下水道にウニが―――!?
少年は気が付くと真っ暗で臭い下水道に居た。
「あれ!? あれれ!?」
酷い悪臭と見知らぬ暗闇に少年はズボンを脱いだ。
「あわわわわわ!!」
面倒だからとパンツも―――
「何をしている……」
暗闇からゆっくりと姿を現した一人のインド人の初老の男性。杖を突きながら、彼は非常に落ちついていた。
「ようこそ。『下水道にウニが―――!?』の世界へ。いきなりで良く分からないだろう。先ずは脱ぎかけのパンツを履くといい」
インド人に促され、少年はパンツを履いた。そして何度か深呼吸をして落ち着きを取り戻す。
「……ココは一体何処なんですか!? 気が付いたら急に真っ暗に…………」
「ココは下水道……。ワシはココでウニを育てている……設定だ」
「……設定?」
少年は首を傾げるも暗闇でインド人には見えてはいない。
「左様。そして君の名前は『今日死ぬ男』だろう?」
「えっ!? どうして僕の名前を―――!?」
「そういう設定だからだ……。作者が昨日の昼に思い付いた惚けた名前だ」
インド人は杖を数回軽く鳴らし、少年の注意を促した。
「少し話しが突飛で長くなるが良く聞きたまえ。
ココは作者が企画用に書き上げた短編小説の中の世界だ。『インド人』『ウニ』『キュンキュン』『重苦しい』その四つを満たすために、私はインド人にされた。そしてウニを育てている設定にされた。そして不気味なメタ世界観で重苦しいを演出している。……残りはキュンキュンだが、それを君にやってもらおうってのが作者の狙いだ」
「は、はぁ……」
少年は良く分からぬ話に頭がついていけていない。しかし、何処か不思議とインド人の話は本当では無いかという気持ちになった。
「先ずはこのウニを食べなさい。それで『ウニ』クリアだ」
「……くさっ! そしてマズっ!!」
少年は意に反して臭くてマズいウニを不思議な力で食べさせられた。
「君は二十歳過ぎて女の子とまともに話したことが無いそうだな。何かキュンキュンしたい事はあるか?」
「そ、それなら! セクシー女優の『海原くるみ』ちゃんと……!!」
「お近づきになりたい、と?」
「エッチがしたいです!!」
「正直で宜しい。多分アッチから歩いてくる筈じゃ」
インド人が指差した方向とは反対から、軽やかなヒールの足音が聞こえてきた。
「私は作者に嫌われているらしい……」
パッと急に下水道が明るくなり、そこにはライトを持った如何にもなオバチャンが一人立っていた。
「えっ!? これが……くるみちゃん!?」
「どーも♪ 海原くるみ……という設定です!」
オバチャンの背中にはマジックで大きく『海原くるみ』と書かれていた。
「さ、行きましょ♡」
少年はオバチャンに腕を捕まれて下水道から引き摺り出されていく。
「オバチャンと!? キュンキュンなの!?」
「そういう設定だ……諦めよ」
地上に戻された少年とオバチャンは、怪しいネオンが光るホテルへと―――
「うっ!!」
少年の腹が突然痛み出す! 先ほど食べたウニが何か悪さして少年は倒れてしまった! 食中毒だ!!
直ちに緊急搬送されたが、少年は帰らぬ人となった……。
「ハッピーエンドは作者が許さぬ……か。次は私が死ぬのだろう? 早くしたまえ」
何処か遠くを見つめるインド人。しかしそれに応える者はいない………………
読んで頂きましてありがとうございました!
酷い内容ですが、思い付いてしまったものは仕方ないので……許して下さいm(_ _)m