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ダメなサー子の蘇生の義㉕

「どうしてここに?」

サー子はセアーネとセルリエーンと交互に見ながら笑顔でききます。

おほん、とロジエがせきばらいして言います。

「どうやら、かわいいお客様たちはうちの娘と、セルリエーンにつもる話があるようだね」

「むすめ?!」

サー子は露店で鎧修繕をやってるセアーネが、ここの領主の娘ときいてびっくりしました。

「とにかく館の中へご案内しよう」

ロジエが片目をウインクしながら、メイドさんに合図しました。


ちょっと小さいけれど、オシャレな調度品がある素敵なお屋敷でした。

客間に一同が座ります。


「はじめまして、シュートラといいます、いまはサー子おねえちゃんと一緒に住んでいます」

「シュートラはわたしの妹よ」

サー子がにこにこしながら、シュートラの頭をなでます。

「そしてシュートラとずっと一緒にいるフゥアです」

フゥアも領主のロジエに、ちょこんとあいさつしました。


「えっと、ここディアネートは私の故郷なの」

セアーネが話し出します。

でもフォンテーヌにどうしても住んでみたくて、一人暮らしをすることになったのだけれど、心配だからと言ってセルリエーンが一緒にセアーネと来てくれたのです。

それでセルリエーンは軍人のスキルを活かして大佐になって、セアーネは唯一の特技といってもいい手芸で鎧の修繕屋さんで生活していたのでした。


でもフォンデンブルグ大臣の処刑で政情が不安定になり、危険を感じたセルリエーンはフォンテーヌ軍を抜けて安全なディアネートにセアーネを連れて帰ってきていたのです。


「それでドラヴァヒはなんと?」

セルリエーンはサー子に用件を尋ねました。

「あ、そうそう、これを預かっています」

サー子は親書をセルリエーンとセアーネに渡します。


< ディアネートの街のセルリエーン大佐、このたびフォンテーヌの独立にあたり貴殿を将軍として迎えたく臥してお願い申し上げます。 >


セルリエーンとドラヴァヒは、執政官時代からよく連携をとって軍官一致の政策を行ってきただけあって、とても信頼しあっています。

秘策を実行するにあたって、どうしても彼女の指揮官としての手腕が必要のようです。


そしてセアーネには。


< 親愛なるセアーネさん。これからフォンテーヌはゲオルクに一矢報いるために独立します。バルデスは追い払いましたので、是非フォンテーヌにお帰りください! 私はあなたがいないと辛くて仕方ないのです。ドラヴァヒ >


セアーネは「まぁ…」と赤面して手紙で顔を隠しました。


「どうやらフォンテーヌは王国から独立をするようです」

セルリエーンはうーん、とうなりつつ領主のロジエを見ます。


「どうやら、ドラヴァヒは何か考えてるようだね」

ロジエが察してセルリエーンとセアーネをじっと見ます。

「よろしい、ディアネートも協力しよう。セアーネ、セルリエーン、いっておいで」

ロジエだってもちろんゲオルクの行為は聞き及んでいます。

そして老師ヴァイデノースを尊敬していたのです。

王都でドラヴァヒたちが投獄されたのも聞いていました。


「老師ヴァイデノース様の獄死は聞いていました」

ロジエが無念そうに言います。

「わたし、ヴァイデノース様の逝かれる間際で、遺言をきいたのよ」

フゥアがふらふらとロジエの近くに飛んでいきます。

おどろくロジエがうろたえてると、フゥアはおでこをあわせて思念を伝えます。

あの頃よりは少し記憶がうすれてはいましたが。


「あああ…」

普段は感情をあまり表に出さない、細身の紳士のロジエは泣きました。

「老師ヴァイデノース様…」

獄死する間際のヴァイデノースの闘志と、それを受け継いだフゥアとドラヴァヒの心が伝わってきました。


ロジエは覚悟を決めた様子で手紙を書きました。

そしてセアーネとセルリエーンをサー子たちと一緒にフォンテーヌへ向かわせたのです。


あまり寝ていなかったサー子たちでしたが、急いでフォンテーヌへ戻ります。



◎◎ ◎◎ ◎◎



王軍はアスタリスタ城の手前1里の地点に布陣します。

着陣したばかりの王軍をアスタレット伯は騎兵300騎で夜襲します。


「わが名はアスタレット! 命が惜しくば道を空けよ!」

ふいをつかれた王軍は1000名ちかくの歩兵を失ってしまいました。


「さすがアスタレット。疲れている軍の出鼻をくじくとは…」

ゲオルクみずから参陣していますので、疾風のような騎兵がまるで無人の広野を駆けていくように自軍がやられていく様子を見ていいました。

しかし悔しそうではありません。

むしろ楽しそうな感じすらあります。


ゲオルクは防備を固めさせ、すぐには攻撃をしません。

そして使いの者をアスタリスタ城に送ります。


< アスタレット伯爵どの、たいへんお見事な奇襲でした。しかし王軍はたった1割も減ってはいないのです。残りのお手持ちの兵で、あとどれぐらいやれますか? ここは王国の平和のためにも、我慢をするときではないでしょうか? よくよくご賢察あられよ。 ゲオルク >


< 貴殿の兵士や領民が、ぞくぞくと寝返ってきています。いつでも停戦を受け入れますから、安心して私の陣へ来るのが一番だとおもいます。 ゲオルク >


アスタレット伯は度重なるゲオルクの手紙を見て蒼白になりました。

王軍はじわじわと包囲するつもりです。

そして投降を待つ作戦のようです。

人命を犠牲にしても、嫁とりをするというゲオルクのしつこい気持ちが不愉快で仕方ありません。


「明日は斬りこんで討ち死にしようか…それとも…」

アスタレット伯は壮麗で美しいシャープな顔を下に向けうなだれます。

そして自刃して果てることも考えます。


「アスタレット伯爵! フォンテーヌから使者です!」

そこにフォンテーヌからドラヴァヒの親書が届きます。


蒼白になっていたアスタレット伯でしたが、みるみる色を取り戻しました。

生きる希望が湧いてきたのです。

それは彼女の壮麗さをも蘇生されていくようでした。


バルデス軍がフォンテーヌを出て九日が経ちます。


すっかり準備のととのったフォンテーヌです。

バルデス軍がハーヴィス川をわたりきったと斥候から報告が入りました。


「みなを集めよ!」


フォンテーヌ城砦の大広間。

サー子たちも戻ってきていて、ぷーん、だりきゃ、ダルメル、セルリエーンとセアーネも参列しています。


ドラーモンこと、ドラヴァヒはフォンテーヌの一大発表として宣言します。


「ただいまより、フォンテーヌは黒い森の騎士サー子を領主とし」

ざわっ、と会場が揺れます。


「フォンテーヌは独立する!!」





フォンテーヌの独立の第25話を2016年11月28日に表す。

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