#12
彼らはその学校のエントランスである事務所にらしきところにいる。
そこの窓が閉まっているため、ヴィンセントは窓を軽くノックしてみる。
「おはようございます……」
その音に気がついた事務所の女性が彼らを見て少し警戒したような声で言った。
「おはようございます。本日からお世話になります、イルザ・アナフェローズと申します」
「ヴィンセント・ミッドフォードです」
彼女は彼らの名前を聞くと、「少々お待ちください」と奥の方へ向かう。
「あぁ、イルザさんとヴィンセントさんはこちらの学生登録をされているので、大丈夫ですよ。こちらは学生証ですので、なくさないように大切にしてくださいね」
「ハイ」
「ありがとうございます」
事務所の女性は2人に学生証を手渡した。
「ところで、介護福祉学科の教室はどちらにありますか?」
「えっと、あなた達のクラスはですね……こちらは1号館ですので、この隣の2号館ですね……」
「こちらの建物ではないのですね?」
「ええ。こちらはビジネス系の学科が中心ですので……」
「そうですか。ありがとうございます!」
彼らは事務所から教室があるとされる2号館へ歩き始めたが、そこの女性が「あっ」と何かを言い忘れたようにこうつけ加えた。
「部屋番号は232で担任はエナ先生です。楽しい学校生活が送れるよう、願っています」
彼女はにこやかに2人を見送った。
2017/03/19 本投稿




