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――――奪う?違うな。その男、クロード・オルデアンがもう二段落の山場を凌いだら、今度は少しばかり自分に力を数年程貸してほしいだけだ。……まぁ、クロード・オルデアンに依存という名の負担を与え続けるお前達に対する仕置きも兼ねて、だがな。……なぁに。しっかり返すどころかより良い状態で帰してやる。……それに、クロード・オルデアンの居場所は、ディザストレ……いや、お前達の傍以外あり得ないだろう?何を分かり切ったことを。クロード・オルデアンの事は、全世界において自分以上に知っている者はいない。
何せ自分は、■■■■■■■なのだから。
上下左右、辺り一面に大量の目と映像が蔓延る空間内で椅子のような蠢くナニカに座る、顔に陰がかかって見えない一人の男は、クルスの訴えを、想いを聞いても尚、眉根一つ、感情が一切揺らぐ事なくあしらった。しかし、クロードは近い内に帰すことを聞こえないクルスと自身に約束した。何故彼はクロードを誰よりも理解していると言い張れるのか、理由は雑音に掻き消されて誰の耳にも届かなかった。
……彼の真意が判明するのは、まだまだ先のお話……。
……はぁ……そこのお前。さっきから自分の警戒網を掻い潜って見ているな?
まったく。どいつもこいつも性懲りもなく自分の力を奪いに……って、なんだ。たまたま入ってしまっただけの傍観者か。なら良いか……いや。悪いが、自分の存在を知るのはマダ早イ。
――――ブッツン……ッ




