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#1

 ここはとある魔界の裁判所。


 1人の青年が廊下をつかつかと歩いている。

 彼は端正な顔立ちをしており、黒の背広を着崩し、右手には黒の手袋を着用し、黒髪で隻眼。

 よって、紅い右目は出ているが、左目は隠されているようだ。


「ヴィンセント君」


 彼の後ろを歩く彼と同じく黒の背広姿の別の男性が声をかける。


「ハイ? アスタキ所長。どうされたんですか?」


 ヴィンセントと呼ばれた青年はあとからきたアスタキと呼ばれた男性に問いかける。


「ヴィンセント君は仕事上がりかい?」

「ええ」

「ならば、少し話があるのだが……」


 アスタキは少し戸惑ったような表情を浮かべながら、周囲を見回す。

 なぜなら、今、彼らがいるところはたくさんの被害者や相談者が出入りする裁判所の入口付近。

 ヴィンセントはその時、何かを察した。


「ここでは話せない内容ですか?」

「そう、だな。所長室で話すとしよう」

「ハイ」


 彼はアスタキとともに所長室へ向かった。



 †



「どうぞ、入ってくれ」

「すみません、失礼します」


 アスタキに手招きされ、ヴィンセントは所長室に入る。


「では、早速ですが、話とはなんでしょう?」


 ヴィンセントはアスタキに問いかけるが、


「本当に唐突だな。今の裁判は決着がつきそうか?」


とたわいのない話をし始めた。


「ええ、なんとか。早ければ明日くらいには決着がつきそうです」

「なるほど……。今の相棒(パートナー)はどうなのか? 恋愛ではなく、仕事上だけでな」

「うーん……」


 突然、今の相棒について質問されたため、ヴィンセントは戸惑ってしまった。


「まぁ、今の相棒とは言わず、今までの相棒は頼りないというか、裁判官(ジャッジ)である俺が全くやったことがない探偵(インケスタ)の業務をやらされたりと大変だったことがありましたから。まぁ、俺よりずっと年下の女性あるいは少女ということもありますが」


とヴィンセントは苦笑しながら長々とアスタキに愚痴るかのように答える。


「ほう……。今回の裁判が終わったら次の相棒である女性と一緒に仕事してほしい」


 アスタキは彼にそう言うと、


「その方はどんな方ですか!?」


と少し興奮したような口調で訊く。


「彼女はヴィンセント君と5歳離れている。君は裁判官しか持っていないが、彼女は女性ではじめて裁判官と探偵のどちらも持つ者だ」

「美味しい情報ですね。年齢もほぼ同世代みたいですし、裁判官しか持っていない俺にも頼もしいですね」

「そう言ってくれると実に嬉しい」

「女性でどちらも持ってるとなんかチートですね」

「ははは……。今度、時間がある時に彼女の部屋の地図を渡すからあってみてほしい。そして、君の裁判が終わり次第、彼女と任務を遂行してほしいことがある」


 アスタキはヴィンセントにその女性の部屋の地図を手渡すと、声に出して笑い始める。


「ありがとうございます」


 彼はその地図を受け取り、じっくり見てみる。


「……イルザ……? どこかで訊いたことがある……」


 そこに書かれていたものは彼女の名前。

 ヴィンセントが呟く。


「ほう、君は彼女の名前を知っていたんだな」


 アスタキが感心したように彼に言う。


「ええ。噂で実際には話したことはないですが、任務とはなんですか?」

「詳しくは2人揃ってから話すとしよう」


 彼はヴィンセントを残し、速やかに姿を消した。


「ふっ……アスタキ所長ったら」


 1人だけになった所長室から彼はゆっくりと出て行った。

2015/10/25 本投稿

2015/12/17 改稿

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