再会と危機
「二人組の男・・・・・・か」
俺と新太郎は無事に姫乃と再開し、ディールとリンを連れて、イクスのメルキス支部へと戻ってきていた。
「うん、この町の人じゃないのは確かだよ。町中でマントを付けているなんて、旅の人くらいだもん。そのマントなんだけど、ついてたマークが見たことあるような気がして――」
「あら?あなた達――」
椅子に座って話を聞いていると、入口のドアを開けて、数名のイクスがはいってきた。その人物たちは俺たちが待ち望んでいた人物だ。
「ミツキねぇちゃん!やっと帰ってきた~!」
「おや?秋七殿ではないですか~。何々、どうしたんすか!?」
「ユン、落ち着いてください。秋七さんたちが困っているでしょう?」
「久しぶり、秋七。あとシンタロー」
ミツキの後ろから、ユン、リーシア、メルティも顔を覗かせる。この場が一気に騒がしくなったな・・・・・・。
「おう!嬢ちゃんたちも元気そうだな――って、膝に座るんかい!」
新太郎の膝にボフッと、メルティが勢い良く飛び込んだ。何故かメルティは新太郎に懐いてるんだよな~。
それだけじゃなくリンも、表情には出さないが新太郎のことを気にいってるみたいだ。雰囲気が優しいオジサンといった感じなんだろうか。
「あなた達の顔が見れたのは良いけど、その女の子は初めて見る顔ね。ということはこれで迷い人は三人ってことね」
ミツキは姫乃を見ると、そんなことを口にする。つまり他にも迷い人がいるってことだ。
「ここがイクスの支部ってとこか。本当に警察みたいな組織なんだな」
「よかった、一時はどうなるかと思ったわよ・・・・・・」
(あれ、この声って――)
廊下の方から聞こえる男女の声。それは俺にとってだけではなく、姫乃にとっても聞き覚えのあるものだった。
「ん?お前ら!」
「姫乃ーーーーーーーーー!!!」
こちらが話すのより先に、少女が姫乃の方へと飛び込んできた。入ってきた二人を見て、俺は笑みがこぼれてしまう。
「雄二、美琴!無事でよかった――心配したぞ、ホント」
俺たちの前に現れた迷い人、それは捜していた友人達であった。
◇◆◇◆◇◆◇
「アニキ、奴らが戻りましたぜ。新しい商品を連れてきたみたいです」
「おお、そうか!通していいぞ!」
「失礼します。申し訳ありません、一人しか連れてこれませんでした」
部屋に少女を抱えた男が入ってくると、胸の前に手をやり一礼する。それを見たアキンオは男の肩を盛大に叩きながら大笑いした。
「気にするな、セフィル!一人でも十分だ。じゃあちっと見せてもらおうか」
セフィルと呼ばれた男は連れていた仲間に、少女を下ろすよう支持をする。アキンオは顎をさすりながら少女を見ると、ニヤリと表情を緩めた。
「迷い人だな・・・・・・これで二人目か。しかもこっちは女ときた。これは高く売れそうだぜ。よっしゃ牢の中にぶち込んどけ!くれぐれも傷をつけるんじゃねぇぞ!?」
「了解しました!」
「それでは私も失礼しますね。また新しい方を連れてきますので・・・・・・」
男たちは少女を再度、抱えると部屋を出て行った。セフィルもそれに次いで、その場を後にすると、自分の部屋へと帰っていった。
「今回は豊作じゃねぇか、さてさていくらで売れるか・・・・・・」
アキンオは上機嫌に口笛を吹きながら、食事へと戻っていくのであった。
◇◆◇◆◇◆◇
「なるほどね。それであなた達のお友達が、その二人組の男に連れて行かれた――と」
「ああ、ディールの話ではそういうことらしい。姫乃もその場に居合わせてるから間違いはないだろうな」
たんぽぽが連れて行かれたことをミツキ達に話し、そしてまだ会えていない匠のことも報告する。匠については本部、他支部にも捜索要請を出してくれるということになった。
それと同時にいま捜査の対象になっている、とある組織についてのことをミツキから聞かされた。
「人身売買の賊団の拘束任務?」
「そう。この任務の人手が少なくてね、だからあなた達にも手伝ってもらいたいの・・・・・・。これがその資料よ」
机の上に分厚い資料が置かれ、俺はそれを手に取りページを捲った。その資料を新太郎とディールが覗き込んでくる。
「居場所の特定は出来てんのか・・・・・・ん?おいおい、小さな子供までいるじゃねぇか!」
資料には行方不明になった人物について、詳しく書かれていた。次のページには賊団のマークなども描かれている。
「あ、このマーク!」
そのページを見たディールが大声を上げて指をさした。
「うぉ!ビックリした~。どうしたんだ急に?」
「これだよ!ポポねぇちゃんを連れて行った男のマントに入ってたマーク!」
「おい、チビ助!それ本当か!?」
新太郎が前のめりになりながら机に手をつく。ミツキ達は互いに顔を合わせ頷きあった。
「こんなところで繋がるとはね。ということはこれで貴方にも協力してもらう理由ができたわ。どう?手を貸してくれない?」
「――そんなの聞くまでもないだろ。友達が捕まってんだ・・・・・・ついていくさ」
自分の表情が今までに無いぐらい真剣になってるのが分かる。匠のことも心配ではあるが、まずは行方が分かっている者から救い出すのが先決だ。
「何々?どういう話になってるの?」
「三人はここで待っててくれ。陽ノ宮は俺と新太郎で救い出す。行けるだろ?」
「へ?お、おうよ!ここは俺たちに任せときな!」
「それじゃ最低限の装備だけ渡すわ。あと今回の任務は私達の他に、複数隊での共同作戦になるから、そのつもりでね」
他部隊との協力戦か・・・・・・それだけ相手さんの数が多いってことだろうな。でもどれだけ数が多かろうが、絶対に助け出す。
(だからもう少しだけ待っててくれ、陽ノ宮)
俺は空を仰ぎ、拳を握りしめるのであった――。




