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操り人形の館   作者: りぐす
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2人の黒幕

第一章完結です

「やあ、ナオトさん」

「やあギンギン、それに他の人達も」

あの夢から一夜明け、黒幕であるルイさんのいるであろう屋敷に集まった一同。

「とりあえず対策を練ろう。この館に入ったらもう後戻りできなさそうだしね」

「とりあえず、ルイを追う側と屋敷全体の探索側と別れた方がいいんじゃないかな。なにかあったら大きな音を立てて合図するとか」

「ふむ、それがいいかもね。組分けは、僕とナオトさん、西行さんと内田さんで行きましょう」

「あー、それなら一応応援を呼んでおこう。部下達に連絡をいれておく」

「西行さん、ありがとう。よし、そろそろいいかい?」

みんなの顔を見渡す、みんな真剣な表情で軽く頷いた。

「じゃあ、開けるよ…」

私はゆっくり扉を開ける、そこに広がる光景を見たとき思った。

「この屋敷、夢で見たのと同じ…?」

「みたいだね…」

夢でみた屋敷そのものであった。正面に暖炉、右と左に扉がひとつずつ、暖炉の横に階段と部屋ひとつ…そして左の奥の扉が少しだけ開いている。おそらく、あそこにルイさんがいるのだろう。

「ギンギン、あそこ…」

「うん、薄々気づいているよ。あそこにいるんだろうね。西行さん内田さん、探査お願いします。僕たちはあそこに行きます」

「了解、生きて帰れよ」

「わかってますって。じゃあ」

「おう。じゃあ俺は夢でみた通りならこの部屋に猟銃が…」

例の扉の前で一度止まる。中は木漏れ日が差していて明るくみえた。心の準備をして…

ギギギギギ…

鈍い音と共に扉が開かれる。中で待っていたのは…

「いらっしゃい」

「お待ちしていました」

「…!」

「ルイさんが、2人…?」

顔も背丈もまったく同じの、2人のルイさんがそこに佇んでいた。

「双子…?」

「ふふふ…そうね、折角だしいいことを教えてあげましょう。あなた達がここ最近変な夢をみたのも、人が死亡したのもみんな私の仕業。私が本物の東雲瑠衣、こっちは私の作り上げた人形よ。どう?そっくりでしょう?」

「人形…?確かにそっくりだけど、どういう…」

「私はね、とある力に目覚めたの。人形を作って魂を吹き込むことくらい容易いことよ」

「確かに。一卵性じゃないなら凄いね。でも私はそれよりもルイさんがやってきたことに興味があるかな」

「やってきたこと、ねぇ…私も最初はこんな予定はなかったのよ、でもね…人を殺す快感を覚えてから、人殺しが楽しくて仕方がなかったのよ…ふふふ…」

なっ…!

「ナオトさん、ギンさん、あなた達は他の人間と違ってあんな場所でも冷静に判断をくだしたでしょ?それに興味をもって、あなた達の行動を見させてもらったわ。時には遠くから、時には近くからね。非常に面白かったわ。人間が協力して謎に立ち向かおうとしてる姿は、とても興味深かったのよ」

「確かに、ここ数日の出来事はとても興味深い経験だったね。二度目はごめんだけど」

…待てよ、近くでってどういうことだ?

「人間って、ルイさんだって人間じゃないか。同じじゃないの?」

「…最初は復讐のつもりだったのよ」

復讐…

「全てはこの屋敷に仕えたことから始まったのよ…」

「知ってる。主人に気に入ってもらえたのも、イジメにあっていたことも。君が作った夢の世界に記録があったから。でもだからって」

まって、ギンギン。それで、君はどうしたんだい?

「……」

ギンギンは黙り込んだ。

「ふふふ、ではここまでこれたご褒美に、あなた達には全てお話ししましょう」

全て、本当に全ての謎が明かされるのであろうか…?

「二人の知ってるように、私はここの主に仕えていた。あのころはまだ何の不便もなく楽しい日々だった。でもね、主に気に入られてから、他のメイド達から露骨なイジメを受けたわ…服を切り刻まれる、自室の扉を傷つけられる、他のめいどからはぶられる…数え切れないほど、ね。そして主に相談し、主の部屋に来た私は見つけたのよ、あの本をね」

あの本…?

「そこから私の性格、全てが一変し、奴らに復讐を誓ったわ。そして奴らを殺した時に感じたのよ」

”快感”ってね…

人を殺すことに快感を覚える…?そんなの馬鹿げている!

「私は一度あなた達と接触してるわ。館の探索に誘ったあの日、あの東雲瑠衣は私。口調が今までと違ったと思わなかった?」

そういえばあの時、口調が違ったような…

「そしてあなた達が疑問に思っているでしょう、この人間。私に似せようとしたけど、性格が変わる前の私の記憶が刻まれてしまったみたいね…失敗したわ」

たしかに、人形のルイさんはこっちのルイさんとは性格が全くの別物だ。

「そうだね。あの時の君とにどこか違和感を覚えたのは認めるよ。最初に会った時の君は本を読む前の君、ということなのかな?」

「ええ、そうよ。夢の中に行かせたのもこっちの方。さて、あなた達は全てを知った。警察に行くなり、何なりするといいわ。信じて貰えないだろうけどね。それと」

ルイさんの言葉の後に、外から何か引きずるような音が聞こえた…まさか!

