第六話:多少守護者のことが苦手でも誘わないと
どうも皆さん。緒蘇輝影丸です。
勢いで作っていたというのもあり、ネタの構築に時間がかかり、さらにはリアルでの多忙で全然執筆が進まず、四ヶ月近く投稿が出来ずスミマセンでした。
そんな最中、PV数1000回&閲覧者数500人突破しました!ビックリしました!
……まぁ、四ヶ月くらい執筆出来なかったというのもあり、腕前は相変わらずですが(むしろ落ちたかも)。
今回は熱いキャラの登場回です。
楽しんでいただければ幸いです。
迷子の孤児達を、シエルの所へ送り届ける依頼から数週間後。今に始まった事ではないが、急激に暇になったクロードは、今日もデッドオーパーの置物と化していた。それも一人で。
クロードが不在の時にいつも店番をやっていたミリークは、年に二、三回行う新人侍女達への抜き打ち検査により不在。今は魔王城ともいうジェノサイド城にいる。城内が広いというのもあり、検査が終わるのは約一週間かかる。今日で四日目だ。
かといって、いつもデッドオーパーにいるペットのハココは、感情を表す事は出来ても言葉が話せないため、話し相手という名の時間潰しの相手には向いていない。……ただ、本体(本人?)を前にそんな冷たい事は言えない。だから、クロードが出来る事は、ミリークの帰りを待つか、客が珍しく来るまでひたすら寝るだけなのである。
(……あっ。そうだ。昨晩思いついたマグマンタイトを使った新しい魔導具を作ってみようか)
……たまにだが、ふと思いついた新しい何かを作ったり試そうとしたりする。不死族として長年生きているというのもあり、条約によってディザストレが平和になったというのもあり、暇を持て余す時間は、退屈という一つの言葉では収まり切れないほどある。そのせいか、彼の思いつきは大概突発的で実現性がないものばかりなのである。彼自身、思いつくだけならばまだしも、実現(もしくは再現)するには何の材料が必要なのかが分からず、気がつけば思いついた内容自体をすっかり忘れる事が多々あったために「今回は(二つの意味で)大丈夫なのか?」と、クロードは不安な気持ちで一杯なのだ。
(……まぁ、その時はその時か……)
ただ、今に始まった事でもないため、立ち直りもまぁまぁ早い。今はもう死体であるが、長年生きていたおかげであろう。自分の事はそれなりに理解している。
「……あっ」
……と思いきや、突然何かを思い出したかのように声を漏らした。……一応言っておくが、新しい魔導具のアイデアを思いついたわけではない。どちらかといえば、素材についてある事を思い出したのだ。
(アイツの協力がないと手に入らねぇ……)
マグマンタイトは、極熱の火山地帯『インフェルノ』の奥地にある。正確には、奥にあるいずれかの火山の中にあるのだ。当然、かなり熱くて暑い環境であるため、人間だけの力では束になったところで到底手に入れられない物である。しかし、核が木っ端微塵に壊されない限りは死なない不死族のクロードでさえ、マグマンタイトを手に入れるのは容易ではない。
正確には、クロードは骨しかない身体故に、暑さを感じる事なく平気な顔でインフェルノを歩き回ることは出来る。……だが、暑さや寒さといった感覚がないだけで、別に火やマグマ自体に耐性が付いているというわけではない。もし行く前に噴火が起きていて、火口から溶岩が流れている事に気付かずそのまま足を踏み入れば最悪の場合、最期まで自分が溶岩に焼かれている事に気付かないまま、原形どころか炭も残らないほどに焼き尽くされてしまう。……まぁ、そこまでクロードは間抜けではないため、そんな最悪の場合は万に一つもあり得ないのだが。
……それもあるのだが、マグマンタイトは見た目以上に重いため、防具の下が骨しかないクロードの腕ではあまり多く持ち帰ることが出来ない。そうなると、今回の魔導具を製作するための素材集めには、重い鉱石をたくさん持ち上げられるほどに腕力があり、且つ暑さ(熱さ)に耐性のある人物が必要になるのだ。……ただ、その人物が、彼にとっては少し抵抗のある人物であるのだ。別に嫌っているわけではない。自分にはない物を持っているので、尊敬はしている。ただ、なにぶん人間時代で色々振り回された事もあったため、自ら関わろうという意思が持てないのだ。
……しかし、その人物を誘わないとマグマンタイトは手に入らない。後回ししようものなら新しく考えた魔導具のアイデアがすぐ忘れてしまう。それを避けるためには、誘うしかない。
