表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/177

第三十三話「十五歳の門出」 The Fifteenth Year’s Departure

 エルフ国の王都、学術都市〈セリュンティア〉。

 双子の王子——ルイとランスは、この地で12歳から15歳までの歳月を過ごした。


 王族の子弟に課される厳格な学業と鍛錬の日々。

 剣術、精霊魔法、治癒魔法、政治学、歴史、戦略論。


 すべての科目で二人は首席の座を争い、常に周囲の期待以上の成果を上げていった。

 特にルイは、テイム技能と精霊魔法の融合分野で天才と呼ばれ、

 ランスは剣技と実戦魔術の分野で他の追随を許さなかった。


 街ではすでに「未来の守護王たち」と称されるほど、

 二人の実力と才能は王都でも知らぬ者がいないほどだった。


 ——そして、ついに迎えた十五歳の誕生日。

 それはエルフ国において、「成人」として扱われる重要な節目でもあった。

 この日から、王族であれど正式にダンジョンへの挑戦資格が与えられる。


 二人は王国が管理する中規模ダンジョン《翠風の迷宮》へ挑むことになる。


 同行するのは、王都学園から選抜された同級生たち——


 サリア=フローレンス:精霊治癒に優れる少女。ルイの精霊親和力に惹かれている。

 ゼクス=アグナス:重装騎士志望。ランスに兄のように付き従う。

 メリナ=スプーナ:トリッキーな弓術を使う頭脳派。ルイとはよく張り合う。

 5人編成で、初の本格探索が幕を開ける。


【ダンジョン探索】

 入口で受け取ったのは、それぞれの魂と適性に合わせて発現するダンジョンアクセサリー。

 ルイは銀色の耳飾り、ランスは黒曜石の指輪が浮かび上がった。


 ダンジョン内は薄暗いが、精霊の加護を得たルイの魔力が明かりとなり、視界はクリア。

 敵は主に魔狼、土ゴーレム、小型インプなどの初級魔物。


 だが、5人の連携は見事だった。


 ランスが前衛を張り、ゼクスが左右を守る。

 メリナの矢が影から刺さり、サリアの回復が仲間を支え、

 ルイが召喚した小型精霊獣たちが敵を撹乱し、魔法で仕留める。


 戦闘を重ねるたびに、ルイの耳飾りからアナウンスが響く。


「《風刃》の発動により、風属性スキルを習得しました」

「《精霊連携・小型》スキルを取得」

「魔石吸収により、ランクが D → C に上昇しました」


 仲間たちのアクセサリーもまた、徐々に反応を見せ始めていた。


 休憩中、ランスがルイに笑いかけた。


「……悪くないスタートだな、初陣にしては。」


「うん、でも……この程度なら、もっと先まで行けそうだよ?」


 ——無邪気に笑うルイの背に、風と精霊が舞っていた。


 まだ彼らは知らない。

 この先、ダンジョンの奥には「予期せぬ変異」が潜んでいることを——。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