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イクス✕ラグナ -いつでも突然、異世界Days!-  作者: 五百川 光
第1話 異世界、飛ばされました・・・。
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迷い込んだ世界 2

(あれ?ちゃんと教室はいったよね?たった一夜にして森になるってことあるの?)


俺は何がなんだか分からない状況に混乱する。いや、確かに机って木製だけど、木が生えることってないよね――って何いってんだ俺・・・・・・。

我ながらアホなことを考えてしまった、なんか恥ずかしいわ!


「とりあえず深呼吸しよう。ゆっくりと整理してだな・・・」



――ガサッ



落ち着いて考えようとした時、近くの茂みが揺れた。不意をつかれビクッと身を震わせる。


「な、なんだ!?なんかいるのか?」


恐る恐る、物音のした方に近づいていく。ホラー映画とかでよく見るシーンだよなこれ?こんなに緊張感があるとは・・・・・・。

すると次の瞬間、茂みの向こうで2つの光がゆらりと揺れる。それを見て俺は動きが止まった。

その光はゆっくりとこちらへ近づいてくる。もうこの時点で俺の心臓は破裂しそうなほどバクバクだ。

い、犬か!?それとも猫か!?ウサギちゃんでもいいよ!?とにかく癒し系ならなんでも可だから、バッチコイ!!


そんな切なる願いの後に姿を見せたのは――


横に大きく開いた口、無数に並んだ鋭利な歯。紫色の毒々しいヨダレを垂らしながら、鋭い眼光でこちらを射抜いてくる巨大なトカゲが出現する。

俺は口を半開きにし、声にならない悲鳴を上げる。血の気がさっと引いていくのがよく分かった。


うん・・・・・・癒し系じゃなくて、厳つい系でした――。





◇◆◇◆◇◆◇





走っても走っても、目の前に広がるのは森ばかり。

もう方向感覚も曖昧になってきて、遭難しているのと変わらないんじゃなかろうか。

しかし体力が続く限り、走らなければならない・・・・・・。


それは何故か・・・・・・?


だって大きなトカゲさんに追いかけられているんだもの――。



キシャーーーーーー!!!



「うおーーーー!何が癒し系だ、このやろう!癒しもへったくれもないわーーーー!!」


俺は絶叫しながら、思い切り走る。こんなに走ることなんて、今までなかったぞ!?

日常生活で爬虫類な猛獣に追われることなんてないだろう。ましてや複数に・・・・・・って増えてるーーーー!?

おい、こらお前らいつのまに増殖しやがった!?

後ろを振り向きながら駆けていると、ちょうど真後ろにいたトカゲの動きに変化が見られた。


(ん?あのトカゲ、動きが変じゃね?なんかさっきより足に力が入っているような・・・・・・。おいおい、嫌な予感しかしないんだけど!?)


どうやらその考えは間違っていなかったようだ。オオトカゲは前足に力を集中させると、思い切り飛び上がった。


「マジでーーーーー!?てか跳躍力すげぇーーーーーー!」


トカゲは宙を舞い、くるんと一回転。そしてギラッと目を輝かせ、一直線に突っ込んでくる。


「爬虫類が空中で一回転しやがった!何だ今の!?すげー、写メ撮りたかったんですけどー!?じゃなくてこのままじゃヤバイ!」


見るとオオトカゲは口をがぱっと開き、鋭い牙をちらつかせ喰いつこうとしてくる。

あんなのに噛まれたら、タダではすまない。まだやりたいこともたくさんある。見たいアニメにやりたいゲームも山づみだ。同人イベントだっていきたい!会場前の長い列に並びたい!そんな醍醐味を味わいたい!!


「だからこそ、こんなとこで死ぬわけにはいかないんだよーーーーーー!!!」


――っと、叫んだ時だった。

足を木の根にもっていかれ、体勢が崩れる。おい、うそだろ?こんなのありか・・・・・・?

体を捻り後ろを向くと、もう目の前にはオオトカゲの口が迫っていた。


(あ・・・・・・俺、死んだ・・・・・・)


自分の行く末を覚悟した瞬間だった――。


目の前に閃光が走り、眼前にまで迫っていたオオトカゲが真っ二つになる。それと同時に左から青いコートを纏った、女の子が俺の目に映り込んだ――。





◇◆◇◆◇◆◇





(おいおい、なんだこれ!?どっから現れたんだこいつら!?)


今、目の前で繰り広げられている光景。多数の人間とオオトカゲが入り乱れて戦っている。漫画やゲームなんかでよく見る光景に俺は目が離せないでいた。

突如、姿を見せた者たちは全員、青いコートに身を包み、縦横無尽に動き回っている。

その中に一際、目立つ少女の姿。綺麗な黒いロングの髪が、薄暗い森の中でもキラキラと輝いている。僅かに差し込んでいる陽の光が、さらにそれを際立たせていた。

そして少女の剣さばき――その華麗なる剣舞に見惚れてしまう。


「それでは一気に畳み掛けます!全体、能力開放!」



「「「了解!ラグナ・デバイス――覚醒アウェイキング!」」」



少女の言葉に周りの者たちが一斉に声をあげる。はい?あうぇいきんぐ?一体何が・・・・・・。

そう思った瞬間、集団が手に持っている武器のようなものが光を発する。


(うお!?なんか発光してる!?大丈夫なのか、これ?爆発したりしないよね!?)


そんなことを考えていると、それぞれの武器や体が変化していく。刀身に炎を纏っていたり、自身の背中に雷の翼が形成されていたり、他にもバリエーション豊かな変化が見て取れる。


なんかすごいことになってるーーーーーー!!!

なんだろう、この胸から込み上げてくる高揚感は・・・・・・。


はっ!まさかこれが――中二病!


確かにこの前(つい三日ほど前)腕に包帯巻いて指ぬきグローブを装着してニヤニヤしてたときもあったが、それは若さゆえの過ちということであってだな・・・・・・。


――と、自分でも訳の分からないことを考えているうちにトカゲ軍団の数がどんどん減っていく。

その力の差にさすがのオオトカゲも歯が立たないと感じたのだろう。攻撃をやめてどんどん森の奥へと逃げていく。

そしてついに最後の一匹もこちらに背を向けて去っていった。


「か、勝ったの――か?す、すげ~。あの化け物どもを一瞬で・・・・・・。一体なんなんだ、こいつら・・・・・・」


「OK!戦闘終了です。みなさん、お疲れさまでした!学園へ戻りましょうか」


少女は微笑みながら、その場の全員に声をかける。それと同時にこちらへ向かって、ゆっくりと歩み寄ってきた。俺はほっと胸を撫で下ろし口を開く。


「いや~、助かったわ。あいつら急に襲ってきてさ~、もう駄目かと思ったよ。ありがとな!」


やはり助けてもらってお礼をいわないのはいけないからね!そう言って手を伸ばそうとしたとき・・・・・・。

ジャキ!っと喉元で冷たい金属音がなる。


・・・・・・・・・・・・へ?


「あなたは一体何者ですか?こんな人気のない森をウロチョロと――怪しい奴。ちょっと一緒に来てもらいますよ」


よく見ると少女がこちらを睨みつけながら、手に持っている剣の切っ先を向けてきている。突然のことに動きが止まり、またもや血の気がサッと引いていく――。



一難去ってまた一難とはこのことか・・・・・・。




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