「もう一人のお人形を用意したの。仲良くしてあげてね」


…………………

「おーい西行さん、何か見つかりましたか?」

「いんや、何も手がかりがねぇな。この暖炉も何かあるかと思ったが何もねぇしな」

「僕も二階軽く見てきましたけど、夢で見たとおりで特に変わったところはありませんでしたね」

「ちょっと待て、鍵はかかっていたんだよな?」

「はい、そうです…」

「しゃーねぇ。さて、残りは館主部屋だけだが、行くか」

「はい、そうですね行きましょう」

「…!ちょっと待て、何か聞こえないか?」

「え?」

「何かを引きずる音だ…食堂からだぞ!」

「ゴクリ…」

「あれは…夢でみた時に出てきた巨人…?」

「僕らに気づいてないんですかね?真っ先にあの部屋に行こうとしています」

「よし、一発威嚇射撃してみるか」

「き、気をつけてくださいよ…」

「おう…」バァン!

「どうだ?」

「西行さん、なにやら向きを変えたようですけど…」

「…!まずい逃げるぞ!出口までダッシュだ!」

「ああ!おいてかないでくださいよ!」


…………………

マズイぞ、あんなやつとマトモにやりあおうっても勝ち目なんて万に一つもないぞ…どうする…?と、そんな時だった。

バァン!

「なんだ⁉︎」

外からなにやら銃声が聞こえた。

「何⁉︎まさか追手が…くっ」

ルイさんが一瞬怯んだように見えた。そして何かを引きずる音は一瞬止まった。

「隙アリ!」

この隙をギンギンは逃さなかった。一瞬のうちにルイさんとの距離を縮めた。

「なっ…くっ!」

「おおっと!」

ガッチリとルイさんの頭を両手で鷲掴み。

「あ、ああ…」

「おっと、涙ぐんでも効きませんよ。ちょっとお寝んねしてもらいますよーっと…テイヤァァァァァァ!」

ゴツン!という音が鳴り響く。痛そう。ギンギンの強烈な頭突きがルイさんにクリーンヒットしたようだ。

「うう…」

人形のルイさんが途端に苦しみ出したかと思うと、バタンとその場に倒れてしまった。

「ふう、なんとか戦わずしてどうにかなったみたいだね」

だといいけど…チラリと扉の外を覗く。

「うわ…」

巨人が佇んでいる。でも動く気配がないな。

「そう言えば、探索組は終わったのかな?」

「扉の外には姿が見えないみたい。逃げたのか…」

「そりゃ、巨人が来たんじゃ仕方ないよ。窓あるし外から聞いてみるね」

おーい、とギンギンが外の二人と連絡をとる。かくかくしかじか

「どうやら館主部屋以外は終わったみたいで、他のところには何もなかったらしいよ」

「じゃあ自分がちょっと見てくるね、ギンギンはルイさん2人を見ていて」

「了解!」

外に出る。案の定巨人は動かなかった。突然動いたら困るけど、ホントヒヤヒヤするなぁ。そして無事館主部屋に到着。

「よし…」

ゆっくり扉を開ける。そこには書物が大量に並んでいるのと、推奨のようなものが禍々しい光を放って置いてあった。

「もしや、これがルイさんの魔力の供給源?」

割っておこう。それを持ち上げ勢いよく床に叩きつける。パリンという音が静かな部屋に鳴り響いた。

「あとはここら辺一通り調べて…ん?」

何やら真っ黒い紙が目に止まった。なんだろう?と興味本位で見てしまった。

『水晶玉は夢の世界へ誘惑させるための道具であり、わたしの魔力の供給源はまだ他のところにある。あなた達には、いずれ素敵なステージを用意して起きます。ではその日まで、さようなら 東雲瑠衣』

な、これは夢の世界へ引きずりこむ媒介だったのか…だったら本当の魔力の供給源はどこに…?そう思った矢先、さっきの部屋から何か破けるような音が聞こえた。

「ギンギン…!」

急いでそっちに戻る、するとそこには撃ち抜かれたような穴が空いていて、ギンギンは壁にもたれかかっていた。それにルイさんが一人いない…

「ギンギン、大丈夫?」

「うう、なんとか。なんか割れる音が聞こえた途端にルイさんが『ふふ、夢の国のお話はお終い。次のステージへ…』って言い出したと思ったら、あの巨人が暴れまくって、僕も振り飛ばされて本物であろうルイさん担いで逃げたんだ」

「こっちのルイさんは人形の方か…手がかりが少し途絶えたかな…」

「何かあったのかい?」

私はあの部屋で見つけたことを詳しくギンギンに伝えた。

「ふむ、それじゃとりあえずあの夢はもう見なくなったって考えでいいんだろうね。他には?」

まだよくは見ていないね。

「じゃあ一通り見ていこう。ついでだし」

「そうだね」

ギンギンとあの部屋に戻る。そしてわかったこと、あの部屋には大量の魔術の本があったということ。使った形跡があったのはクリーチャーを創り出す本、人間を強制的に幽体離脱させるような内容の本。それらは魔力の供給源を潰さないと止められないということがわかった。


それから数日後、人形のルイさんは警察に引き取られ、目が覚めた時にはこの事件のことを何も覚えていなかったという。

そして、何の事件も起こらないまま日が経って行く。そう、あの悪夢なような日がまた来るまでは、ね…



第一章完

二章書くのは未定

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