水辺に潜むもの
夏場になると川遊びをする方々は今でも多いと思う。最近でも子供が水の事故で亡くなる残念な事件がなくなることはないが、昔は子供が水死する件数は現在の比ではなかっただろう。
昔の一般的な農家などであれば、大人の手伝いができる以前の子供は、子供達だけで遊び回っていただろう。小さい子供を見ていればわかるが、指導者がいなければ勝手に危険な事をするし、少し大きい子でも、他の子まで目を配る、というのはまあなかなか難しい。したがって、あれ、あの子何処へいった、となって、探したらため池や川に浮かんでいた、という事故は何度起こったか数え切れないに違いない。
実際に川や池に子供を引き込むような化物がいる、というわけではない。川で遊んでいても他の動物に襲われることはそうはないだろう。蛭などは結構いて、血を吸われたりすることはあるが、少なくともそれで特に、精神以外は大したダメージを受けることはない。雑に引きちぎったりすると、血が止まらなくなることはあるが。
今回の話は、またUMAというか妖怪だが、河童についてだ。馬を河に引きずり込もうとすることもあるらしいから、かなり恐ろしいパワーを持っている。頭に皿があって、乾いたり割れたら死ぬとか、人間の尻こ玉を抜くとか、体色も緑色をしているし、気味の悪い恐ろしい妖怪だ。
だが、河童もキャラクター化が進んでいて、もはや恐ろしい妖怪というよりも、どちらかと言うと、コミカルで面白くてかわいいマスコットになっている。マンガやアニメにもよく出てくるし、東方 Project みたいに萌キャラになったり、今ではゆるキャラにもいる。
実は一応河童にもそれなりの元になった現実の話というか現象はある。河童が川の妖怪というのも、水死と関係があったからだ。
水死体は放置されると、服も脱げて全裸になり、次第にふやけていく。腐食の状態によっては皮膚の色が緑色になるらしい。そういえばRPGのグールやゾンビも緑色のが結構いる。死体が変色するのはよくあることなのかもしれない。そして、ふやけ具合が酷いと、肛門などもふやけて広がった状態になって、それこそ尻コ玉でも抜かれた後のように見える状態になって浮いているらしい。頭に皿がある、というのは頭頂部の毛髪が、流されている時に岩に当たったとか、魚がつついたとかのはずみで抜け落ちて、禿げた状態になったのだろう。
緑色に変色して、形態も無残に変形した水死体が浮いている状況は、トラウマになりそうな光景ではある。その忘れ得ないおぞましい姿を見た人間の心から生まれた妖怪が、河童だとは言えそうだ。
あまり考えたことがなかったが、河童というのは、ルーツを思えば、種族的には不死者になるのではないだろうか。そういえば芥川龍之介の河童も、頭のおかしくなった人にしか見えていない、あっちの世界の存在だった。
河童をアンデッドと解釈して、達者な監督がリメイクしてホラー映画にしたら、かなり気持ち悪くて怖いのができそうだ。水死体から生まれた緑色でムキムキのカッパ達が川から湧いてきて、人間のシリコダマを狙って襲い掛かる。そして、もちろん抜かれて死んだ人間は Kappa になる。ただ、新しい不気味さはあるかもしれないが、最近はこの手のアンデッドものであふれているので、まあまあ良作ぐらいのものを作っても埋もれてしまいそうではある。
小説になろうでは毎年夏にホラー企画が開催されている。もしネタに困ったら、アンデッド河童の話などいかがだろうか。




