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困窮少女の独白
わたしの幼なじみは大変かわいい。
うるうるの大きな瞳。
花びらを思わせる薄紅色のくちびる。
すべすべの肌に小さな顔。
ウェーブを描く茶髪は軽やかで、華奢な四肢は小鹿のよう。
道を歩けば誰もが振り向き、ひとたび笑えば誰もが見惚れる。
誘拐と告白は日常茶飯事。
恋に破れた男は星の数。
まるで少女マンガの主人公のような――いや、それにしたって出来過ぎた美少女が花園美優、つまりわたしの幼なじみだ。
美優を前にした人間ならば、誰もがこう思うことだろう。
かわいいは正義、と。