表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
操り人形の館   作者: りぐす
3/6

操られる者

「んん…」

目が覚めるとそこは昨日見た光景が広がっていた。

「あれ、寝ちゃったのかな…」

確か昨日パソコンで色々調べてたら、睡魔に襲われて…眠っちゃったのか。

「でも、またあの部屋…でも、女性の声は聞こえなかったよな…」

「ナオトさん…」

「ああ、ルイさん。君もやっぱり来てたんだね」

「はい…」

また昨日のような虐殺劇は始まるのだろうか、不安そうな顔を隠せてないルイさんがいた。

「あれ?ここは昨日の夢、のような。皆さんは昨日もいらっしゃいましたよね?他の方は…あのまま」

私のすぐ側にギンさんがいるようだ。

「またここか。どういう原理でこの世界は出来ているんだろう。今日はあの声も聞こえなかったし…」

「また夢なのか…?またさっきのが来るんじゃないだろうな!?」

内田さん、西行さんも側にいた。

「いくら夢とはいえあんなのにやられるのは嫌ですよね。しかもいやにリアルな夢ですし。怖いくらいにはっきり覚えているというか、これは本当に夢なのですかね?とても不思議な雰囲気です」

私は、ギンさんのその言葉の意味に心当たりがあった。

「あー、夢じゃないって言ったら君たちは信じてくれるかな?」

「どういうことです?」

私はルイさんとの経緯、此処にいる人間は本当にいる人間で、みんな○○町に居るはずだということ。昨日殺された人間は○○病院で今も起きていないということを伝えた。

「確かに僕も今は〇〇町に滞在しています。あと新聞で意識不明者が多数出ているという記事も見ました。他の方はどうです?」

「昨日とか意識不明者とかいったいどういうことなんだ…さっぱりわからない…」

そういえばこの人、ずっと気を失っていたんだっけ…

「えっと、うち…うっちー?でいいかな?うっちーも意識不明でその病院に運ばれてたよね。今日見掛けたよ」

「う、うっちーって…じゃあ俺も意識不明だったわけですか」

そんな会話もさて置き、ギンさんが纏めの話をした。

「なるほど…ちょっと現実離れしてますけど、この世界でもしも死んでしまうと現実世界では意識不明になる可能性があると。ってことは今ここで立ち止まっているのは危険ですね。いつまた昨日の巨人がでてくるかわかりません。何とかこの世界から脱出のようなことができるように皆で協力しましょう」

とりあえずここからの脱出を目標に探索することになった…その時

ギギギギギ…

と鈍い音が後ろから聞こえた。みんな咄嗟に身を構える。

「なんだ…」

扉が軽く開いただけでそこには何もいなかった。

「おや、これは風の音でしょうか?」

となると、風で扉が開いたのかな?

「急にドアが開いて驚いたけど…外には気配がないよね。ここにいても仕方がないし行って見ませんか」とギンさん

「そうだね。少し興味もあるし」意見に賛成する。

「もうこんな夢から目覚めたいですからね」うっちーも賛成のよう。

「私も、それでお願いします」ルイさんも賛成、しかし

「ふーむ………」

「あれ?西行さんどうされました?」

「あ、ちょっと考え事をしてただけだ、先行ってくれ」

「いや、単独行動は控えた方がいいですよ。何が起こるかわかったもんじゃないですし」

「あー、そうか」

ということで全員揃って行動することに。

「あ、そうだ。ここの木製の机、壊せないかな?」

「ちょちょちょ、ナオトさん大丈夫なんですか?」

「木片って武器にならないかなって思ってね。大丈夫、こう見えても護身術で脚力は鍛えてるから…」

私は足を振り上げ思いっきり振り下ろす。ゴン!という音が鳴り響くが、机はビクともしなかった。

「いたた…やっぱり無理かな…誰か壊せる人いませんか?」

「な、なるほど。っていうか確かにこの部屋を調べずに進むのも心配ですしね。僕もすこしですが武道の心得がありますので試してみますね」

…⁉︎

「ちょっと…ギンさんまさか…」

ギンさんは机に両手を付き、キックでも拳でもなく、頭突きで机を壊そうとしていた。

「ではちょっと壊すの試してみますから離れて下さいね…どッセイや!!!」

と極心空手の構えから急に机に頭突きを思いっきり喰らわすギンさん。バッコーン!とそれに似たような音が鳴り響き、見事に机は粉々になった。

「はわわわわ…」

ルイさんが後ろで口を押さえて震えていた…まさに衝撃映像、私達は何か貴重な経験と貴重なものを見た気がした。

「あらら、ナオトさん、これじゃ武器にはつかえなそうですよ」

見事に粉々にしたため、武器には使えそうになかった。

「投げるくらいには役に立つと思うからいくつか持っていこう。ギン…?ギンギン有り難う」

「ギンでいいですよ。まぁ僕が役にたったなら良かった。他にこの部屋で確認することないですかね?周辺とか、無ければ進みましょう!」

あとこの部屋にあるのは…窓だけかな?

