表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の余興により堕とされた異端の翼、その者、異界にて覚醒し神すら恐れる陰陽術を操る  作者: アマ研
第一章 堕天の陰陽師、現世に顕現す ―The Fallen Onmyoji Rises―
27/177

第二十六話「冥界の眼差し」 The Gaze of the Underworld

 それは冥府の底、魂の終着点たる黒の王座。

 地上で蠢く大量の死の気配に、冥界の支配者――ハデスは静かに瞳を開いた。


「……秩序が乱れている」


 神ですら容易に接触できぬ死の領域で、一人の影がその声に応じた。

 それは死神の一人――ハデスに絶対の忠誠を誓い、主の命のみを遂行する刃。


「我が王。ご命令を……」


 その死神は、ずっと忘れていなかった。かつて冥府に干渉し、ハデスの腕を切り裂いた堕天の叛徒――ルシルフル。

 あの罪を、冥府は許していない。魂が輪廻しようとも、因果は消えぬ。


 そして今、寿命に反した死が地上で積み上がる異常事態の中心に――その名があった。


「安倍流威……貴様が、奴の転生体か」


 冥府の眼が、流威に向けられた瞬間、空気が変わった。

 生者の世界に死の波動が染み渡り、見えざる獣が狩りの時を告げるように牙を研ぐ。

 死神が一度“目をつけた”者が、生きて帰ることはない。


 それは摂理であり、逃れられぬ宿命。


 しかしその男――安倍流威は、定めすら式神の力で捻じ伏せる異端の存在だった。


 死神は地上に降りる。

 一つの過去を償わせるために――

 そして、冥府の秩序を正すために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