修行の成果
侵攻派からの強力な嫌がらせを受けつつも私は着実に仕事をこなしていた。
先週には『決闘禁止時間令』『決闘禁止区域令』『一人当たりの一週間の決闘申込み上限令』を制定した。
これのおかげで多少なりとも仲裁以外の仕事もできるようになった。
『鍛冶場独占禁止令』については謎の勢力によって成立しなかったのだが…。
そうしてできた時間を利用して各部活の施設利用について各部長間での協定を私の斡旋で締結させたり、食堂の料金について業者と交渉したり、試験期間について学校と協議したりと活動をしていた。
「な、なんて大変なのよ…。」
お父さんの修行に耐えたことで多少の体力は付いたが、それでも大変であった。
「お疲れ様だな。」
そういってミアがお茶を出してくれる。
ルクレスさんのメイドをしたことでおいしくお茶を淹れることができるようになっていた。
「ありがとう。」
「ほんとセリナはよくやるわねぇ。私だったらもう投げ出してるわよ。」
「大丈夫よ。イスラが当選することはないと思うから。」
「ちょっと!」
「あはは。ごめん、ごめん。」
「そろそろ移動するか?」
「そうね。そろそろ行きましょうか。」
「では、私も行ってくるとしよう。」
「ミア、そっちはおねがいね。それと、イスラ。」
「ああ、大丈夫よ。留守は任せて。書類の整理くらいはしてあげるから。」
「うん。ありがとう。」
ミアと共に部屋を出る。
ミアはその後別のところに向かっていくが。
私は、ここ最近ちょくちょく時間を見つけては鍛冶場へと足を運んでいる。
というのも、これは最終手段にしたかったのだが、派閥の私に対する嫌がらせが絶えないのでこちらも対抗措置を講ずることにした。
今はそのための準備をしている。
「さてと、続きをしようかな。」
ホルスト先生に頼んで、一カ所だけ、私専用に鍛冶場を開けてもらっている。
今はイスラの装備を作っている。
結局夕食のためにイスラが呼びに来るまで、熱中してしまった。
おかげでついに完成した。
「ああ、イスラ。見て、これあなたの装備よ。」
「おお! できたんだ! …って何よこれ。」
「三角定規だけど。」
「いや、わかってるわよ。初等学校の先生が授業で使ってたデカイやつじゃない。」
「ミアに合わせてね。」
「合わせてね。って可愛く言ってるけど片手に持ってるのデカイ三角定規だからね。まあ、いいわ。鑑定してよ。」
【直角三角形定規】
攻撃力 100
防御力 100
重量削減(中)
耐久性(中)
内角(30゜60゜90゜)
「あー、確かに角でこつんとされると痛いんだよねぇ。」
「なんでそんなことされたのよ。」
「ちょっとイタズラしちゃいまして…。」
「はぁ。ともかく、イスラはそれを使ってちょうだい。」
「ありがとう。」
「いいのよ。私と一緒にいると、いつどんな決闘を申し込まれるかわからないからね。」
仮にそうなった場合に、仲裁を申し立てられたら私は中立の立場にならなくてはならない。
そのため、自分で解決してもらえるように装備を作っていたのだ。
「今はなにをしてたの?」
「今は私の武器を作っていたのよ。」
「そうなんだ。」
「早くしないと、あいつらが次に何をしてくるかわからないから。」
「そうだねぇ。まったく、セリナに投票しておきながらなんなのよ!」
「まあ、あの人たちからしたら恩を売ったはずの人間が仇で返してると感じてるんでしょう。」
「一方的に売ってきたんだから返さなくてもいいのよ。」
「さて、お腹すいたわ。夕食に行きましょう。」
「あ、そうだった。ミアを食堂で待たせているんだった。」
「じゃあ急がないと。」
最近、ものさしを腰を差していることから夏休みに辛いことでもあったのではないかと学生の間で噂されている親友の下へと急ぐ。




