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王族殺しのキャリーベル  作者: 時雨
3/3

第二話「心の影と闇」

レイルはナイフを片手に目の前にいる相手の顔を何度も切りつける。


「ふぅ……お前は間違えたな。あの場でリン・キャリーベルに殺されていればこんなに痛い思いをせずに済んだのに……」


レイルは相手を見ながら言う。しかし相手からの返事はない。何故ならこの時すでに相手の男は死んでいたからだ。

致命傷になったのは背中から肺にかけての刺し傷だった。それに加えて、レイルが内臓が見えるまで同じ場所を刺し続けたから男は死んだ。

今レイルは彼の顔を剥いでいる所だった。死体が誰の物か特定されないように、男の正体が分かるような物は全て消すつもりでいる。


「リン・キャリーベルはまだ殺させはしないさ……奴が自分の本性をさらけ出すまではな……!」


レイルは最後の仕上げに男の身体と男のカバン等を燃やした。そして馬を奪い夜の道をかける。


1


革命軍本部では現在リンとアイリスが向かい合うように座っていた。


「リン、またあなたはラインと飲んでたみたいね」


「ああ。否定はしないが、飲むか飲まないかはオレの自由じゃないのか?」


リンは少し怒り気味のアイリスを見ながら正論を投げかける。


「それじゃ困るのよ!今日貴方には馬で行ってほしい場所があったから……」


「行ってほしい場所?」


疑問に思ったリンは、怪訝な表情でアイリスを見ながら聞く。


「ええ、今日貴方には例の兵器の実験を見に行ってもらいたかったの」


アイリスの言葉を聞くと、リンはなるほどなぁと思いながら言葉を続けようとする。


「よぉ、二人共何をもめてんだ〜?」


しかし、リンが何かを言う前に、突然ラインが割り込んでくる。


「あなた、昨日リンにウォッカを飲ませたわね!なんでもっと度数の低いお酒にしなかったの!」


アイリスは怒鳴りながらラインに掴みかかる。


「ええ〜、どうして俺はこんなに怒られてるんだ〜?」


アイリスが何に怒っているのか分からないラインは不思議そうにリンに聞く。もちろんアイリスが掴みかかったままの状態である。


「今日俺に例の兵器の実験を見せたかったらしい」


リンはそれだけ答えると苦笑いをしながら少し後ろに下がる。そしてふと思ったことを言う。


「アイリスが行けば解決しないか?」


しかしアイリスは、ハァとため息をつく。


「私はやらなければならない書類があるから行けないのよ」


「そうだったのか〜、じゃあアイリス嬢とリン坊の代わりに俺が行くってのはどうだ〜?俺は酒が強いからもう酔いが覚めてるし」


ニコニコしながらラインがそう言うと、アイリスはキリッとした顔をする。


「そうね、貴方が招いた種だし貴方が行きなさい!」


アイリスがそう言うとラインは「了解」とだけ言い部屋を出ていった。


「ハァ……リンあなたは今日はフリーでいいわよ」


アイリスはそれだけいうとリンを置いて部屋から出ていった。


2


ちょうどアイリスが部屋を出たころ一人の青年が革命軍本部の出口から出ていた。


「早く血がみたいなぁ。真っ赤なトマト色の血が」


薄気味悪い顔をしながら目的地へと歩いている。


「ほぅ、案外くるのが早かったな。リン・キャリーベルはどうしてる?」


「あんたは会う度にリンの名前しかださないんだなぁ?レイルさん」


革命軍に所属している青年、ランドール・キャリアは薄気味悪い笑顔を浮かべながらレイルに聞く。


「今私の研究対象はあれ一人だからな。もうお前には半分以上愛想をつかしている状態だ」


レイルのその言葉を聞くとランドールは腰に携えてある剣を持ってレイルに斬りかかる。

レイルはその行動を予測していたように後ろに下がり、腰に携えてある少し大きめなナイフを抜く。


「レイル、あんたは僕を実験動物と同じ扱いをした……許さない、許さないぞ!!」


再びランドールはレイルに斬りかかろうとするが、それより先に速くレイルは動き無言のままランドールの剣を蹴って遠くに飛ばす。剣は地面に刺さりランドールは武器を持っていない状態のままレイルと対峙する状態になる。


「ひっ……!」


「もうちょっと革命軍の偵察を任せてやろうと思ったが、壊れたオモチャに用はない!」


レイルは持っているナイフでランドールの腹部を刺す。


「〜〜〜〜!!!!」


ランドールは声にならない悲鳴をあげてその場に倒れる。レイルはそんな彼を冷たく見下ろす。そしてゆっくりと何メートルか後ろにあるランドールの剣を取りに行く。


「最後はお前の愛剣でお前自身を殺してやろう。安心しろ、殺した後は死体が誰の物か分からないように傷を付けたり燃やしたりするからな」


レイルは残酷な笑顔を浮かべながらランドールの頭から口にかけてを刺した。レイルの期待通り剣は頭と喉を貫通して地面に刺さっていた。

剣を彼の頭から引き抜くと今度は違う箇所から頭を刺す。それを何度も繰り返して辺りは血の海になる。


「これで私自ら動かなくてはいかなくなったな」


そう言うとレイルは持っていたウォッカを彼の死体にかけて、その上から火のついたマッチ棒を投げた。

瞬く間に火は広がりランドールの死体は火に包まれてどうなったのか分からなくなった。


レイルはもう一度冷たい目線でそれを見るとその場を去った。


3


リンは街中を歩いていた。もちろん正体がばれないために変装していた。


「今日のターゲットはあいつにするか……」


リンは今日も王族の関係者を殺しに来ていた。彼は王族の関係者が何故か狭いバーに入って行くのを確認した。


「人目があるから剣やナイフは使えない。今日はこいつを使うか」


リンはズボンのポケットから粉が入っている薬を取り出す。そしてゆっくりとバーに入っていく。

バーの中に入ると狙っていた獲物がまた別の王族と一緒に酒を飲んでいた。王族達が飲んでいたのはウォッカだった。


王族でもあんなもの飲むんだなぁ……彼はそう思うと後ろから彼らに近寄った。正確には彼らの隣に座った。


「マスター、ウォッカを二つ頼む」


「はいよ」


リンが注文してすぐにウォッカがでてきた。リンはばれないようにこっそりとその二つに均等になるように毒を入れた。


「オレは用事で帰るんで良かったら飲んでください」


リンがそう言うと王族達は酔っているのか気分が良さそうに酒を受けとった。そしてそれを口に入れた。リンはその様子を見届けると金を払い席を後にした。


その日の午後リンが号外新聞を読むと二人の王族関係者は亡き者になったという記事があげられていた。彼は笑いを堪えながらゆっくりとした足取りで革命軍本部へと戻った。


自室にてリンはいつものごとくペンダントを握りしめて語りかけていた。


「オレはまた殺したよ……時期に王の奴も殺すから待っててくれ」


ー全ては愛する君のために


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