「これで窓を割って脱出できないかな?」

「お、面白そうだな。俺にやらせてくれ」

西行刑事さんが木片を手に取った。

「何にも活躍できてないからな、たまには役立つことしてみたいもんだ…なっと!」

西行刑事さんは木片を思いっきり窓に投げつけた、しかし「コツン」と当たって跳ね返ってしまった。

「なんだこれ?硬すぎる、本当にガラスか?全く…ここはよくわかんねぇな」

開けられるところもなく、あり得ない硬さをもつこのガラスは、まるで私達を外に出させないためにあるのであろうか。

「本当に不思議だらけだな~。外はどうなってんだろっと」

ギンさんが窓の外を覗く。

「ダメだ~。真っ暗で何にも見えないや」

ダメだった。先に進むしかないようだ。

「みなさん、先に行きましょう。自分が先頭で行きます」

先陣を斬って私が前に出る。風で開いた扉をゆっくりと開け、外を確認する。左に階段、正面にドア二つ、右手に大きなドア一つ、すぐ右手隣にドア一つ、暖炉一つ。その隣に扉が一つといった構成だった。

「危険はなさそうだね、みなさん行きましょう」

全員で外に出る。やたら静かな空間が広がっていた。周りに目配せあたりを確認する。

「ん?」

床に何か引きずったような跡を見つける。それは隣の部屋に繋がっていた。何故だろう、隣の部屋が危険な感じがして仕方ないのだ。

「皆さん、これ何か引きずった跡がありますよ。多分は…あのでっかい奴の斧の跡じゃないでしょうかね。隣の部屋は危険そうですね

。あそこは後回しにしましょう。他のところを調べて見ませんか?」

私が真っ先に気になったのは暖炉だった。こういう館のようなところには暖炉の裏に通路があって、部屋に繋がっているというのがホラーゲームでも王道であろう。

「なるほど、暖炉見て見ましょうか。どーれ…」

ギンさんが暖炉を覗いた。

「ん?これは…空洞でしょうか。人一人入れる程度の空洞がありますね!」

やっぱり、私の勘に間違いはなかった。奥の部屋に繋がっている通路があるみたいだ。

「あれ?でもなんか前にあるみたいでうまく進めなさそうだぁ」

何かに塞がれているようで、それ以上先に行けないようになっているらしい。

「そこが現実にでも繋がってくれればありがたいんだがな…まぁ無理か」

「そうですね…残念だけど難しそうだよ。他の部屋から手がかりさがそうか」

暖炉は一旦後回しにして、隣の扉と正面二つの扉を調べることに。暖炉の隣の扉、正面右側の扉、大きな扉は鍵がかかっているのか開かないもよう。

「ここは開くみたいだね」

正面左の部屋、そこは長いテーブルにクロスが敷かれ、キャンドルが置かれている。洋風な食堂といったところだろうか?

