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神の余興により堕とされた異端の翼、その者、異界にて覚醒し神すら恐れる陰陽術を操る  作者: アマ研
第六章 四国同盟、闇洞突破戦 — Shikoku Alliance: Dark Hollow Breakthrough
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第百五十四話 「神核の誕生」 The Genesis Core

 **打つ。**

 掌底が空を裂き、重く鈍い衝撃が走る。


 **打つ。**

 踏み込みと同時に拳をねじ込む。

 その質量は十分――だが、巨躯はわずかに揺れただけだった。


 **打つ。**

 回避を封じる絶妙な間合いからの膝蹴り。

 狙いは定まっている。それでも、核心には届かない。


 沈黙の中、ルイは小さく息を吐いた。


「……しぶといな〜〜。マジで無理かもしんねぇ。」


 肩越しに流れる汗。

 焦りではない。ただ、見極めの時間が来たという感覚。


 足元に力を込める。

 そこから生まれた螺旋のような回転が、身体を貫いて駆け上がる。


 脚のひねりは腰へ。

 腰の捻転が肩を導き――最終的に、腕へと連動していく。


 その動きは無駄がなかった。

 理屈も意識も超えた、極限まで磨かれた“型”。

 本能が導く、破壊の完成形。


 掌が、開かれる。


 すべての回転エネルギーが、そこに**一点収束**した。

 身体中の力が、静かに、だが絶対的な確信を持って集まる。


 そして――


 **掌底が、放たれた。**


 一瞬、世界が凪ぐ。

 風が止まり、音が消え、時間が沈黙する。


 次の瞬間。


 **相手の全身が、光を放った。**


 内からあふれ出すような、圧倒的な輝き。

 骨を透かし、血肉を貫き、存在そのものが明滅する。


 それは――**核に触れた証。**


 一撃。

 正確無比な、到達。


 光はしばらくそのまま持続し、やがて、静かに消えていった。


 ルイは掌を下ろし、眉をひそめながら低くつぶやく。


「……マジか。テイムして嬉しかったの、人生で初めてかもな。」


 それが、**十九回目の打撃。**


 いつもなら、一撃。

 遅くとも、二撃で終わるはずだった。


 これほど深く潜る相手に出会ったのは、初めてだ。


 だが、確かに感じる。

 手応え。核心への接触。そして――


 **従属の気配。**


 かすかに笑みを浮かべながら、ルイは静かに身構える。


 光の余韻がまだ残る中、

 その存在は、確かに――**意志を屈服させられつつあった。**

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