「お疲れさま、黒金竜」


「ありがとうございます。 これジュースです」


「黒金竜の姉ちゃんすげえな」


礼を言うアヤカと、差し入れを渡すジル、素直に褒め称えるヴェスタと三者三様の反応を見せる。


「ところが問題があってな………」


「なにが問題なの?」


「昨日の今日で起動するための魔力が足りないのだ。 いや!一度起動させられれば大気中の魔力で陣が壊れない限りは半永久的に作動するのだがな。

それで、起動用にお主の〝雷気〟とやらを借りられないか?」


「あ、そんなこと? それくらい良いわよ」


「………いいんだ」


「どれくらいがいい?」とアヤカ。

「あるだけ借りられるか」と黒金竜。


アヤカが魔法陣に雷気を注入していく。


充填された雷気は魔法陣に組み込まれた魔法で魔力へと変換されていく。


「おお! やはりお主は素晴らしい力の持ち主だな。 もう十分だぞ」





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