「この部屋、食堂みたいだね。人の気配はないから入って大丈夫だと思うよ」

ギンさんが中を確認し、私達も続く。

「あ、奥にも扉があるよ!!調理場かな?なんだろ」

なんとギンさん、部屋に入るなり新たな扉を見つけ、そっちの方へいってしまった。

「あ、ギンさん…西行さん達も行きましょう」

「いや、俺はここで誰か来ないか見張ってるよ。ルイちゃん達もここにいた方が安全だろうよ」

「そう、ですよね。お願いします」

西行さんに後ろを頼み、ギンさんと共に奥の部屋へ進む。

「あけるよ!そ~っとっ」

中は床に調理道具が散乱してひどく散らかっていた。

「やっぱり調理場だったようだね。ふぅ、ここも変なのはいなそうかな?なにかここから出れる手がかりないかな~っと」

二人で手分けしてこの部屋をよく調べる。

「あれ…?」

「あれ…?」

何も…無かった。

「おかしいな、何もないなんてあるのだろうか」

「引き返すしかないようですね…」

「そうだね、引き返そう…」

と私はなんとなーく扉の裏側をチラッと確認してみた。

「あ…ギンさん、鍵がありました」

鍵が扉の裏に張り付いていた。しかも扉と同色で気づかなかったようだ」

「おぉ!何にも無いとおもったらコレ!」

ギンさんのテンションが有頂天へ。よく見ると鍵には”A”と刻印がされていた。

「ふむふむ、”A”という部屋があるのでしょうかね」

とりあえずこのことを他の三人に報告、食堂にはもう何もなかったのでをにした。

「さて…」

この階で残された部屋は、あの何かを引きずった跡が続く部屋のみ。

「みなさん、あそこは恐らく危険です。何があってもいいように身構えだけはしておいてください。ぼくが扉を開けます…行きますよ」

ギンさんがゆっくり扉を開けて中を確認する。

「中は真っ暗で何も見えないみたい。全開するよ」

ギンさんは勢いよく扉を開ける。すると

「ん?なんだこれ…?」

部屋の上から一枚の紙がヒラヒラと落ちてきた。

「なんだろ…おお!これは!」

ギンさんのテンションがまたもや有頂天。

「みなさん、これこの建物のマップみたいだ!いいものみつけたね!」

マップは心強い。

「さて、部屋を確認…おわ!なんだこれ、斧⁉︎」

扉のすぐ横に刃を下にして斧が置いてあった。

「これ…昨日の夢で出てきた巨人が持ってた斧じゃないかな…?でも血痕は付いてないみたいだ」

ということは、この屋敷には今は巨人がいる可能性は低いということか。ありがたい情報だ。そして暗闇に目を凝らしてよく見る。

「武器庫?かな猟銃と弾薬がたくさん置いてある」

武器庫なのであろう、猟銃が飾られていた。

「ここは武器庫として使われてるみたいだね。刑事さーん、此処に拳銃の類あるみたいなんだけど、使えたりする?」

「うーん、悪いが猟銃は使ったことないんだよなー拳銃なら練習で結構て慣れてるが…まぁ文句は言ってられないし一応持っとくに越したことはないか」

「他に何か使えそうなものはもっていこうか。あのでっかいヤツに対峙したら、どうしようもないけどさ、一応ね…おや?」

ギンさんがまた何か見つけたようだ。

「これはランタンですね。燃料は残ってるようですが、火がありませんね…使えるかわかりませんが、一応持って行きましょう」

ギンさんがランタンを持ち上げたその時

「おや?」

また何か見つけたようだ。

「ランタンの裏にメモが貼ってありますね。読んでみますよ、どれどれ…」

ギンさんはメモの内容を音読した。

『2階に厨房でみつけた鍵が使えるから2階に行きなさい』

非常に考え難い内容だった。

「うーん、これを信用していいのか否か…」

誰が書いたのかわからない、黒幕の仕業かもしれない。そんな不安が過る。

「でも進むしかなさそうだよね。二階に行ってみましょう」

私達は不安を抱えながらも二階へ向かうことに。

「二階はこうなってるんですねぇ」

二階は7つの部屋に分かれていて、それぞれの扉にAからGのアルファベットが書かれていた。

「とりあえずAの部屋に入りましょう」

ギンさんが鍵穴に鍵を差し込み

「カチャ」

開いたみたいだ。

「そーっと入りますよ…」

中はホテルの部屋のような個室だった。ベッド、机、トイレにシャワールームも完備してある。

「あーベッドだ…疲れたなー」

ギンさんがイキナリベッドに横になった。その衝撃で埃が舞った。

「もうギンギンったら、探索するよ」

「はいはーい、僕はお風呂見て来ますね」とギンギン

「自分は机調べますね」とうっちー

私は、トイレを調べようかな。

「うん、何もないみたいだ」

「こっちも特にないよー」

風呂場にもなにもなし、か…

