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マルロック探偵の備忘録 10

【 マルロック探偵の備忘録 10 】




 これは、私の手に負えない事件だ。


 一連の少女失踪には、王家が関わっている。おそらく、国王自身が。あの事件以来公の場に姿を現さないシャルロット殿下は、私の予測が正しければ、もうこの世にはいない。




 私には守るべき家族がいる。これ以上深く踏み込めば、家族の命まで危うくなるだろう。




 捜査は中止だ。集めた証拠も、調べ上げた住所録も、すべて暖炉の火に投げ込んだ。今夜のうちに、私の頭の中以外から、この件に関する記録はすべて消し去る。




 だが……。


 この備忘録だけは、どうしても燃やすことができない。




 いつか、この国がもっと真っ当な場所になった時。


 あるいは、私と同じように王家の闇に気づいた者が現れた時。


 その者に、せめてこの狂気の断片を伝えてやりたいのだ。


 もし私が不慮の死を遂げたなら、この手帳が、犠牲になった娘たちの最後の叫びを証明する唯一の灯火になるだろう。




 この備忘録だけは、いつか――誰かの目に留まるその日まで、この壁の奥深くに隠しておこう。





マルロック・ウェブリー



ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

また次回の小説も読んでいただければ幸いです。

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