#1
ここは人間界。
とある専門学校前の道路に血にまみれて横たわっている1組の男女いた。
男性の名はアルバート・ミカエリス。
女性の名はメグミカ・ダレス。
彼らは介護福祉学科に通う生徒であり、同じクラスに在籍している。
そのクラスでアルバートは学級委員長、メグミカは書記を担っていた。
そんな中、事件は起きた……。
†
ある日の放課後。
教室にはほとんどの学生が帰路についたあとのことである。
「メグー」
メグミカが記録用紙を書いている時、1人の女性が彼女のところにやってきた。
「レイ、どうしたの?」
彼女はペンを持ったまま、呼ばれた女性の方を向く。
彼女の名はレイチェル・ディアス。
このクラスの副委員長であり、飛びっきりの美人である。
レイチェルはメグミカから「レイ」と呼ばれている。
彼女はメグミカの隣の空いている椅子に座った。
「もうアレイスト達がさぁ、やたらうちに絡んできて困っちゃう……」
「アレイスト達が? レイは美人で可愛いし、いいんじゃないの?」
「そういうメグこそアルバートとほわほわしてるじゃん!」
「ほわほわしてるって……」
メグミカが次の台詞を言いかけた時、教室のドアが開いた。
「アルバード!」
メグミカが開かれたドアの方を見ると、アルバートが立っている。
「おっ、レイチェルも一緒だったか。メグミカ、黒板を消していいか?」
彼は教室に入り、彼女に問いかけた。
ちなみに今日のテーマは『学科行事について』を話し合ったらしく、様々な行事が黒板に書かれている。
「うん。黒板に運動会って書いてあるでしょ? その前まで消していいよ」
「分かった」
アルバードはメグミカに指示されたところまで消していく。
「ところで、レイはアレイストになんて言われてるの?」
メグミカはレイチェルに何を言われたか訊いてみる。
「だって、『レイチェルちゃん、明日、前髪パッツンでツインテールにしてきてよ!』だって。いくらなんでも無理だよ」
「そうだよね……」
メグミカはレイチェルの今の髪型を見てみる。
彼女は栗色のロングヘアーをヘアアイロンで真っ直ぐにし、前髪はなく、髪を縛るとオールバックになってしまう。
いざ、前髪を作ろうとしても今までセンター分けだったため、勝手に分かれるとメグミカは思った。
「まあね……。アレイスト達って最近、オタクが入ってるもんねぇ……。いい歳してゲームだなんてさ」
彼女は呆れながら、ペンを机の上に置く。
それを見たレイチェルはメグミカにこう言った。
「それより、メグは早く記録用紙を書く! さっきから全然書き進んでないよ! それと彼氏を待たせちゃ駄目だからね!」
「そうだよ。彼氏である俺を待たせるんじゃないぞっ!」
それにつられてアルバードも彼女と一緒になって言う。
「彼氏っ!? まぁ、確かにそうだけど……」
顔を赤くするメグミカ。
それに対し、アルバートとレイチェルはコクコク頷いていた。
†
あれから、メグミカは彼らにそのようなことを言われたため、しぶしぶ記録用紙を書いていた。
「レイ、アルバート、終わったよ!」
「お疲れー、メグ!」
「お疲れ様、メグミカ!」
「じゃあ、私、先生に記録用紙を出してから帰らなきゃならないから、レイとアルバートは先に帰って」
メグミカは荷物をまとめ、鞄と記録用紙を持ち、椅子から立ち上がる。
次の瞬間、アルバートがメグミカの手から記録用紙を奪い取った。
「いや、俺が出す。メグミカはレイチェルと先に帰ってなよ」
その時、メグミカとレイチェルは一瞬、ポカンとしていた。
彼女らはすぐに正気を取り戻した。
「……そう……? じゃあ、お言葉に甘えて。レイ、帰ろ!」
「うん」
メグミカとレイチェルは最後にアルバートにこう言った。
「じゃ、後でメールちょうだい!」
「また明日ね。アルバート、気をつけて帰ってね!」
「「アルバート、今日も1日お疲れ様!」」
「2人とも、お疲れ。また明日なっ」
こうして、メグミカとレイチェルはアルバートに記録用紙の提出を頼み、先に帰路についた。
レイチェルとメグミカが教室から出たあと、アルバートは教室の戸締まりをし、鞄とメグミカに頼まれた記録用紙を持って、教室から出ていった。
†
そして、翌日……。
アルバートは誰よりも早く学校に行った。
「……」
彼は窓際の席に座り、1人でぼんやりと外を眺める。
「あっ、アルバート、おはよう! 今日は早いんだね!」
教室のドアのドアノブがカチャッと音を立て、メグミカが明るい声で教室に入ってきた。
「お、おはよ。もう、俺は……」
「アルバート、どうしたの? 悩み事なら相談にのるよ?」
「いや、別に……」
「じゃあ、なんなの!?」
「……」
メグミカはぼんやりと外を眺めているアルバートの異変に気づいたのだ。
「でも、危ないよ! アルバートはまだ死んじゃだめ!」
「でも、俺は限界なんだ! メグミカやクラスのみんなにもう、辛いことや思いはさせたくない!」
アルバードはメグミカにそう告げた瞬間、バチン! と音が響き渡る。
彼女は左手で彼の頬を叩いた。
「何言ってるのよ! こんなことを言うのはアルバートらしくない! 今、死ぬなんて早すぎる! アルバートのお父さんとお母さんが悲しむよ……」
彼女の頬は涙をつたっている。
一方の彼も左頬をさすりながら、
「メグミカ……お前は優しいんだなっ……」
「うっ……うっ……」
「でも、メグミカはまた、素敵な彼氏を作れよなっ……」
メグミカを優しく包むように抱きしめた。
「イヤ! 私はアルバートがいいの! 他の男子より……アルバートがいいの!」
アルバートは首を横に振り、教室の窓を開ける。
「……さよなら、メグミカ……」
アルバートは教室の窓から飛び降りた。
「イヤー!」
彼につられるようにメグミカも教室の窓から飛び降りた。
2016/02/22 本投稿