「……【通話】」
腹を括ったクロードは、交信魔法で例の人物に連絡した。
〈おう!……誰だ?〉
繋がって早々女性の大声が、クロードにないはずの耳にキーン……と軽い耳鳴りを起こした。だが、クロードは何事もないように平静を装い、返事をした。
「……オレだ。クロードだ」
〈おぉ!!クロードか!!久しぶりじゃねぇか!!元気にしてたか!?〉
心なしかさっきよりテンションが高くなっていた。あまり会っていない元・勇者団の仲間の声を久しぶりに聞けば喜ぶのも仕方ない。ただ、それを差し引いても彼女――――竜人族の守護者、フェイア・ドランバルクの声はうるさい。もう少し声量を抑えてほしいところだが、残念ながらテンションが高くなっている彼女に何度言ったところで無駄なのだ。
「……お前ほどではないが、それなりにな」
〈ハッハッハッ!相変わらず回りくどい返事だ!まさにクロードだ!!〉
こう言ってはなんだが、クロードがフェイアと話せば話すほどにテンションが低くなるのに対し、フェイアはクロードと話すほどにテンションが高まるという比例の式が出来上がっていた。
……これ以上フェイアと話し続けたら、せっかく思いついた新しいアイデアが吹っ飛んでしまう。こんな感じでウダウダと話し込んで新商品のアイデアを忘れてしまうのは絶対に嫌だ。
……というか、そもそもオレは何故フェイアと一緒に行く事に気乗りがしないんだ?悪い奴じゃないんだから、別に同行したって良いじゃないか。
〈それで、クロード。アタシになんか用か?〉
「……お前と一緒にインフェルノに行きたい」
そんな自問自答を終えたオレは、フェイアの質問を半分聞いておらず、されど予想通りの質問に答えた。
〈はぁぁ!?そ、それって、あ、アタシとデートしたいって事か///!?〉
「あぁ」
何に驚いているのか分からないが、オレはフェイアの確認に即肯定した。
…………ん?デート?――――あっ。
……しまった。フェイアとの同行について深く考え過ぎたせいで、会話の方まで頭が回らず、フェイアの確認内容をろくに聞いていなかった。……えっと、さっきの用件と返事の言い方を思い返すと……。
オレが自問自答している最中に、フェイアが用件を聞いてきた。
本来先頭に付くはずの「新商品を作るため」という目的を伝え忘れ、一緒に行きたいとだけ言った。
それを聞いたフェイアはデートのお誘いと勘違いをし、驚いて再確認する。
すっかり目的を伝えていたと思い込んだオレは、フェイアの確認内容をろくに聞かずに肯定をした。
……どうしよう……完全にオレのミスだ。フェイアはすっかりその気になっている。今のアイツに、オレの訂正の声は聞こえないだろう。何せ――――フェイアは唯一、オレに熱烈な愛の告白をするくらいオレの事を好きでいるのだから。
人間時代のフェイアは、性格こそ今とそんなに変わっていない。しかし、人間時代の彼女に取り巻く環境があまり良くなかったのだ。ガサツというか、男より男らしい言動が災いをし、モルディガンマから離れるまで、魔王城がある島(つまり此処)に着くまで、何人かの女性に付きまとわれていたのだ。中にはユリとやらに目覚めた者もいたらしい。そのため、時々オレやロスト(当時はライド)といった男のメンバーに、本当にオレ達がフェイアに見合った男であるかと半ば無理やり試験をさせられた事もあった。結果はオレ達、男の勝利。「ズルだ」とか「正々堂々とやれ」とかほざく女共がとにかくうるさかった。一発強力な魔法でもぶち込もうかと思ったが、しなかった。別に情けをかけた訳ではない。必要なかったからしなかったのだ。
何故ならその時、フェイアが初めて取り巻きの女達に怒りをぶつけたからである。
――――アタシの信じる仲間を貶してんじゃねぇ!!……止めるな。アタシはな……アタシの大切な仲間が馬鹿にされるのを黙って聞くなんて出来ねぇ……魔王に立ち向かう勇気がねぇどころか、戦いのタの字も知らねぇお前らに、アタシの傍にいる資格はねぇ!!もう我慢ならねぇ……アタシの前から消えろ!!どうしても離れたくないって言うなら……アタシを打ち負かしたコイツらを倒してみせろ!!力も、技術も、魔法も、何より勇気も、お前らとは比較にもならねぇくらい凄いコイツらを、アタシなしでやれんのか!?もしやれるって言うならかかって来い!その時はアタシも、コイツらの盾として、お前らの相手をしてやる!!……何故かだと?決まってるだろ。……アタシは、仲間達の守護者だからだ!!!
