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第三十四話「翠風の迷宮・攻略戦」 The Emerald Wind Labyrinth: Assault Operation

 ——翠風の迷宮、第四層。


 石と苔に覆われた回廊の奥から、うねるような魔力の気配が漂う。

 風のダンジョンらしく、階層が深まるほどに突風が吹き荒れ、魔物の知性と凶暴性も増していた。


 しかし、ルイたちは怯むことなく前進する。

 彼らの息は、もはや訓練された戦士のそれだった。



 突如、頭上の吹き抜けからフロストバットの群れが襲来。


「数が多い!囲まれる前に落とす!」


 メリナが即座に矢を放つ。矢が空中で炸裂し、三体が一気に撃墜される。

 ゼクスが咆哮と共に跳躍し、盾で二体を打ち落とすとそのまま踏み潰した。


「下がって、狙い撃つから!」


 ルイの指先に宿る風精霊が一斉に飛び出し、空を舞う。

 精霊が風を切り裂くと同時に、耳飾りが青く輝き——


「《風鎖陣》!」


 三体のバットが風の鎖に縛られ、もがく間もなく墜落。

 そこへランスが突撃し、斬撃一閃でとどめを刺す。


「一掃完了。次、行こう。」



 第五層に降り立った瞬間、振動が走る。

 石壁から現れたのは、巨大な岩の腕を持つロックゴーレム。


「突破力が段違いだね……。でも!」


 ゼクスが正面から盾を構え突進。ゴーレムの拳を受け止めながら叫ぶ。


「今だ、弱点は関節部位だ!」


 サリアが補助魔法《軽量化》をルイとランスに付与。

 瞬間、二人の動きが加速する。


「——せぇいっ!」


 ルイが精霊獣〈風牙〉を召喚、右足の関節を噛み砕かせる。

 ランスはその隙に回り込み、左腕を叩き斬った。


 最後は、メリナの放った雷属性強化矢が頭部に突き刺さり、轟音と共にゴーレムが崩れ落ちる。


「やるじゃん、あたしの矢、だいぶ強くなったでしょ?」


「うん、でもまだ精度は僕の方が——」


「うるさいっ!」



 ダンジョンアクセサリーが、それぞれの行動に呼応しランクアップを続けていた。


 ルイ:C → B。新たに《風結界・初級》を習得。

 ランス:黒曜石の指輪が熱を帯び、《二連斬撃》を習得。

 サリア:回復スキルの効率が向上、《再生の祈り》を獲得。

 ゼクス:防御時の魔力消費軽減。《鉄壁陣》を習得。

 メリナ:属性矢の切り替えが自在に。《四属性強化矢》を獲得。

 ——誰か一人が突出するのではなく、五人それぞれが成長を遂げていた。



「次の階層、なにか嫌な感じがする」


 サリアが小さくつぶやいた。


 ——第六層。

 そこに待ち受けていたのは、強化された魔物たちだけではない。

 黒く染まった魔力、通常とは異なる波動。


「もしかして、これ……“変異個体”?」


「面白くなってきたな」

 ランスが剣を構え、ルイも静かに精霊を集め始める。


 迷宮探索は終盤へ。

 しかし、それは“冒険”のほんの序章に過ぎなかった。

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