第百六十五話「異界―沈黙の会議」 The Otherworld: The Silent Council
**ペルセポネ**
「……ハデスは死んだ。タナトスもまた、永遠に戻らぬ。魂の回廊は断たれ、冥界と現世の繋がりは消えた。」
**ニュクス**
「死者たちは還れず、漂い、消える。あれほど永遠を誓った秩序は、今や音もなく崩れ去った。……これは、戦火と呼ぶに値する。」
**ヒュプノス**
「夢の中で死者が呻いている。終わりを得られぬ者たちが、果てしなき悪夢を彷徨っている。――もはや許容の域を超えた。」
**ケルベロス**
「……境は閉ざされ、帰る道もない。ならば、咆哮と牙で道を開くだけだ。」
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**ペルセポネ**
「本来ならば、ガネーシャの界と龍脈を繋ぎ、緩やかな干渉のもとに秩序を正すはずだった……それすらも潰された。」
**ニュクス**
「龍脈は遮断された。冥界から外界への全ての導路は、封じられた。……だが一つだけ、残っている。」
**ヒュプノス**
「妖精と精霊の古き道――光と闇が交わり、今は誰にも踏まれぬ幽き径。あそこなら、侵入は可能だ。」
**ペルセポネ**
「交渉の段は過ぎた。――これは報復。冥界の法に背いた代償を、払わせる。」
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**ニュクス**
「沈黙を破った世界には、沈黙で返そう。永遠の暗き夜を。」
**ヒュプノス**
「眠りを穢された者に、夢など不要だ。彼らには終わりすら贅沢だ。」
**ケルベロス**
「道がない? 上等だ。……じゃあ、踏み砕いて進むだけだろう。」
**ペルセポネ**
「ならば決まりね。――冥界の怒り、思い知らせてやりましょう。」
**全員(静かに同時に)**
「……行こう。**殺しに**。」