……今を思い返すと、オレは……いやオレ達は、フェイアの熱い想いのおかげで、ディザストレに向かう事が出来たのだろう。そう思うと、感謝はしている。
……そうだ。オレは、ロストやフェイアみたいに、まっすぐで熱く、眩しい想いを……ただ妬んでいただけなんだ。……また忘れていたのか。まったく、オレの記憶力というものは……どうしてこんな大事なことまで忘れてしまうのだ。
(……仕方ない)
元を辿ればオレの落ち度が原因だし、オレが何か言った所で聞かないのが彼女だ。別に諦めた訳ではない。新商品の素材調達はついでという形でフェイアの相手をする。
……良いのか、だと?なぁに、忘れてしまってもまた何時か思い出す。それよりも、フェイアへの罪滅ぼしが重要だ(本人の前では絶対言えないが)。……誰に言っているのだろうか。オレ。
そんな感じで、誰に向けているのか分からない語りをしたところで、フェイアの声が聞こえた。
〈……で良いな?〉
「あぁ悪い。荷物の整理をしていて聞いてなかった。もう一度言ってくれ」
〈だ、だから!明日の朝で良いなって言ったんだ!!顔が熱くなる事を二回も言わすな///!!〉
フェイアにしては珍しく声に張りがないかと思いきや、ヤケになって今度は大声で言った。……ない耳が痛くなる。
「分かった。オレが悪かったから、そんなに怒鳴るな。お前がデッドオーパーに着き次第、すぐ転移魔法でインフェルノに向かう。それで良いな?」
〈おう!……いやぁ、なんだか胸が熱くなってきた!!〉
「お前、魔法使えないだろう」
〈そういう意味じゃねぇ!!……じゃあ、また明日な〉
「あぁ。また明日」
そんな短い挨拶と共に、通信を切断した。ここまで長くアイツと話したのは何時ぶりだろうか。直接会うのも久しぶりだからか、少し楽しみになってきた。あれだけ苦手だったのが嘘みたいだ。
……さてと、ハココに今日の果物を渡さないとな。……確か昨日は酸っぱい感じのオレンジェルだったから……今日は甘い感じのが良いかな。
「ハココ。今日は大盛りガシューイチゴだ。無論、甘ったるくならないように何もかけていないぞ」
パカッ。キィキィ…。
あっ。良かった。今日のハココの気分は見事に的中したようだ。自ら蓋を開けて、キィキィと蝶番を使って軽く鳴らした。
そんな感じでオレは、ハココの食べる様子を微笑ましく見ながら、明日のフェイアとの素材調達(という名のデートと言うべきか)に向けてある程度計画を練っていた。……正直、上手くいく自信がないな。
いかがでしたか?
彼女の熱血(というより仲間への想い)ぶりに少し温かくなれましたか?
次回は、後半の様子をお届けいたします。おそらく今回よりかは投稿間隔は狭められると思います(自信はあまりないけど)。
それまで、気長にお待ち下さい。




