繰り返される、残酷な結末
毒殺の疑いをかけられたエレノアの部屋に、騎士団の強制捜索が入ることになった。
エレノアは毅然とした態度で容疑を否認したが、最愛の女性を亡き者にされ激昂する王太子と、彼に同調して公爵家を追い落とそうと目論む貴族たちの狂奔を止める術はなかった。
しかし、この時のエレノアはまだ、どこかで楽観視していた。
(わたくしが潔白であることは、神に誓って真実。今日だって、わたくしは一歩もこの部屋から出ていないのですもの)
そもそも、王太子が同席する茶会で供される飲食物は、何人もの下級使用人と毒味役の手を経て運ばれる。
もし毒を混入させることが可能だとするならば、それはあの場にいた給仕か侍女、あるいはシャルル自身に他ならない。王城の厳重な検分を掻き潜り、この離れた自室から毒を操るなど、物理的に不可能である。
エレノアは、真実が明かされるのは時間の問題だと信じて疑わなかった。
だが、現実は残酷だった。騎士がクローゼットの奥から見つけ出したのは、エレノアが見たこともない、禍々しい黒の小瓶――。
「し、知らないわ!そんなもの…見たこともない…どうして…」
「拘束しろ!」
「信じてください!シャルル様!わたくしではありません!神に誓っても…!」
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「号外だー!号外ー!」
【稀代の悪女、断罪の露と消える――グウィネス公爵令嬢に死刑判決】
去る二月、王城内庭園にて発生せしサラ・バーント男爵令嬢毒殺事件につき、王立裁判所は本日、エレノア・グウィネス公爵令嬢に対し、主文通りの有罪を言い渡した。
当局の調べによれば、令嬢の私室内より、猛毒の残滓が発見された。さらに、公爵令嬢付きの女官による、「グウィネス公爵令嬢の依頼により男爵令嬢の茶器に毒物を混入した」との自白が決定打となった。
王太子殿下の婚約者という至高の地位にありながら、嫉妬に狂い、無辜の乙女を害したその身勝手なる犯行に、市民からは激しい憤怒の声が上がっている。
エルドラントの空に太陽が昇る頃、高貴なる真珠と謳われた美貌は、冷たい刃によって永遠に失われることとなる。