「おーい、机の引き出しに鍵がありましたー」

「お、どれどれ!」

うっちーの呼び声に真っ先に反応したギンギン。どうやら好奇心旺盛みたいだ。

「ふむふむ、メモ書きも一緒ですね…」

メモの内容はこう

『これは書斎の鍵』

「書斎の鍵かぁ…なぜだろう、何者かに操られているような感覚だね」

確かにギンギンの言うとおりだ。何者かが配置して、私達を意のままに操っているように感じた。

「やはり、この屋敷にはまだ誰かいる…?」

小声でそう呟いた。

「とりあえず書斎に行こう。ここはもう何もないみたいだし」

少し待ってください。他の部屋を少し見てから行きましょう。

「お、そっちが先か。じゃあ僕は奥の部屋見てくるね」

奥の部屋に行くギンギン。

「自分はここで待ってます」

Aの部屋の前に残るうっちー。

「では自分は手前の方を」

私は手前の部屋を見てまわる。部屋Bは鍵穴が破壊されて侵入不可能になっており、Fの部屋は鍵がかかっているようだった。そして問題なのが…

「この部屋…」

部屋C、ここだけ扉が酷く傷つけられていた。刃物で傷つけたような、そんな跡が。

「おーい、こっちの部屋はドアノブが破壊されて入れない感じだったよー」

とりあえずこの部屋には何かある、もしくはあの巨人がいるのか…

「書斎に行きましょう」

私達は書斎に向かう。階段下で見張りをしていた西行さんに情報を共有、書斎へ向かった。

「じゃあ、鍵開けますね」

うっちーが鍵を開けそっと中を見る。

「中には誰もいないみたいです。入りましょう」

「おっと、俺はまたここで見張りをしておくぜ」

西行さんはルイさんの護衛兼また見張りをしてくれるみたいだ。そして私は部屋の中へ。中はデスク一つに周りが本棚というシンプルプルプルな感じ。デスクの上に本棚が一冊、電灯一つ、ペン一本置いてあり本棚には大量の書物があった。

「へぇー、いろんな本があるね」

ギンギンが真っ先に本棚に食いつく。本棚の本がところどころ抜けているのは気のせいだろうか?

「あ、見て!日記みたいなもの見つけたよ〜」

はやっ!ギンギンの好奇心スキル恐るべし!

「読んでみるね…」

「ああ、ちょっと」

無警戒で日記を読み始めるギンギン。それに首を突っ込むような形で私も日記を読む。

「ふむふむ…」

至って普通の日記だった。しかしページが後ろに行くに連れて気になる文章を見つけた。

『⚪︎月⚪︎日晴れ

メイド達の間で揉め事が起こっているらしい。何やらイジメのようなことが起きてるのだとか。私は気になりメイドの控え室として使っている客室を見に行くと、一つだけ扉が傷つけられていた。この部屋は確か東……君の部屋か…


⚪︎月⚪︎日曇り

私は東……君に問うた。やはりイジメを受けているらしい。彼女は私が信頼し、申し付けをしすぎたせいか、それが他のメイドが気に食わずイジメに繋がったという。私は酷く後悔をした。私は彼女に私の部屋の鍵を渡し、いつでも相談に来なさいと言っておいた。


⚪︎月⚪︎日曇り?

空が酷く暗い。そして東……君の表情も日に日に暗くなってきている。私は何か危険を感じたがその日は酷く眠かったため早く寝ることにした』

途中、かすれて読めなくなっている箇所があり、日記はここで途切れていた。

「ふぅむ…この日記から簡単に読み取れるのは…①東〇〇というメイドがいた。②彼女は苛められていた。③彼女は管理人室の鍵を貰っていた。④彼女の部屋は客室C。ってところかな?」

非常に内容が意味深いものだったようだ。ギンギンはすぐに推理を働かせる。

「確信は持てないけど、とりあえずCの部屋に行くしかないみたいだ」

あそこは傷跡のせいで鍵がかかっているか確認するのを忘れてしまった…

「とりあえず鍵を探さないと…」

そう思いデスクの上に置いてあった本を手に取ると

「チリリン」

鍵が落ちてきた。

「鍵…これはCの鍵…?」

きっとこの本にどの鍵か書いてあるはず。そう思いページをめくり続けると、文字の書かれていたページを見つけた。

「これかな…」

『今夜はこれでおしまい』

…?今夜はおしまい……⁉︎

突然すごい眩暈に襲われる。立っていられないような強烈な眩暈に。そして、この屋敷に操られていたかのように、気を失ってしまった。


…………………

ジリリリリリ…

鳴り響くめざまし時計。目を覚ますと、そこは自宅の寝室。机の上で私は寝ていたようだ。そして、私はこのあと恐ろしい真実を知ることになる。昨日病院に搬送された患者10名が全員息を引き取ったという知らせを、耳にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