第百五十三話 「旋律の戦場」 Symphony of the Abyss
融合した瞬間、天より名が降りた――
**「クルクルーン・カノン」**
彼女が目を開くと、手にした神器は自在に楽器へと変化することを理解した。
バイオリン、エレキギター、フルート……奏でる旋律は戦場を支配する。
「まずは、一通り試してみよう」
そして、得意なフルートを手に取る。
試しに、少し音を出した――
**ズガーン!!!**
空間が震え、**敵が吹っ飛んだ。**
「しまった……!」
戦闘が始まってしまう。
せっかく体制を整える時間を作ったのに、自分の軽率な行動が仲間を危険に晒してしまった。
カノンは歯を食いしばり、フルートを強く握る。
「とりあえずエレキに変換、攻撃的なメロディーを弾こう……!」
音楽は戦いの旋律へと変わり、神聖なる調律が戦場全体へと響き渡る。
***
ルイ達の身体が燃え上がるような力を得る。
**全ステータス5倍――持続時間30分**
「……これは、チートすぎる」
カノンの音色が、ただのバフではなく**戦場そのものを塗り替える力**を持っていることを確信した。
戦場の激しい音は聞こえてこない。
だが――
カノンは、己の音が確実に仲間に役立っていると信じて、ひきまくる。
クビを振りながら、旋律を刻み、
戦場は――今、新たな調律のもとで燃え上がる――。
 




